第一話 のろけのろけ
転載、ダメ絶対(・ω・)ノ
俺には可愛い彼女がいる。
彼女はおしとやかで控え目だった。それでいて可愛らしい容姿を持っている。
二重の大きくつぶらな瞳に通った鼻。さくらんぼの様な可愛らしい形をした唇に、とろけてしまいそうなくらい白く透き通った肌。他にも、ドールのような長いまつげや細く美しい手や、大きくもないが小さくもない均等のとれた乳房に、凹凸のある括れた体のラインなど、とてもとても表現出来ないほど可愛い。正直、世界一可愛いと自負している。
そんなおしとやかで可愛い彼女だが一つ秘密を抱えていたのである。それは、性格を偽っていたことと――
生粋の吸血鬼であったということ。
いや、マジで。
本当だってば。
えー、説明を続ける。唐突に、彼女は吸血鬼だ! なんて言われても信じがたいだろう。俺だってなんかのマニアぐらいにしか思わないし、到底信じられない。頭がおかしいんじゃないかと疑う。今だって彼女を見ていると、こんなことってあるのかよ。と突っ込みたくなる。でも、事実彼女はオバケでのなく、幽霊でもなく、吸血鬼だった。最初に異変を感じたのは洗面所の鏡を見た時だったな。
写ってなかったんだ、鏡に。
そういえばその頃はまだ、彼女は性格を偽っていたな。それはおいといて、なんで? って思ったよ。だって鏡に写ってなかったんだぜ。
こんなに綺麗なこいつはもしや幽霊じゃないのか、と疑ったね。思えば彼女は鏡の前に立ったのはワザとじゃないかと。
何かこいつは変だって印象付けてそれでも別れを切り出さなかったら・・・・・・とか考えていたんじゃないかと俺は推測する。
そのとおり俺はそれに気づいても彼女の傍を離れなかった。だってこんなにイイ女はこれから先、生きていても巡り合えないんじゃないかと思ったからな。
実際、俺は彼女以上の女を見たことがない。ノロケじゃないぞ。
えー、中途半端に話は変わるがもう一つ伝えておきたいことがある。
それは、性格を偽っていたことだ。
これはかなり驚いた。でもショックだった、というわけではない。初めて会った時もこんなに聞き分けがよくておしとやかな女の子がまだ、この世の中に存在していたんだと感心していたくらいだ。
その彼女が本性を現したのは、俺の誕生日の時だった。その頃は彼女は何か普通の人間と違うなとうすうす感じ始めていたから、今言ったように告白されたことはたいして驚きもしなかった。いや、少し驚いたな。ずいぶん現実から目をそらしていた部分もあったからな。
驚いたのはその後だ。誕生日を祝い、いい感じの雰囲気になっていた時だ。普段の彼女は自分から迫るようなことはしなかった。気娘の様な顔をして恥じらいながらも俺を受け入れてくれるような、それはもう初々しい反応を見せる彼女だった。
しかし、それは偽りだった。
本当の彼女はおしとやかでもなんでもなくて気の強い、いやかなり強い女で超が着くドSな女だったのだ。
まさに猟奇的な彼女だ。
しかも、困ったことにそんな小悪魔な彼女に俺は心底惚れて盛大に魅了されてしまったのだ。ほんと困ったことに。
酷い扱いを受けながらも俺がこんなに彼女に惚れてしまっているのにはワケがある。ワケがなければただのMになってしまう。まぁ、現実問題彼女にさんざん弄られて改造されてMに傾き始めていることは置いといて。
彼女はたまに、ごく稀に俺を発狂させてしまうほどうれしいセリフを言っていくれるのだ。
それは、まぁ、自分で確認してくれ。くれぐれも言っておくが彼女に惚れるのはしかたのないことだが、絶対に手をだすなよ。俺が忠告しなくとも彼女は吸血鬼だから大丈夫だけどな。一応な。
楽しんでいただけたでしょうか。
今回はちょっとした恋愛モノ(?)でした。
ではまたさようならー(・ω・)ノ