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戦闘狂の異世界記録  作者: 茜音
異世界戦闘記-表裏一体-
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自我の暴走

一応描写注意回という事で…無双なんですけど…

 夥しい量の殺気が、三人と朱杏を包む。(コア)を殺すと、対応した表世界が崩壊することすら、今の影星の脳内にはないようだ。


「くっ……」


 最初に動いたのはリネット。

 両掌を影星に向けて、数瞬の後驚愕した顔を浮かべる。


「能力が……」

「アハハハ」


 影星が軽く踏み込んだ瞬間、姿が消える。

 現れたその姿は、リネットの後ろにあった。


「こロす」

「早ッ…!?」


 でも無効化が──と朱杏が考えた瞬間、


「げふッ──!?」

 

 まるでそんなものなどないように、影星の右拳がリネットの体を貫く。体内が抉られ、遥か遠くまで吹き飛ばされた。

 

「ッ、死ね!!」


 アルティが叫ぶ。

 そこに込めたのは【傀儡掌握(アラクネ)】だろう。

 命令を出し、意のままに操る能力。


 声は、届いているのだろうか。


「アハハ」


 言葉を聞いて尚、死にも留まりもしない影星。


 フラリと姿が霞む。


「ッ………」


 エルデが、その場に膝を着いた。

 大動脈の辺りは何かで一直線に貫かれた跡。


 姿を現した影星の左手は、鮮血で濡れている。


 1度の攻撃につき1人ずつ、確実に、殺意を持って息の根を止める。

 そこには、正気も何もない、無慈悲な殺戮の意思のみ。


 それを明確に観測して、贋作世界との接続を切った。


「どうした」

「なあ、今世界はどうなってる?」


 時を同じくして創られた同期、時空覇者の[白羽(びゃくは)]に尋ねられ、朱杏は質問を投げる。


「なんだ、急に……まだ修復されていない。まさか何も感じられないのか?観測者たるお前が?」

「ッ、今無理にでも治した方が!」

「落ち着け。何があった」

「クソッ……」


 白羽に言われて、自分が焦っていた事に気が付く。

 何度か「大丈夫」と口に出して繰り返し落ち着けると、自分が見た事全てを洗いざらい話した。


「裏の贋作世界-アレオス Δ(デルタ)-で、魔界研究所の助手が殺されたせいで転移者が暴れてる。それも完全に自我と正気を失ってるし、そのせいで表世界が半分以上壊れた。詳しい事はわかんねぇけど、少なくとも能力は使えなくさせられてるし、火力だって桁違いだ。あいつはマジで……ヤバい」


 一気に話し終えて、朱杏は考える。

 今から止めに行く?否、もう手遅れ。

 それじゃあ、どうすればいい?


「とにかく菊花(きっか)に伝えるべきだ。それから、気に入っている大魔王に話を通してもらうのがいい。無理に拡声すると、他の魔王にも混乱を齎す可能性がある」

「大魔王だけに留めるべきって事か?」

「ああ。今はその方がいい。……余計な負荷を、他の奴らにはかけない方が」

「……そうか」


 朱杏は白羽の言葉通り、創世者、菊花へ声をかける。

 そして、この話は、更に未来で影響を及ぼす事となる。


─────


 虚ろで光がなく、狂気を隠しもしない瞳が、アルティを捉える。その視線に睨まれ、自然と身が強ばるのを感じた。それでも、何とか穂の身体から抜けた双剣を拾い上げ構える。

 無効化があるから大丈夫と油断していた節はあった。だが、リネットもエルデも一撃で殺された。

 最初に影星(狂人)を殺すのが正解だったのか、それとも、無効化と能力の強さにかまけて遊び半分だったからか。


「……どっちもか」


 意識的に深呼吸をすると、力強く踏み込み、双剣を思い切り叩きつける。


「アハハハハハハ」

「な、あ゛ッ…!?」

 

 影星が双剣を指先だけで受け止める。その瞬間、武器に(ヒビ)が入り砕け散った。それだけでなく、両腕全ての骨が軋み破砕し、痛みを感じる間もなく、世界の端まで一瞬にして吹き飛ばされた。踏ん張る事も受身を取る事も出来ずに地面を転がり、立ち上がることもままならない。


 そんな彼女の前に、いつの間に移動したのか影星は、バズーカの矛先を脳天へ向けた。

 魔力は残っていないはずなのに、赤黒い禍々しく光る魔法陣を突き付けられ、動く事も出来ず、震えながら視線だけで見上げる。


 光の中、確かに見た表情は──


─────


 狂気的な笑みを絶やさず、影星は引き金を引く。

 瞬間、溢れ出した魔力の波は、恐ろしい圧力と質を伴ってアルティを包み込む。


「ぁ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


 悲鳴を上げながら、アルティの身体が消えていく。追い討ちをかけるように薄れる身体を蹴り飛ばせば、アルティは煙をあげて消滅した。


「アハハ」

 

 殺しても尚収まらない衝動に動かされ、裏世界を出ようとした時。

 

「星……辰……」

「ッ……み、のる……!?」

 

 弱々しく声をかけられる。意識を引き戻された影星が振り返ると、穂が一切の損傷のない状態で横たわっていた。


「おい大丈夫か!?」

 

 自身の重体も気にせず慌てて駆け寄る影星だが、穂は静止し儚く笑う。

 

「ああ…聞いてくれ、星辰」

「話は後で聞く、(コア)のこと殺しちまったから世界が──」


 その言葉を遮るように、世界が振動する。壁は既に崩壊しつつあり、表世界が姿を現しかけていた。

 

「…さっき、俺は死んだはずだったんだ。けど、なんでか生き返る事が出来た。…これも、奇跡なのかもな」

 

 そして、彼は影星の目を真っ直ぐ見つめる。瞬きすら惜しいと言いたげな表情に、無言で見つめ返すしかない。

 

「でも、だからなのか?……身体、重くて動かないんだ。この世界が崩壊しても、俺は多分間に合わない。……だから、」

「言うんじゃねーよ!」

「俺を置いて、逃げろ」

 

 聞きたくないと、思わず大声をあげるも、その願いは一言一句影星に伝わる。否、伝わってしまう。


「俺は、この世界に転生してきた。ここで死んでも、もう未練もない。けど、お前は生きたまま送られてきた。俺とは違う。……向こうの世界に、帰る理由がある。俺を見捨てろ」

 

 その言葉に、胸の奥から湧き上がってくるのは。

 

「……バカな事言うのもいい加減にしろよ」

 

 怒りだった。

 

「確かに元の世界には恩人も友人もいる。けどお前だって私の唯一無二の相棒だ!」


 影星は穂の手を掴み、強引に引き寄せる。


「私が守る物は少ない。でもその中に優先順位は付けない。例え二つ守る事が不可能だとしても───」

 

 裏世界が崩壊し、強制的に表世界へ放り出される。表もまた、パズルのピースのようにバラバラと崩れ落ち、奈落が露出していく。

 影星は、穂の手を痛い程に握り締めた。

 

「───やってやるよ」

 

 無理やり身体に負荷をかけて生命エネルギーを削ったからか、全身が血塗れの影星の身体に、新しく傷口が開く。

 そんな事には構いもせず、崩壊しつつある1区間から身を投げ、穂と影星は学園へと転移した。

気付いたら60話超えてました。この物語が何話で終わるのか私にも分かりません。のんびりまったり時間がある時にでも追いかけてください。

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