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戦闘狂の異世界記録  作者: 茜音
異世界探索記-日常-
12/76

能力掠奪

 石造りの建物、豆腐建築。

 ここがあいつらのアジトっぽいな。

 根絶やしにするか。終わり次第森も焼き払う。


 環境破壊?平気やろ多分。


「なあ犯罪者共、いるんやろ?」


 返事はない。いい度胸だな。

 装填済みのバズーカを30m先の建物に向け、引き金を引く。

 銃口から衝撃波?みたいなのが飛んでって、轟音と共に建物の一部が吹き飛んだ。

 流石にビビったのか、中から4人出てくる。水色のピンを付けた奴と赤色のイヤリングを付けた奴、黄色く光る指輪を付けた奴、そして少しだけ身なりのいい奴。ヘアピンはともかく、イヤリングと指輪は売れば金になると思うぜ。

 私の鍵盗ったやつ、残念ながら顔とか見てないんよな。だから「こいつだ!」って断定出来ないけど、まーどうせ全員殺すんやし別にいっか。


「私の鍵奪った奴誰だ?正直に言った方がいいぜ」


 バズーカの先を一人一人に向ける。さっきので十分な破壊力は感じられたと思うんやけどな。それでも言わないって事は、4人もいれば私に勝てるとでも思ってるのか。

 盛大な舐めプやな。


「言わねーならお前ら全員殺して奪い返すけど、文句ねーな」


 そう言って身構えた時、目の前に人影が現れる。

 蹴りをバズーカで受け止めて押し返す。

 瞬間移動、もしくは高速移動。


 ま、追いつけねーほどじゃねーけど。


 踏み込んでそいつの鳩尾に蹴りを叩き込む。飛びだしたナイフが体にめり込んで──


 ──消えた。


「リーダー、敵襲。相手は一人、幻影が一撃で消されました」

「売れそうなものはライフルとバズーカのみです」


 そんなことを呟いたそいつらの後ろから、幻影と同じ奴が現れた。

 こいつがリーダーか。


 さて、普通ならリーダーが持ってるやろからさっさと奪い返して逃げるんやろけど、私はそんなことしない。

 折角の獲物やし、逃がす方が勿体ない。全員殺して能力と命も奪っていくとしますか。


「時間をあまりかけるな。手早く済ませろ」

「了解しました」


 そんな会話を聞きながら、私の口角は無意識に上がる。

 手早く済ませるなんて。


「それはこっちの台詞なんやけどな」


 誰にも聞こえない程度の声量で放った言葉は当然聞かれず、返事の代わりと言う様に足元に火炎弾が飛んできた。

 走って躱しながら、バズーカに魔力を装填する。そして方向転換し、その場で斜め上に跳び上がった。上空からリーダーに向かってライフルを二発発砲する。別にこれは当たらなくていい。大事なのは私がこの後地面を蹴り割れるか、だけ。

 着地と同時、地面に強く足を着く。

 理想通りに割れる地面と濃い砂煙。

 飛んでくる炎。


 炎を左側に躱す。直線的に飛んできた炎は舞った煙の──正確には土の中の石炭粉末に反応して炭塵爆発を起こした。


 後ろで炎と爆発音が上がる。意識が逸れた一瞬の間、炎を飛ばしてきた奴の背後まで移動して、


「まずは1キルっと」


 脳天回し蹴りで黙らせた後、完全に殺すために背中を思いっきり蹴り飛ばした。残り3人。


 次にバズーカを向ける。先にいるのはヘアピン。現時点、判明してる敵の能力が幻影と高速移動。炎は私が奪ってるし……いいか、どんな能力使われても。

 そう考える私の後ろに気配。

 ヘアピンは動いてない、なら……?


 咄嗟に振り返ってライフルで受け止める。本体じゃねーな、幻影か。

 これじゃ銃撃てねーし……いや待てよ、さっき能力奪ったんやし使えばいいじゃーん。

 幻影に炎を飛ばして距離を取り、今度こそヘアピンに魔力発射。

 普通じゃ見えない。撃った私でもあんま見えねーんだから実質不可視の攻撃には幻影で対応出来なかったらしい。

 魔力の塊に飛ばされるそいつに、ついでに炎もおまけしといた。2キル目。

 残り魔力はまだまだある。

 後は……暫定瞬間移動となんもわかんねー奴。まー適当に嬲り殺して……


「っぶね…!?」


 目の前に迫った竜巻を右に飛び退いて躱す。背後で木が折れるような音が聞こえて、振り向くのはやめた。なんか怖い。

 直撃はしたくねーな。

 

「ま、当たる気もしねーけど」


 次々に繰り出される竜巻を躱しながら距離を詰める。どんだけ速くても、どんだけ多くても、私だったら避けれるし?

 接触しない程度に走り回る。もう少しで本体に届きそうな距離。

 ヘッドショット決めてやろうと引き金を引く。けど弾が出てこない。弾切れかよ、別にいいけど。

 ライフルを捨てる。その分身軽に動けるし右手にバズーカ持てるし戦いやすくはなった。


 最後の竜巻を躱しきって勢いで飛び膝蹴りを食らわせる。綺麗な直線でぶっ飛んだそいつから目を離した瞬間。

 その場に残っていたそれが、急に速度を上げて私の方に一直線に飛んできた。


「あぶねーなおい!」


 何とか横に跳んで躱したと思ったのも束の間。

 その場で少し止まったかと思えば、更に速くなってまた私の方に飛んでくる。

 なんだこれ。あいつの能力か?

