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欠けた月が照らすもの  作者: 三愛 紫月


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3/4

高校二年夏

 どうにか今日まで生きている。

 胃の不快感や痛みは強くなってきているけれど。

 無理やり頑張ればご飯は食べれてるから大丈夫。




「駆、何か太った?」

「えっ?何で」

「いや、違う。痩せた?」

「はっ?」

「明日、病院行こう。駆」

「心配せんでも大丈夫やって。そうめんやんな!食べよ、食べよ」



 少しでも心配させないように振る舞っていたのに……。

 この日は、予期せぬことが起きた。



「いただきまーーす」


 夏の暑い日。

 冷たいそうめんを体に一口入れた瞬間。

 何か自分でも止められないぐらいの痛みと……吐き気。



「うぅぅーー」

「駆、どうしたん?かけるーー、かけるーー」



 目覚めたら、真っ白い天井があった。



「駆、大丈夫?」

「ちょっとまし」

「痛み止めの点滴してくれてるって。後で、検査するって」

「わかった」



 それから、何かいろんな検査をして。

 医者がお母さんと俺に病名を告げて。

 あんまりよく覚えてないねん。

 覚えてるのは、余命半年だと思いますって言葉だけ。



「先生が、都会で治療した方がいいって言うから引っ越そうか」



 治療を望まないつもりやったのに、お母さんに言われた言葉に固まった。

 お父さんは、何の病気やったか知らないけれど。

 8ヶ月間の入退院生活をしていた。

 俺は、絶対。

 そうは、なりたくなかった。



「高校、転入出来るか聞いてみるわ!」

「どこに?」

「さっき先生が来て聞いたら、笹倉高校ってとこなら行けるかもってゆうてたわ」

「いいよ、別に。どこも行かんで」

「アカン!!駆は、生きるんや!だから、しっかり治療しよ。お願い」



 お母さんの言葉に頷くことしかできなかった。

 まだ17年しか生きてないからしっかり生きて欲しい。

 親なら、当たり前の願いなのがわかる。

 だけど、その当たり前の願いが重たい。

 今さら、違う学校に行ってどうする。

 これから、キラキラした世界を生きて行くみんなと俺はどうやって向き合う?

 


 1人だけ棺桶に足突っ込んでるのに、キラキラした青春とか恋愛とか。

 そんなん何も必要ない。

 


 もしも、恋愛とかして恋人が出来たりしたらどうする?

 その子に俺は、一生涯忘れることが出来ない重い、重い荷物を持たせるだけやろ。

 お母さんみたいに、何年も苦しめて悲しませて。

 俺と出会うことがなかったら、苦しむ必要もないのに……。


 わざわざそんな荷物を持たせて、一生歩かせるなんて。

 そんな行為に意味はない。

 それに、俺も。

 どうせ死ぬのに、思い出なんかいらない。

 そんな重たい荷物抱えたくない。

 思い出なんか増えたら虚しいだけ。

 だから、いらない。

 いらないのに……。



 


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