106 『爆発』
降り注ぐ隕石。身体中に響く痛みと衝撃。
避けようにも、防ごうにも、あたしの身体はピクリとも動いてくれない。
「ぐっ……」
「さぁ、その状態でいつまで耐えられる……!」
そう言うミーティアにも隕石は降り注いでいる。けれど、あたしに比べれば僅かな量だ。このままあいつの魔力か体力が切れるのとあたしが力尽きるの、どちらが早いかなんてもう考えるまでもない。
「あぐっ……、もう、悔しいわね……」
隕石がやんだ中。メイディの魔眼も切れたというのに、あたしの身体はもう動かない。そんな状態で、今にも消えそうな意識で思う。――その、悔しさ。
ここまで追い詰めたのに、依織のやつにも策を練ってもらって、準備もしっかり行ったというのに。前の雪辱を晴らす、折角の機会だったのに……!
「一応、認めてやる。お前は、手ごわい相手だった。……勿論、彰の隣に立つ相手としては、認めないがな?」
「……ふん、何柄でもないこと言ってんのよ」
「それだけ、お前がオレを追い詰めたってことだ。ふん、誇っていいぞ、レイア」
「まぁ、いいわよ。あたしも、あんたを認めてはあげるわ、ミーティア」
共にボロボロになりながら、死闘を尽くしながらも、お互いの名を呼ぶあたし達。けれど、そんな清清しい気分のまま、朦朧とした意識の中あたしは最後の言葉を紡ぐ。
「……ただ、彰は勿論だけど、あんた達に勝利なんてあげないわ」
「はぁ、一体何、を――ッツ!?」
身体中から魔力が抜けるのを感じる。
もともと、『ありえない量』とたまに言われたりするほどの、あたしのなかに宿っている膨大な魔力が、全て一様に抜けていく。そして、それらはあたしの胸元に一気に集まっていく。
「なっ、なんだ、それは……!?」
ミーティアが驚きの声を漏らすが、もはやあたしには答えるほどの気力もない。こうやって、漠然と状況を眺めているだけの状態でも、奇跡的に意識が持っている状態なのだから。
けれど、この光景がなんなのかは知っている。
この戦いの前に、依織があたしに持たせた術式――意識を失う寸前、勝手にあたしの魔力を使って動きだすそれが発動したのだ。
そして、限界集まった魔力は、あたしの意思も何もかもを無視して、ただ純然としたその力を解放する。
『結局、あれを使う羽目になったんですね……』とでもいうような、諦めたような依織の顔が見えた。それを持たせたお前が言うか、と文句をつけやりたいができるわけもない。
ドゴン、と、単純な、そして膨大な破壊力と轟音をもって――爆発が全てを飲
み込んだ。
敵も味方も、ミーティアは勿論、放れていた依織とメイディも、そしてその場にいたあたしも勿論巻き添えに。
もはや恒例になっていますが、遅れてすいません。orz
いきなり、知り合いからチャットがきて、離してる間にこんなことに。
そんなわけで、決闘終了。
結局おなじみ爆発オチ。
魔力タンクな、けれどその使い道がほとんどないレイアさんの魔力を、単純に一気解放する自滅アイテム。
……死なないこの闘技場だからいいものの、普通ならゼッタイ使えませんね。少なくとも自分は死亡確定のアイテムですから。
まぁ依織さんが外道なのはいつものことです。
それでは、今回も読んでいただきありがとうございました。
次回も月夜~火にかけて更新しますのでどうかよろしくお願いいたします。