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戦闘狂の異世界記録  作者: 茜音
異世界戦闘記-表裏一体-
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星達の不純物・改

 蘭葉蘭の攻撃を炎化で受け、すぐに解除して背中を蹴り飛ばす。直後、背後から仕掛けられた、速さの無い威弧燈の突きを炎で透かして向き直った。


 殴る事に重点を置けば炎化じゃなくて無効化でいい。けど、同じ『物理攻撃を無効化する』って効果だけど違う所が2つある。

 1つ目が魔力消費の量。炎化……ってより【狐火(きつねび)(おくり)】も【無影絶封(ネメア)】も元は私の能力じゃない。使う為にはどっちも【深淵の断罪】を経由しなきゃならねー分、魔力消費量は元の能力より多い。ただ、その両方を比べた時、少ない方が炎化だった。

 もう1つは、炎化状態で物理攻撃を受けると、攻撃してきた相手に炎症ダメージを与える事が出来るとこ。

 両方とも持続中は魔力が一定量減らされる仕組み。だったら無効化出来るだけの能力より、ダメージ与えられる方が良いに決まってる。魔力は有限やし、人数不利ならダメージレースで勝つしかない。


 そんで【写映変錬(アトラス)】で【星達の不純物】の能力の形を変えた。具体的に言うと、バフモードの時は強化倍率を500%に引き上げて、デバフモードは弱体化の上限を80%に下げた代わりに周囲の生物全てを対象として、攻撃を当てなくても勝手に弱くなるように調節した。


 それがこの戦闘中ずっと使ってる【星達の不純物・改】だ。


 でも突貫改変過ぎて細かく調節できなかった。特にデバフモードが特定の相手じゃなくて全体巻き込む仕様に変わっちまったせいで、今は良いけど後々集団戦する時に使うと利敵性能になった。とはいえ、今はそれで助かってるからいいんやけどな。

 両方使えないっていう能力の仕様上、複数敵ならデバフの方が使える。何より、この能力は私がもともと持ってた奴やから魔力もそこまで使わない。


 流石にこんだけの条件揃ってたら、負ける訳ない。


「ここ、だ!」


 すり抜けた蘭葉蘭の腕を、炎化を解いて掴むと思いっきり地面に叩き付ける。そのまま、再着火せずに地面を蹴って五雨月の懐に潜り込み、膝蹴りを食らわせれば吹き飛んだ。


「後1人……っ、ぶね……」


 一瞬の隙に距離を詰められ、殴られそうな所をギリギリで躱して跳び上がる。

 狙いを脳天に定めて、足を突き出した。


─────


 弥月黄(みつき)狛香綺(はくがき)空璃沙(ありさ)+心夢(ここね)の4人は、今まさに家(正確には、家があったはずの場所に出来た瓦礫だが)の前に着いたところだった。

 奥から聞こえてくる轟音と、よく知った気配が3人分、それから、よく知らない魔力が1人分。


「何……事?」

「家無くなったの激ヤバじゃん」

「それよりこの気配は威弧燈達じゃないのか?」


 目の前の惨状に驚きと疑問を漏らす心夢、家が無くなった事を心做しか面白がっている空璃沙、家よりも気配が気になる弥月黄。

 全くもって反応が合わない3人だったが、その言葉の一つ一つに反応こそしないものの、明日からどこに住むんだとか、音の方を見に行った方がいいんじゃないかとか、大部分は同じような事を考えていた狛香綺は、ふと瓦礫の影に何かが描かれているのを発見した。


「あれは一体……?」

「あれってどれ?」


 独り言を耳聡く聞き取った弥月黄には何も答えず、重なっていた瓦礫を掴むと力任せに引き上げて、適当な所へ移す。

 何度か同じ行動を繰り返し、光によって地面が照らされると、それが何かは一目で分かった。


 魔法陣だ。


 しかし、何かがおかしかった。


 魔術の方面には全く明るくない。だから、具体的にどこがどうおかしいのかと聞かれれば、それは全く分からない。

 けれど、今まで見てきたものと比べるとどこか違和感がある。


「あれ、こんなのあった?それともただの落書き?」

「落書きでこんなの書く奴いないでしょ。……多分」


 空璃沙と心夢も気が付いたようで、掘り出されたそれをじっと見詰めている。


 その時、いつの間に移動したのか、離れた所から弥月黄の声がした。


「おい、こっちにもあるぞ」

「え!なになに?」


 パッと駆け出した空璃沙の後を、心夢と共に着いていく。

 言葉通り、弥月黄が退かした瓦礫の下には、同様のものと思われる魔法陣が描かれていた。

 空璃沙はじっくりと見つめたかと思うと、右手を固く握り締める。


「これ壊せないのかな」


 よっこいせ、と気の抜けた声をかけながら、魔法陣に拳を振り下ろすと、それは呆気なく砕け散り、溶けるように消えた。


「壊れるのね……壊れるということは、もう使われたものだと思うのだけれど……」


 小首を傾げる心夢。

 既に発動済の魔法陣を放っておく事に意味があるとは思えないな、と考えても分からない事を狛香綺が言おうとした所で、その言葉は遮られた。


「やっぱりそうだ!お前らこっち来い!」


 何かに気が付いた弥月黄の大声。


 全員でその場所へ向かうと、やはりその場には魔法陣がある。

 自分達の家の跡地に魔法陣が3個もあるという事実を、3個もあったのかと動じることなく受け止めて、


「家の四隅に対応する様に描かれてるっぽいんだ、これ」

「…………ふぁ?」


 受け止めきれなかった。


「マジだから!疑ってんならあそこ見に行って見ろって!」


 指を差した方には瓦礫がない。どうやら、事前に確認をした上でその結論に達したようだ。

 念の為に見に行ってみると、言った通りに描かれていた。言われてみれば、4つを線で繋ぎ合わせると1階と同じになる。


「雨飾を呼んでみるわ。何か分かるかも。アンタ達は音のする方を見に行ってみて。それが終わったら学園に行きなさい。私が連絡しておくから」


 念波会話(テレパシー)を交わしながらの心夢の指示に、一先ず頷いた3人は、急ぎ足でその方向へ向かう。

 然し、途中で音はすっかりと止んでしまった。


「え急に消えた……」

「大丈夫なのか……?」

「無事だと良いが……」


 最大限に警戒をしながら、そっと茂みに隠れ、葉の隙間から状況を見て、そしてしばらく停止した。


 地面に倒れる3人の仲間と、それを眺める全く見覚えのない少女(暫定)が立っていた。

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