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戦闘狂の異世界記録  作者: 茜音
異世界探索記-日常-
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 とりあえず、私の怪我(?)の手当と、死にかけのヘヴィーの為に研究所の中に戻る。

 関係ねーけどこの鍵、まずは生命体かどうかを確認してから、生死をチェックして開けられる二重構造になってるらしい。さっきの奴ら、開けられるんやろか?そうだとしたらガッバガバセキュリティって事になるよな。それでいいんか……?


 ヴァリネッタに、包帯で傷口を覆われて固定される。別にそんなことしなくてもこんくらいならすぐ治るんやけど、それはともかく菌とかが入ったら悪化するとか言われて強引に治療してもらった。

 ヘヴィーは椅子の上で足を投げ出して休んでる。話を聞くに、2人の元にも黒い奴が押しかけて来たらしい。それの対処で戦ったから体力切れてこの有様。山登りで死にかけた奴みたいな感じらしいから、別に深刻な事でもない、って本人が言ってた。


 で、話を聞いてるとちょい不思議なことが分かった。

 ヘヴィー達の方は、その黒い奴が上から降ってきたらしい。

 私らの方はそうじゃなくて、向こうからこっちに喧嘩売られた感じやから、出現方法がなんでこんなに違うのか。


「考えられるのはあれか、あの黒い丸い」

「なんだそれは?」


 穂が呟いた言葉に、疑問の声を投げかけるヘヴィー。ヴァリネッタも、何も言わねーけどなにそれ?みてーな顔してる。

 見てない様な反応するやん。

 いや違うな。

 マジで見てないのか。


「こっちには黒くて丸いやつあったんやけど、そいつらがめちゃくちゃ守ってたんよ。だから、多分丸いやつを守りに来たかなんかで私らと戦うことになった、とか」

「それほど大事なものだったって事か?」

「多分……」


 あれが何だったのかは今となってはわかんねーから、完全な推測になるけど。

 結局あいつらが何だったのかもわかんねーし。


「とりあえず、この話は終わりだ。影星、前回の魔法陣の件も含め、紅葉への共有を頼む」

「OK」


 所長からの頼みを了承した私は、ふとバカデカシェルター基、研究施設で見つけた紙と、それから何でそんな事したのかの理由を思い出す。

 あん時出た結論は「ヘヴィー達を狙ってる」だった。

 今日魔界に変な奴らが来たのは、こいつらがここに用があるって分かってたから攻撃を仕掛けに来た、とか。


 有り得そう、だな。


「では次に、貴様の武器と体の話をしよう」


 話が一つ片付いてから、次に移った話題は私についてだった。


「まずはバズーカが変な風になった、だったな」

「そそ、これ」


 ヘヴィーに訊かれて、私は戦闘時のサイズのままのバズーカを差し出す。

 それを受け取り、本体を触って一通り確かめると、小声で「やはりか……」と言いながら、私に返した。


「これは恐らく私のせいだ」

「はえ……?」


 わたしのせい??ヘヴィーのせい??なんで??

 理解できてない私と違って、2人は納得したような雰囲気。わかってねーのは私だけ。


波動奏者(エナジーコントロール)という存在は知っているか?」

「ああ、教えてもらった」

「そうか。ならば話は早いな。質問は後で受け付けるから、まずは私の話を聞いてくれ」


 そう前置きして、一つずつ丁寧に説明された。


 波動奏者(エナジーコントロール)は、<神技(アビリティ)>って特徴が現れる。

 んで、それは力の持ち主に、長い時間かけて定着するし、使えば練度も高まる。

 ヘヴィーは<創造>の神技(アビリティ)を持ってて、その影響で私のバズーカが変化した。

 バズーカに備わった効果は<記録>、一度撃ったものを記録して、それを魔力で再現するもの。当然、魔力を注ぎ込む必要はあるけど、記録したものに自動で変換してくれるらしい。

 切り替え方法は、サイズ変更と同じように、魔力を通して意志と本体を同調されてるから簡単に出来る。


「……理解したか?」

「ああ、分かった」

「ならば何より。そうそう、ついでに言っておくと、恐らく貴様も波動奏者(エナジーコントロール)だ」

「……は?」


 私が?なんで?

 全然心当たりなんて……


 いや、あるか。

 転移魔法使った時、魔力減ってなかったしな。


 けど、なんで?


