凶暴な化け物
動かなくなった威弧燈達を見下ろして、起き上がらない事を確認してから能力を切る。
残り魔力も言うほどある訳じゃねーし、早めに終わらせられて良かった。
さーて、そんじゃ学園戻って一旦魔力回復でもするか。
「あ、あのー……」
……あ?
声のする方を見ると、茂みから3人が顔だけ覗かせて私を見つめてた。
「貴方は裏世界の人ですか?」
「はい?」
マルベリーの目と薄青色の編み込みをした真ん中の女(多分)に突拍子も無いことを聞かれて、思わず疑問で聞き返す。
それを聞いた両隣の男(多分)が慌てて真ん中の奴の口を塞いだ。
「バカバカバカ!」
「そう聞かれて『はいそうです』と答える訳が無いだろうがどうするんだ貴様」
「むぐぐー、むぐー」
……なんか敵だと思われてるっぽいな。証明方法はいくらでもあるけど、とりまなんでそう思われてるんか聞いた方がいいかもしれねーな。
「なんで私を敵だと思ってるん?」
すると、口を抑えてた樺茶色の髪の男(多分)が代わりに言葉を発した。
「いや、なんか……タイミング的に……?」
「むぐ、むーむむ」
真ん中の奴も頷いてる。
なるほど、とりまタイミングが致命的だったのは理解した。
「んじゃ、もし私が敵だったらどうする気なんだ?」
「それは……まあこう、いい感じに……叩き潰す……?」
「あ、そ」
なんでこいつが疑問形で返してくるんだ……
てかいい感じに叩き潰すって何?私これから料理されるん?
「それで、結局何者だ?」
鳩羽色の髪の男(多分)は一応まともらしい。
探る様な視線を向けられながら、私は紅葉からもらった鍵を取り出した。
「これ、知ってるやろ?」
じっ、とそれを見つめるそいつは、やがて本物と断定したのか真ん中の奴から手を離した。
かと思えば、今度は好奇の目に変わる。
「もしかして、影星か?」
「げ、マジか」
「むー!むむむむー」
「ああはいはい分かった分かったから!」
もう片方の奴の手を半強制的に退かして解放された真ん中の奴は、新鮮な空気を吸えて嬉しいのか何回か深呼吸してから私を見る。
「私は空璃沙、弥月黄で、狛香綺!」
丁寧に指差しで教えてくれる空璃沙。叩き潰そうとしてきたやつが弥月黄、比較的まともな方が狛香綺っていうらしい。
ふーん……
「なあ弥月黄、さっきの『げっ』ってどういう意味だ?」
私は聞き逃さなかったぞ。
狛香綺が私の名前を出した時に小声で「げ、マジか」って言ったのを。
「あ!?いやああれはそのえっと噂では凶暴だって聞いてたからどんな化け物かと思ったけどこんなに可愛くて華奢な女の子だと思わなかったなってアハハハハ」
「え、『そんな奴絶対会いたくない』とか言ってたじゃん」
「本人いる前で言うなよ鬼畜野郎!!」
視線を色んな所に彷徨わせながら出した言葉を、空璃沙にぶった切られて頭を抱える弥月黄。そんな二人のやりとりを、まるでゴミでも見るような目で眺める狛香綺。
なんとなく無色を思い出すな。
「結局、影星本人でいいのか?」
「ああ、私がその『噂では凶暴な化け物』の影星だ」
狛香綺に訊かれて、さっき言われた言葉と共に肯定する。
つかどんな広まり方したんだよ。噂には尾ひれが付くとかよく言われるけど、元々私ってこの世界に転移してきた人間って認識のされ方じゃねーのか?いつからそんなことになった……
「ところで、お前らはこいつらの知り合いか?」
とりあえず化け物の話は一旦置くとして、地面に転がる3人の方を見る。そもそもなんでこいつらがここにいるかも聞いてなかったし、名前以外は教えてもらってなかった。
さり気なくバズーカを回収、縮小して手元に戻しながら、ついでに訊いてみる。
「そそ、なんかこっちからボス達の気配とか音とかしたから何かなーって」
「ボス?ボスって誰だ」
「ボスはボスだよん」
「……威弧燈の事だ」
「はえー」
こいつボスって呼ばれてんのか、そうは見えねーけど。
まいいわ、どうせ私に直接関係ある訳じゃねーし。
そんなことより、なあ?
「ほら戦おうぜ弥月黄、化け物は退治しといた方が良いやろ?」
「何がどうなってそうなった無理ですやめときます」
人の事化け物呼ばわりは許せねーもんな。
「いいよいいよ私余力あんま残ってねーし倒すなら今だぜ」
「無理です無理です帰ります」
「そんな事言わずに付き合ってくれるよな?」
「ごめんなさい本当に無理です怖いです怖い」
「あ?誰が怖いって?」
「マジで土下座するんで勘弁してください」
……これ以上言っても戦ってくれなそうやし、いいか。
それにここでなんかやらかしたら怒られるかもやしな。
ただでさえあんなことあったばっかなのに何してんだって言われるのもめんどいし、今回は特別に見逃すとするか。
「ま、今回はいいわ。んじゃまたな」
一方的に別れを告げて転移魔法を発動する。
……後ろから喜んでるような声聞こえて来たけど、気のせいやろ。
総じてネタ回




