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戦闘狂の異世界記録  作者: 茜音
異世界探索記-日常-
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宣戦布告

 意識が浮上する。

 カーテンは閉めてないはずなのに薄暗い。

 そう思って窓の外を見ると、異変に気付いた。


 人がいない。外誰も歩いてない。

 天気は曇り。


 少し前に見た悪夢を思い出す。あれそもそも戦闘って土俵にすらあがれなさそーやから相手したくないんよな……


『影星』


 突然声が聞こえてきた。しかも呼びかけられたとかじゃない。

 まさか、異世界でリアルに『こいつ直接脳内に・・・!』を体験する日が来るとはな。

 声的には紅葉やから問題ないとして、これどう返事するんだ。


『返事は出来てる』


 は?返事は出来てる?


『その話は今度にしてくれ。今はとりあえず、学園まで来て。門まででいい』


 ……よく分かんねーけど、行った方がいい、よな。

 一応バズーカ持って、シャワーやらなんやらは1回ここ戻ってきたら、と決意して学園の門の辺りまで転移する。

 ほんと人の気配しねーし姿も見えない。何が起きてる?

 私が周囲を警戒していると、校舎から2人分の足音が聞こえて、間もなく外に出てきた。


「来た!影星!こっちだよー!」

「ちょっとうるさいわよ」

「お前らは……悠衣と心夢?」


 記憶から2人の名前を探り当てると、2人共頷いた。

 悠衣は私の手を引いて、校舎内を進む。1階の談話室に入ると、前までは図書館行きの転移魔法陣しか無かったはずなのに、新しく設置されてる。


「乗るよ!」


 大型とは言えない魔法陣に3人で乗る。直ぐに発動するから身構える間もなかったのに、予想してた感覚は少しも来なかった。この世界に馴染みつつあるんやろか。嬉しいような嬉しくないような……

 転移先は椅子がズラッと並ぶ空間。会議室の机無いバージョンみたいな感じで殺風景だ。


「来てくれたか。2人もありがとう。適当に座ってくれ」


 先に前に立っていた紅葉が、私らを見つけるなり指示を出す。悠衣は私の手を離し、心夢と近くの椅子に座った。話したい事……つーかヘヴィーから共有頼まれてる事あるし、近い方がいいかと思って私は紅葉のすぐ側に腰かけた。


「後雨飾と夜鴉だけか」

「遅くなった?」


 紅葉がそう呟いた時、タイミングよく雨飾が現れた。あいつがいるって事は、多分もう1人もいるんやろ、知らんけど。


「別にキミらに正確な時間なんて求めないからいいけど。……それじゃあ話すね」


 紅葉の言葉に、全員が黙る。口出しするな、みてーなオーラがバチバチに漂う。


「簡単に言う。昨日、裏世界から宣戦布告を受けた。『1ヵ月後、私達は表世界を乗っ取りに来る。既に手は打ってあるけど、それでも私達にも準備ってものがある。戦わないつもりならそれでもいいよ。決戦の日、楽しみにしてる』」

「……意外と速かった、のかな?」


 紅葉が話した内容に、羅刹が呟いたのが聞こえた。私が聞こえてんなら、こいつも多分聞こえてるだろうけど、敢えてなのか返す事はしなかった。

 代わりに、深紅の瞳が声の方を向いた。


「いつも言っているけど、覚えておけ。ボクらはこの世界の統治者だ。無様な醜態は絶対に晒すな。何よりも大切なのはプライドだ。


 ボクらの命より、矜恃を守れ」


 ……なるほど。いざって時は潔く死ねって事か。

 だいぶ無茶苦茶な事言ってんな。私は一向に構わねーけど。


「詳しい事は夜鴉に任せる。以上」


 そっと後ろを振り向くと、名指しされた本人は僅かに頷くだけ。

 なんで夜鴉?


「解散」

「あ、ちょっといいか」


 終わりそうな雰囲気に、滑り込みで言葉を発すると、紅葉の視線がこっちに向いた。

 あー、近いから結構怖い。圧とオーラを感じる。


「何?」

「いや、ヘヴィーに情報共有頼むって言われてさ」

「なるほどね。聞こう」

「さんきゅ」


 ヘヴィーに頼まれた通り、まずは魔法陣は破壊出来なかった事、魔法陣は魔力を吸い取る事を話す。

 それを聞いた雨飾と羅刹、特に雨飾は不愉快をオーラに滲ませながら聞いてた。

 もう一つ、魔界の方に謎の黒い奴らと黒い球体の話が来た話もしたけど、それについてはあんまいい反応じゃなかった。一応警戒はする、とは言ってるけどな。

 たまたま重なっただけで、裏世界からなのかどうかの断言は出来ないって意図があるんやろ。

 既に手は打ってある=魔法陣は全然あるけど、正体不明の攻撃じゃ特定ってむずいよな。


「もう話す事がある人はいない?」


 紅葉の一応の問いかけには誰も反応しなかった。

 肯定と捉えたのか、今度こそ解散の号令が出され、次々と魔法陣で帰るあいつらを尻目に、紅葉に近付く。


「こっからは個別に聞きたいことなんやけど、お前が話しかけてきたあれなんだ?あと人が居ないのはなんでだ?ヘヴィー達は参加するんか?」

「うん、答えるからちょっと待ってね?」


 私をもう一度椅子に座らせて、紅葉は1つずつ答えてくれた。

 話しかけてきたあれは『念波会話(テレパシー)』。魔力を通じて会話ができるとか何とか……そのうち教えてくれるらしい。

 人がいないのは、今のうちから戦力外を別の空間に隔離したからで、戦力はヘヴィーとヴァリネッタと私、大魔王と魔王組織3つ。

 ……3つ?


「なあ、魔王組織って4つじゃねーの?」

「そうだけどさ。別空間に置いてきた人どうするの?」

「あーね、なるほど」


 全員出撃したら、誰がそいつらの事世話……世話?するんだって話になるもんな。


 って、ちょっと待て。

 そいつらが居ないって事は……


「私強化出来ないじゃねーか」

「え?」

「え?じゃねーよ、私殺して強くなるんやけど」

「知ってる」

「…………」


 いや、分かってる。悪意ないのはわかってるし、統治者的にはそれで正解かもしれねーけど。

 でもさ、1番手っ取り早い強化方法潰されたのは流石に痛すぎるだろ。

 まーしゃーねーか……


「なら紅葉、戦争が始まるまで私の事鍛えろ」

「ええ……?別に構わないけど……」

「さんきゅ、ところでみのりは参加するか?」

「あの子はヘヴィーに任せてる。ボクらが口出しする事はない」

「ふーん……」


 椅子から立ち上がって背を向ける。


「影星」


 魔法陣に向かって少し歩いた所で、後ろから声をかけられた。

 足を止める。


「期待しているよ」


 これは激励?それとも挑発?

 ……どっちでもいいか。自分の実力は、自分で見せるしか方法なんて無いんやから。

 だから、私は。


「任せとけ」


 振り返らずに答える。

 手元の武器を握り締めて、これからの波乱に薄らと口角を上げた。


 戦争まで、4週間。

一章、完結致しました!ここまで読んでくださった方、ありがとうございます!

いよいよ本格的に戦闘多めになります。が、その前に一章時点でのキャラクター紹介を挟みます。合間合間にもちろん息抜きもあります。


この作品を読んで、「二章読んでみるか」や「続き気になるな〜」と思ってくださった方が1人でもいれば私は嬉しいです。

宜しければこの機会に評価、ブックマーク、感想!お待ちしております。

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