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第44話 国王の吐露

「ユーリアシェ様、お待ちください。」


カーティスは後ろからユーリアシェの手を取る。

マドルクはカーティスの行動に彼を睨みつける。


「王命に逆らえばいくら東伯の息子といえど只ではすまんぞ。」


脅すようにカーティスを睨むが、カーティスは意に介さず肩をすくめる。


「いえ、王家の醜態を外国にまで晒さない為に止めたのですよ。我等は王家の忠臣(・・)ですから。」


飄々と言い返す。国王もユーリアシェも意味がわからなかった。


「なに?」


「実は先程の除籍届と今回の顛末の手紙をスードに送り、隣国の叔母上の養女にする手続きをお願いしました。叔母の方でも既に準備していたので、手紙が届き次第、処理されるでしょう。」


「何故·····」


「ユーリアシェ様を娶れる機会を逃したくなかったので、急いでしまったのです。まさかもう一度王族に戻すなど思ってもいませんでしたから。」


先程から初めて聞く話ばかりでユーリアシェの心は大型台風並みに荒れていた。


(待って待って!!娶るって誰が誰を?!ティス兄様って、私を妹の様に思ってたんじゃないの?!)


「計ったのか?!」


マドルクはテーブルを叩きカーティスに殺気を向ける。

部屋にいる護衛騎士も動こうとしたがカーティスが牽制するように告げる。


「何を計ると?婚約者入替えも王太女を外したのも陛下です。

我等は国境を守る東伯です。何通りも予測し、それに備えるのは当たり前ではありませんか。」


マドルクは殺気を消し耐えるように目を瞑ったが、軈て手を振って人払いをした。


侍従長を残し退室した後、独り言のように呟いた。


「リーシェでは駄目だ。国が滅ぶ。」


いったいどんな心境の変化があったのか?


「陛下。いったい何があったのですか?数刻前迄は自信を持ってリーシェを跡継ぎにすると言っていたではありませんか?」


マドルクの豹変についていけず困惑して聞く。


「·····ユーリアシェ、そなたを遠ざけたのは銀の髪だったからだ。」


今更何を言っているのか?まさかユーリアシェが知らなかったと思っているのか?


「知っていたか。そうだな。なら理由も知っていよう。」


「はい」


「そなたが母上に見えて仕方なかった。だが母上に似ていたのはリーシェだ。怠惰な所も、男を取る所も、涙で同情を買う所も!」


拳を震わせ、声を荒らげる。


「リーシェが国主となってもイルヴァンの傀儡となるだけだ。あれはリーシェを愛しているのではない。王配になればハスターバルが放っておくまい。」


(皆解ってるよ!あんた本当に国王?!)


カーティスは呆れを隠さず諭すように言う。


「そうは言ってもあれだけ大勢の前で、国王自ら布告されたのです。私達を捕らえでもしない限りスードに帰るのを止めるのは無理ですよ。まあ、捕らえても先程の件で冤罪と思われますけどね。」


「わかっておる。悪足掻きだ。

·····ユーリアシェ、済まなかった。」


その声は老人のように嗄れていた。


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