表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/63

第41話 愚か者~ランセルド~

ユーリアシェの言葉に二人は何も言えなくなり、泣くリーシェの肩を抱き、出ていった。

ランセルドが残ったことに、そういえばこの件を真面に話していなかったと思い出す。


「ハルク伯爵。貴方も何か言いたいことがあるのかしら。」


「ええ。ユーリアシェ殿下が、何時からご存じだったかお聞きしたいのです。」


「·····では座って下さい。」


面倒だとは思ったが、このままではスード辺境領まで来かねない。


「失礼致します。」


律儀に言葉をかけてから座る。


「何処からとはどういう意味?」


「先日お会いした際、今日何がおきるかご存知のような発言をなさいました。ドレスも今までの傾向と違いすぎ、プラチナの髪を強調させています。決定的なのは王族除籍届を用意していたことです。」


今までのユーリアシェは周りを気にして銀髪を目立たせないようにしていた。そして、前回の会話で失言している。


(頭にきてたから失敗したーー!あの時もっと遠回しに断るんだった!)


「一旦抜けた時に用意したのよ。」


「それにしては書類が完璧だったのですよ。」


淡々と言い返す。

言い逃れ出来ないと真実を少し混ぜて話す。


「3ヶ月ほど前に2人が抱き合ってるのを見たの。その時に話してる内容も聞いたわ。そこから推論をして準備したのよ。書類も万が一の為だったけど使う事になって残念だわ」


悲しげに少し下を向く。


「私との婚約も?」


「貴方は筆頭公爵家子息。リーシェの婚約者候補として長年王家が縛ってきた。リーシェがイルヴァン様と婚約すれば、アイシェバール公爵を宥めるのにわたくしを生贄にするのが自然よ。」


「生贄などと·····」


「他に言いようがないもの。」


「殿下、何か思い違いをされているようですが、私は貴女を愛しています。降嫁して下されば誰よりも大切にするとお約束致します。」


すました顔を崩し必死に言い募る。

ユーリアシェはそんな嘘を信じると思われているのか、と馬鹿にされたような気がした。


「貴方はリーシェの専属護衛としてリーシェに尽くしてきたのを知らないと思ってるの?わたくしとはほとんど話したこともないのに愛してるですって?」


話にならないと言外に告げると食いつくように否定する。


「全て父の命令でした。幼い貴女をお守りしたかったが、私には力がなく、専属護衛の件も、ユーリアシェ殿下の専属になりたかったのですが父の命令でリーシェ殿下になったのです。」


だから自分は悪くないと言いたいのか。ユーリアシェをいないものとして扱ったのも、ユーリアシェの好意を無視したのも。

ふざけた話だ。


「貴方がわたくしをどう思っているかはどうでもいいのです。わたくしは貴方を選ばないし、リーシェの後始末もしません。」


「殿下!」


「もう王族ではありません。お帰り下さい。」


ランセルドを見つめ毅然と言った。

アイシェバール公爵を敵に回してしまうが、それもリーシェ達が解決すべきものだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