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雨上がりの塩素臭と、ポリポリな現在地

作者: HOT-T
掲載日:2026/05/15

久々の投稿と軽い近況報告。

もう連載は難しいかな……またやってみたいけどアイデアが浮かばないんだよなぁ



 久々にここで筆を執ることにした。

 最後に投稿したのは去年の十月。書きかけのままお蔵入りになった原稿を一瞥し、随分と間が空いてしまったものだと苦笑する。

 文章を書く筋肉が衰えていないか少し不安だが、今の私の『現在地』を少しだけ記しておこうと思う。


 現在、私は介護施設の施設長を務めている。

 施設長とは名ばかりの、しがない中間管理職だ。

 世間一般でイメージされるような「上と下との板挟みで、胃をキリキリさせながらすり減る日々」……という悲壮感は、意外にも薄い。

 どちらかと言えば、割と呑気に、淡々と生活している。


 もちろん、ストレスが皆無なわけではない。

 相応の負荷はしっかりとかかっていて、最近では胃薬をシリアル感覚でポリポリと噛み砕くのが日常になってしまった。

 「絶対に体に良くないよな」と自覚はしつつも、こればかりは仕方のないことだと自分に言い聞かせている。

 慢性的な人手不足ゆえに、なぜか管理者であるはずの私も現場の最前線に駆り出されているが、そんな慌ただしさも、不思議とそれなりには楽しんでいる自分がいる。


 そんな目まぐるしい近況の中で、先日、ふと足を止める瞬間があった。

 雨が上がった直後のことだ。

 街の空気に、何とも言えない独特の匂いが漂っていた。学校のプールを彷彿とさせる、あのツンとした「塩素臭」だ。


 気になって調べてみると、あの匂いには理由があるらしい。

 雨水が土壌中の細菌や有機物を巻き上げ、空気中の水分と反応して放たれる「ペトリコール」という成分であったり、あるいは排水溝の汚れが雨水で浮き上がったものであったりする可能性が高いそうだ。


 なるほど、予想通りと言えば予想通りだが、お世辞にも「情緒あふれる美しい正体」とは言い難い。

 けれど会議での重苦しいやり取りを終えて外に出た際、この鼻をつく匂いを吸い込む不思議と意識が「今」へと引き戻される。


 あまり綺麗ではない物質が雨に混じり、独特の存在感を放つ。

 そんな不器用な雨上がりの匂いを嗅ぎながら、私は「明日もまた、なんとかやっていこう」と静かに誓うのだ。

 ポリポリと胃薬を噛み砕く音を、心の中のメトロノームにしながら。

 いや、だからポリポリするな!

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