星の溢れる夜
物語のあるリボン作家『いろいと』です
私の作るリボンには、1つずつ名前と物語があります
手にとって下さった方が、楽しく笑顔で物語の続きを作っていってもらえるような、わくわくするリボンを作っています
関西を中心に、百貨店や各地マルシェイベントへ出店しております
小説は毎朝6時に投稿いたします
ぜひ、ご覧下さい♡
Instagramで、リボンの紹介や出店情報を載せておりますので、ご覧下さい
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シャン、シャンシャン
白くフリフリした装飾の衣装には、星の飾りと鈴がいくつも付いている
舞い上がる冷気と姫様の熱気が渦を巻き
姫様を空へと導いていく
振り返り、飛び上がる
タンと地に足をつけた瞬間、ふわっと乱れた長い銀髪がゆらり滑らかに姫様の体へとまとわりつく
今日は年に一度の星祭り
この国の一大イベントである
この国を治める王族の元へ100年に一度現れるという星の使い
その星の使いが来たのは18年前の事
生まれたばかりの姫様に加護を授けたのが始まりだった
加護を受けたと言っても、実際見たこともない人々の中には半信半疑のものもいた
この国には古くからの言い伝えがあり、1000年ほど昔、空へと帰れなくなった星の使いを助けたことで加護を受けるようになったという
皆が楽しく豊かに暮らして行くことが出来るようになったのは星の使いのおかげなんだ・・・そんなおとぎ話だ
その星の使いが空へ帰れたのかは分からないままなのだが・・・
そんな星の使いが来て3年の月日が流れ、姫様が3歳になったある日のこと
街へお散歩をしに出かけたまま、姫様が行方不明になってしまった事件があった
国をあげての捜索にも関わらず、その日見つかることはなかったのだった
次の日の満月の夜
街の真ん中にある広場に姫様が突然現れた
広場の真ん中には、さっきまでなかったはずの直径6mくらいの石の円が出来ていた
石を円状に並べ、その周りを5段程レンガのような石で積み上げられている。大きな円形の器のようなものが出来ていたのだ
キレイな銀髪をなびかせながら姫様は、その石段の上にちょこんと座っている
その隣には、星の使いが立っていた
そして星の使いが満点の星に手をかざした時
見たこともないキラキラしたキレイに輝く水が、その円状の石の割れ目から溢れ出したのだった
『100年に一度、私はこの地へ恩返しに来ます。そして星の巫女がそなたたちを、これからも見守って下さるでしょう』
そういって何事もなかったかのように姿を消した
この事件以来、姫様は星の姫様と国中から崇められる事になった
そしてこの水こそが、この国の財源になっていった
この国含め、隣国では干ばつが続き水不足で十分な水を使うことが出来ていなかった
しかし、星の泉のおかげで飲み水として直接飲める事、何より水が枯れる事もなく、隣国へ交易の品として戦うこともなく平和に過ごすことが出来たのだった
年に一度の星祭りは、姫様の誕生日でもあるので
星の泉の加護にある国と共に、各国からたくさんの来賓も来ている
今年もこうして平和に暮らすことが出来るのは、姫様のおかげだと皆がお祝いしに来てくれるのだ
シャンシャン、シャン
美しく優雅に舞うその姿はまるで女神
月夜に照らされて今宵はいつもよりキレイに見える
舞を終え、みなに挨拶したいと姫様がこちらを向く
『皆様、お祝いありがとうございます!わたくしがこうして成人として立派に大きくなれましたのは、皆様のおかげです。たくさんの方に愛して頂き、たくさんの優しさを下さったからです。そして、私が孤立してしまわないよう悲しまないよう、普通の女の子として接して下さる事を許して下さった、全国民の皆様。色んな事を教えてもらい、たくさんの思いを受け取りました。ありがとうございます。これからも仲良く笑顔の溢れる国でいられるよう、私からの贈り物です』
そういって満点の星空へ手を差し伸べた
『わぁ♪』
『みて!すごいね!』
『今年もこれが見られること嬉しく思います』
歓喜の声が国中から上がる
空を見上げれば溢れる星
たくさんの流れ星が夜空を埋め尽くす
流れる星、漆黒の夜空、そして真っ白な姫様
幻想的なこの景色を来年も見られるよう、人々は願いそして感謝した
『ありがとう』
最後まで読んで下さり、ありがとうございます
色々なお話を書いておりますので、どうぞごゆっくりとしていってもらえると嬉しいです
また明日、6時にお会いしましょう♪