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戦闘狂の異世界記録  作者: 茜音
異世界探索記-日常-
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調査と弊害

 影星と別れた後、ヘヴィーとみのりは問題の魔法陣へ向かっていた。

 場所は、雨飾と羅刹が調査へ赴いた西の大陸にある魔法陣。魔力を持たず、基本的に魔法陣での転移を行えないみのりと薬品、材料や駒込ピペット、ビーカー、秤、試験管などの実験道具も一通り持って行った為、かなりの大荷物となったが、それらを抱え転移で現場へ向かった。

 荷物とみのりを置き、先2人の手によって、剥き出しにされた魔法陣に近付く。

 不思議な事に、魔法陣の近くに転がっている丸太が、少し枯れている事に気が付いた。

 それだけでなく、雑草なども見当たらない。この地に来る人間がそこまで多いと思えない、という事は偶々隠れるようにして作られたものなのだろうか。


 文字はあまり書かれていない。魔法陣の大きさを鑑みるに、1.5割程。

 決して小さな魔法陣とは言い難いが、かと言って巨大という程でもない。直径13cm程のものだ。

 触れない様に検分しながら、その場にしゃがみこんで瓶を一つ取り出す。

 揺れる液体の蓋を開けると、魔法陣の上からそれをかけた。

 2人とも、無言で見守る。


 この薬品は、物を溶かす効果がある。魔力を極限まで分解させることで、理論上は魔力が微量でも含まれている物体は、例外なく溶解するはずだ。

 まずは、魔法陣を溶かす事が可能であるか。


 結果は、否。


 何分経っても反応は無く、何の反応も寄越さないまま、その場に有り続けた。


 それを確認するや否や、次々と薬品を取り出しては、魔法陣に対して浴びせていった。


 過熱、冷却、破壊、消滅、枯死など、あらゆる薬効を試みるも、全ては何の意味も為さなかった。

 自身の技術が通用しない事に歯噛みするも、思考を切り替えると、助手に告げる。


「みのり、能力を」

「了解」


 指示を受け取ったみのりは、両手の中に光を込める。

 そして、手を前方に突き出し、指を組んで重ね合わせた。

 収束された光の束は、一直線に魔法陣を目掛けて、文字通り光速で放たれる。

 みのりの持つ(密かに練習していた)大技、〖光子爆火(フォトンイレイザー)〗。

 波と光の粒子の内、後者のみを操り放出するもの。


 然し、それすら魔法陣を傷付ける事が出来なかった。

 描かれた部分のみ、見えざる何かによって保護されているかの様に、一切の影響を受けていない。


「……ダメか」

「ならばこれだ」


 依然無事な魔法陣に舌打ちを零したみのりを横目に、ヘヴィーはその場に座り込んだまま、自身の武器である大鎌を手元に呼び出す。

 そして、柄を掴むと『破壊』『切断』『崩壊』という、3種類の事象改ざん効果を乗せた一撃を振るった。


 影響があったのは、周囲の地面のみ。

 肝心の魔法陣には、傷1つつかない有り様。

 自分達では、破壊不可である。


 その結論に、眉を顰めてヘヴィーは大鎌を戻すと立ち上がる。──立ち上がろうとした。


 ヘヴィーの武器は、非常に強力であるが、改ざん効果を載せる事に、大鎌の重さは増していく。

 そして、ヘヴィーの筋力では、どう頑張っても3つまでに抑えなければ振る事が出来ない。というよりも、3つが限界である。

 その上、お世辞にも身体が頑丈とは言えない。寧ろ、力の大半を失ってからは、退化していくばかり。

 虚弱体質とまではいかないが、弱い部類に入る事は残念ながら否定出来ない。


 つまり何が起きたかというと、立ち眩みだ。


 立ち上がった瞬間、視界が暗くなり、平衡感覚を失って身体が傾いた。

 慌ててみのりが支えようとするも間に合わず、反射的に地面に手を着く。


 その着いた先が、例の魔法陣の上だった。


 身体から何かが吸い取られる感覚に、別の不快感を感じ、そして、


「(魔力を……取られている……?)」


 この魔法陣の効果に、気が付いた。


 魔力が停滞していた訳では無い。

 一定範囲を流れていた大気中の魔力が、この魔法陣によって吸い取られていた為、停滞している、と感じていただけだった。


 然し、それが分かった所で破壊する事は不可能なのだから、どうしようもない。


「ヘヴィー!?」

「話は後だ……戻るぞ……」

「え、あ、おう」


 荷物を持ったみのりが、ヘヴィーに掴まる。

 その事を確認すると、未だ奪われ続ける魔力から、転移分の魔力を捻出し、速やかに帰宅した。


─────


「いや、その顔色は?」


 事情は分かったけど、だからってそんな青白いのは何事だ?


「ああ……気にするな……すぐに治る……」

「死にそうな奴に言われても説得力0なんやけど」


 熱で40度位出てる奴に、「すぐに治る」って言われて「へーそうなんか」とはならんやろ。正直かなりヤバくねーか?悠長過ぎるやろ、夏休みの課題学校始まってやり始める系か?


「もう今日は帰れ……」

「ええー……まあ、そうさせてもらうわ……またな」

「…………」

「あれ?ヘヴィー?……ヘヴィー!?」


 返事をしない事に疑問を抱いたみのりが顔を覗き込んで、声を上げた。

 ヴァリネッタも、息を飲んで言葉を漏らした。


「良い奴だった……」

「死んだ雰囲気にすな」

「悪い」


 体調が限界すぎて、椅子の上で気絶したっぽい。

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