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戦闘狂の異世界記録  作者: 茜音
異世界探索記-日常-
31/76

悪夢の現実

前半微ホラー注意…かもしれないです

 ふと、目が覚める。

 窓の外はまだ薄暗い。今の時間を知ろうと思って机の上に目をやって、そういや時計なんてないのを思い出した。

 もう一眠りしようと思ったのに、どうにも寝付けない。なら起きるしかねーか、昨日シャワー浴びてねーし。

 起き上がって、シャワーを浴びに風呂場に入ろうとしたその時。


「何だこの音……?」


 突然、耳を劈く程の轟音が響く。

 音の場所を向いても、何も無い。って事は外……

 でもこれだけ音がデカイなら、紅葉達大魔王が気付くはず、だ。

 一応何があるかは分かんねーから、ストラップサイズのバズーカを持って外に出た。


 階段を降り、慎重に周囲を伺って、音がした方を見る。


 ……何も、いない?


 先には、暗澹とした闇ばかり。

 気の所為かと思いながらも、念の為、もう少しだけ、闇を注視する。


 瞬間。




「…………ぁ」




 暗闇の中で光る、縦長の瞳孔。


 金色の瞳と、目が、合った。


 双眸が、冷笑を、湛えて。


 視線が、絡まって、逸らせ、ない?


 足先から、固められたように、体が、動かない。


 意識も、取り込まれそうな、底気味悪く、妖しい眼に、囚われ、る。


 瞬き、も、許されな、い、の、


 くるし、


 あれ


 いき、でき、な?どう、やって、?なに、も、すえな


 あたま、ふらふら、する


 すいこまれ、る、ような


 めのまえ、くらく、なって、きた


 くらいのに、あかるい


 …………



 額に何かが載せられて、意識が覚醒する。


 ……ああ、さっきのって夢だったんか。


 安心感に包まれて辺りを見渡すと、寮の部屋、じゃなかった。

 周りはカーテンで仕切られて、近くには人型の白衣を着た真っ黒な何かがいた。

 保健室、か?


「あ、目が覚めた?」

「え」


 白衣の何かに話しかけられて思わずビビった。どっから声出してんの?某煤妖怪が人型になって目も何もない以外大体同じな癖に。


「そんな驚かないでよ、影ぽよ〜!俺は[クレセントダイバー・ディバスト]!魔王組織〈暗影の祝園(アビスヴァイス)〉の1人で保健室の先生!」

「あー……何で私ここにいるん?」


 するとクレセントは、覚えてない?と言いたげに肩を竦める様なポーズをして、説明してくれた。


 私は外でぶっ倒れて気絶してた。それをたまたま通りがかった悠依と心夢が見つけて、2人がかりで私をここまで運んできた。

 呼び掛けても目を覚まさなかったから、とりあえず食事代わりに水分をスポイトで吸って飲ませてたらしい。もうちょい水分摂取の方法あったやろ。世話してもらったから言わねーけど。


「さんきゅクレセント」

「お礼は俺じゃなくて2人に言って」

「今度言うわ。……そういや頭のこれなんだ?」


 礼も早々に、私は頭に置かれた物に手を伸ばす。

 なんか冷たくて硬い。


「ああ、それ。濡れ冷やしタオル」

「なんで?」

「一応楽になるかなって」

「いらねー……」


 悪気が無さそうなクレセントの声が聞こえるからわざとじゃねーのは分かった。こういう善意って一番対処しにくいよな。良かれと思ってやってくれた訳やし。


「あ、何か食べる?一応卵焼き用意したよ」

「あー……じゃあ食べる」

「はい!」


 にっこにこな声(表情は分からない)で、割られ済み割り箸と皿を渡される。濡れ冷やしタオルを退かし、体を起こして受け取った。

 1口齧ると、出汁の味が卵から染み出す。温かくはねーけど普通に美味しい。正直朝ご飯としてはちょうどいいかもな。


「そういえば、影ぽよは何で外で倒れてたの?」


 卵焼きを食べ終わったタイミングを見計らって、クレセントは皿と箸を回収しながら私に訊く。


「あー、多分なんやけどさ……」


 私は昨日?今日?体験した夢?を話す。

 クレセントは、私の話を聞きながら何かを考えてるのか少しも身動ぎしなかった。

 

 軈て、何か思い至ったのか、見えない口から言葉を吐き出す。


「まあ、普通に考えたら能力だと思うな……ただ、誰がやったかは分からないんだよね?」

「わかん……あ、いや待て」


 わかんねー、と言いかけて、昨日の昼頃に妙な視線を感じた事を思い出す。

 ワンチャン関係ありそうな気がして、その話も一応添えておく。


「昨日誰かに見られてたんよ」

「うーん……関係ある、かなあ?」


 ベッドの近くに備えられたテーブルに肘をついて再びの沈黙。

 けど、いくら考えても答えに辿り着かないと思ったのか、諦めた様に白衣を翻す。


「俺には分からないなあ、また何かあった時にでも、くれたゃに言った方がいいんじゃない?」

「くれたゃ……紅葉の事か。それがいいかもな」


 どの道私じゃどうしようもない事を悟って、ベッドから降りる。意外と体は軽かったし、充分休めたって事か。あの現実は怖かったってか恐怖と狂気を感じたけど。死んだ訳じゃねーし、気にしすぎる必要も無い。


「世話になったな、クレセント」

「はーい、また何かあったらおいで」


 保健室を出ると、外から爆発音が聞こえてきた。

 まだ続いてんのか……?2回は味わいたくねーぞ……


 そっと覗いて、音のする方を見て全て理解した。


 美麗と雨飾がまーたバチバチやってんだ。飽きねーな……

 いや、雨飾って結構長く生きてるみたいやし、案外楽しんでんのかもな。

 前はよく見えなかったけど、身体増強のおかげかよく見える。

 にしても殴り合いしかしてねーな……一応周りに配慮はしてるつもりなんやろか?全然出来てないと思うけど。


 少しだけ傍観した後、ヘヴィーの家に転移しようとした時、ギャラリーの中に久々見た姿を見かけた。

 あんま人の容姿褒めるような真似はしねーんやけど、めちゃくちゃ目立つ整いまくった容姿のそいつは、色んなやつに注目されてる中で上の2人……いや、2人ってより、あいつが見てんのは……


「なー夜鴉、お前もしかして雨飾の事見てんのか?」

「………お前か」


 チラッと私を見ただけで、すぐ視線を元に戻したそいつの隣に立つ。

 やっぱ見間違いじゃない。


「お前、雨飾の友達なんか?それとも親友?仲間?」


 初めて会った時、何も言わなかった事。

 返答が簡素な事。

 無口気味だと想像出来るこいつが、何をそんなに感じてんのか、気になった。


「……相棒……」

「相棒……」


 その4文字をよく咀嚼して、次に開く。


「お前にとって、雨飾(相棒)ってなんだ?」


 それに対する返答は、


「……安心して、命を預けられる奴」

旧支配者のキャロル聴きながら書きました。だからでしょうか、発狂してる人みたいになりました。

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