 高速移動じゃなくて……加速か?ならこの軌道はなんだ。

 速いとはいえ直線的だから躱すのも弾くのも出来る。けど加速オンリーじゃこうはならねーだろうし別の能力……?

 まあいいか、直接叩いて奪って確認すれば済む話。


 周囲を見ると、竜巻の影に隠れる奴が一人。

 あいつか。

 んじゃ速いとこ仕留めるか、この後予定あるしな。


 そっちに向かって走れば、竜巻も私の方に飛んでくる。

 1度躱せば、竜巻はその場に少しだけ止まる事は確認済み。その間に竜巻の後ろ側に回る。

 そして私はバズーカの攻撃を弾く性質を利用して──


 ──思いっきり本体をバットみてーに振って弾き飛ばした。


 やってる事はほぼ野球。ちな野球経験は無い。

 けどこれくらいなら私にも出来る。だって止まった弾を狙った方に飛ばすだけやからな。

 で、ぶっ飛ばした奴はどこに行ったかというとそいつが盾にしてた竜巻。

 竜巻で竜巻を相殺させて2つ同時に消す。と同時に、私自身がそいつに近付いて蹴り殺す。

 撃つなら偏差撃ちになる。当たらなかった場合、反動の少しの時間でも動かれて変な事は……逃亡もされたくない。

 けどそれは、遠距離狙撃の話。


 要するに、確実に捉えられて速い私本体の方がキル率は大幅に上がるってだけだ。


 全力で踏み込み、竜巻同士が衝突したタイミングで中に飛び込む。

 加速効果の乗ったものと、その場で停留していたもの。

 勢いのある方が強いに決まってる。

 そしてその場に留まってたとは言え竜巻な訳だから、ぶつかり合ったら勢いも弱まる。

 残った方があいつに接触するより、私が蹴りを打ち出す方が速い。


「これで終わり、だ!」


 相手の鳩尾に右足を埋める。仕込みナイフが飛び出して肉が抉れたかと思えば、近くの木に叩きつけられた。合計4キル、殲滅完了だ。

 竜巻も勝手に消えていき、残ったのは見えない3死体と目の前の1死体、それから得た5()()()能力だった。

 死体の外を探すも鍵は無い。もしかしてこいつじゃねーのか?他の奴らだったら終わりじゃね?

 少し焦りながら内ポケットを探ると、鍵が出てきた。セーフ。


 無事に取り返して、転移魔法陣に乗る。

 いい加減慣れて特に何も感じなくなった。みのりが座ってる切り株に近付く。


「ただいまー」

「おかえり、どうだった?」

「ちゃんと取り返して来たぜ」


 鍵を見せながら、みのりの隣に座る。あんまスペースなかったけど。


「おお……これが紅葉さんから貰う鍵……」

「あ、それと能力も奪ってきたぜ」


 キラキラ、ワクワク、みてーな目で鍵を見つめるみのりにそう言えば、視線が鍵から私に移った。


「どんな能力?」

「結構使える能力だったぜ、見るか?」


 本を取り出す。

 本の中の『能力目録(スキルリスト)』のページを捲れば、【深淵の断罪】の所に新しく増えてた。


=====


 ・対象者が能力を持っている場合、能力を奪う事が可能。但し、自らが殺した場合のみ。

 ・奪った能力の代償(デメリット)は、適用されない。


 ・代償(デメリット):掠奪した能力の使用は、元の能力と比べ、1.5倍の魔力を消費する。


  ・狐火(きつねび)(おくり)

   炎を操る。炎化(えんか)も可能。炎に意味を成さないものは全て通用しなくなる。

  ・(なぎ)音色(ねいろ)

   風を操る。

  ・イリュージョン

   実体のある幻影を生み出し、そこに魔力を通すことで自律可能。ステータスは幻影本人と同等。

  ・速度変化(ブーストチェンジ)

   物、人など実体のあるものの速度を加速、減速させる。

  ・置換上書(オーバーライト)

   物体や事象の上書き、置き換えを行う。


=====


「あれ、5人いたの?」

「いや、リーダーっぽいやつが2個持ってたんよ」

「なるほど……良く勝ったね???」

「多分デメリットに邪魔されたんじゃね?それにここ森やし引火したら困るし。それより行こーぜ」


 本を戻し、切り株から立ち上がって道を引き返す。みのりもその後を着いてきた。

 そういや、私どこに行くのか知らないんだったか。忘れてたわ。


「なーみのり、どこ行くん?」

「えあ?あー、ごめんそうだったね!案内するから!あれライフルは?」

「捨てた」

「捨てた!?え、うんわかった……」


 空いた左手を引っ張って森の出口まで連れ出される。

 そのまま先を歩こうとするみのりに逆らって、足を止めればみのりは不思議そうに振り向いた。


「どうしたの?」

「いやーちょっとな」


 後ろの木々に火炎を放つ。

 視界の端に赤い火花が舞ったことを確認して足を動かした。


「さ、行こーぜ」

「も、森……燃やしちゃだめだよ!!」

「平気やろ、迷うやつがいるなら」


 元を断てばいいだけやろ?


 にっこりと笑いながら言った私に、みのりは驚いたような表情を浮かべ──


「……そっか」


 目を細めて、森から視線を逸らす。

 何を思ってたかはわかんねーけど、追求されねーならOKOK。


 私たちは赤く染まりつつある森を後ろに、街を歩き始めた。


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