神技(アビリティ)は再現か模倣。どちらかだと予想する。どちらにしても、転移時の魔力は必要なくなると思うぞ。さて、訊きたい事は?」

「……なあ、なんで私が?」


 質問は後で、って言われたから言われた通り最後に訊く。気になったのは、なんで私が波動奏者(エナジーコントロール)に?ってところだけだ。それ以外は問題ない。


「知らん。だが、貴様がこの世界に適応する準備も何もしていなかったのに通常と変わらなかったのならば、少なくとも今までの奴らとは違う、とは言っておこう」

「……そか。OK、分かった」

「よし。では次、貴様のその怪我についてだが」


 すっと水色の琥珀糖?を差し出される。

 光を受けて薄らと輝くこの謎の物体を無言で見詰めていると、痺れを切らしたのか、強引に私の手に握らせる。ひんやりしてるなこれ。


「これなんだ?」

「魔石だ」

「…………」


 一応食えるけど、おすすめはしないって説明されたぞ。おい。これで魔力回復しろって?


「今貴様は『魔力欠乏状態』に陥っている。魔力を強制吸収するここでは、体力……耐久力という方がわかりやすいか。それが削られ、魔力に変換される事もある。バズーカにも込めたのだろう?尽きても仕方のない事だ」

「へー」


 試しに、ほんと試しに少しだけ齧ってみる。


「べ」

「おい」


 あまりの美味しくなさに、穂のバッグからティッシュ奪って秒で吐き出す。ヘヴィーが僅かに眉を顰めたけど、私にとってはそんなのどうでもいいくらい不味かった。

 まず硬い。一応噛めないことはないけど、鈍器みてーに使えるアイスかよってくらい硬い。

 んで次に舌触りが最悪。ザラッザラして舌に残る感じ、めちゃくちゃキモイ。

 なんといっても味が不味い。私が食べた事ある食物にも、私が持ち合わせる語彙の中にも表現出来る言葉が見当たらない。苦いとか渋いとかそうじゃない、言語化なんて出来ない位不味い。総合しても鉱石の方がまだマシかもしれない。


「口の中不愉快になった」

「じゃあもう無理だな」

「こんなん食べるくらいならこのままでいいわ」

「そうか……」


 魔石をヘヴィーに投げ渡すと、それを受け取って更にデスクの上に投げる。コロコロとデスクを転がったそれを見ていると、不意に足元が淡く輝き始めた。

 下を見ると、ここに来る時も見たような魔法陣が展開されてる。ってことは、もう帰るんか。


「荷物は持ったか。ああ、それは必要ないから置いておけ」


 来る時に渡された包みを手に取ろうとしたら止められた。他に持ってきたものもなかったし、私は手ぶら。他2人も荷物は最低限しか持ってない。


「もういいな?」


 一方的な確認の後、二度目の大型魔法陣での転移。

 相変わらずの気持ち悪さ。シンプルに辛い。


 ヘヴィーの家の中に戻ってきて、窓の外を見るとかなり暗くなってた。さっきまで明るかったはずなのに……な。


「魔界とここでは時間の流れが違うからな」


 私の視線で悟ったのか、声なき疑問に答える家主。ふーん、そうなんか。


「そういや私が持ってった荷物って?」

「ああ、新たな実験道具だ」


 ずっと聞きたかった事を聞いてみると、そんなこと聞いて何になるんだと言いたげな顔で応じた。

 もう遅いし、今日は帰るか。魔力なくても転移魔法使えるらしいし。便利便利。


「あ、そうだ影星」

「んあ?どーしたヴァリネッタ」

「いやこれ、そういや渡し忘れてたなって」


 言葉と共に差し出されたのは、中になんか入ってるのか少し膨らんだ黒いバッグ。

 んー?……あー、これあれか?


「モジュールとチップ?」

「そうそう。お前のだろそれ」

「そうだわ。さんきゅ」


 バッグを受け取ると、見た目よりもだいぶ軽い。今度セットしとくか、そうじゃねーと能力として使えねーもんな。


「んじゃまたな」

「おー、おやすみ」


 その場で転移魔法を発動して寮の部屋まで戻る。これくらいの距離なら慣れて来たのか、部屋の中まで直接移動できるようになってた。

 洗面台で執拗に口を濯ぐ。あまりにも不愉快。二度とぜっっったい口に入れたくないあんなもん。


 とりあえずスッキリした気分で、私はベッドに飛び込む。魔力もまだ回復しきってねーし、傷口にシャワーはかけたくねーし……

 このまま寝ても大丈夫っしょ。

 仰向けに寝転んで目を閉じる。

 静かな夜に、私の意識は沈んでいった。

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