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第6話ハルシュ地方(1)

ハルシュ地方編は7話あります。お付き合い下されば嬉しいですm(__)m


土砂崩れがおこったルオル村に着くと村人達が手作業で土砂を撤去していた。


ユーリアシェはそれを見て唖然とした。

ハルシュ地方に衛戍(えいじゅ)している騎士はどこにもおらず、村人だけで用具を使わずに手で撤去作業をしているからだ。


災害がおきたら騎士団やその地方の領主が対応するのが定石なのに、役人の1人もいない。


(信じられない。なんで騎士が1人もいなくて村人だけで撤去作業してんのよ!この街道が塞がれたままじゃ王都にも王都からハルシュ地方より西へも行けないのにーーー)


怒りが全身を覆い拳を握りしめる。村人たちの顔には疲労が濃く出ておりふらついている者もいる。とりあえず彼等を休ませて事情を聞かなければ、何から始めなければいけないのかわからない。


(そうよ。まずは落ち着いて状況を把握しなきゃ)


自分の護衛の騎士達に王女が来たことを告げるように促す。護衛達も呆然としたままだったことに気付き慌てて声を出す。

「皆の者、手を止めろ!

第一王女殿下がお見えだ!」


その声に反応して手を止め皆がこちらを向くが、表情には不信や不満がまざまざと現れていた。

明らかに上つ方に対しての疑心があるようだ。

それは嫌でもユーリアシェの悪い予想をさらに加速させる。

とにかく今は村人を休ませるのが先決だ。


「皆今までよく頑張ってくれました。これからの対策の為わたくしは領主達と話し合いをするが、皆は対応が決まるまで一先ず待機を。家に帰れる者は帰り、困難なものはテントを張るのでそこで休みなさい。

今から食料と水を配ります。」


持ってきていた食料の中からすぐに食べられるものと水を配り事情を聞くよう護衛と侍女に伝え、護衛二人を連れて領主館に向かう。


道中で馬車の窓を開け、馬で並走する護衛騎士の1人、平民出のユラーに声をかける。

「そなたから見て今回の事はありうる事なの?」


ユラーはユーリアシェの意図を正確に読み取ったようで、言いにくそうにまごついている。

「率直な意見を求めているの。不敬などと考えずに答えて」

誤魔化しは無いようにと目を真っ直ぐに見つめて言う。


覚悟ができたのかユラーは唾を飲み込んで口を開いた。

「私の個人的な意見になりますが」


「かまわないわ」


「平民を自分と同じ人と思わずに搾取するだけの道具と思う貴族もいます。何かあっても尊い者は動かず平民がするのが当然だと、困れば平民が怠惰だから悪いと考えるのです。 」


「なるほど」


どの世界でも腐った実はあるということか。

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