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第29話 自由の代償

「これからどうするんだ」


ユーリアシェが落ち着き話が出来そうだと判断したカーティスは、ユーリアシェがどう行動するのか聞く。


「なるべく早くここから出たいの。せっかく自由になったのに、殺されたら意味がないもの」


「・・・あり得ないって言ってやりたいが、あれを見たら否定はできないな」


王妃の憎しみの目、リーシュの愚かな言動、最後に見たランセルドの顔。

いまの王城はユーリアシェの死を望む者の宝庫だ。


「実はハルシュ地方に暫く暮らせる位の宝石を隠しているの。それを持って西へ行くつもり。ネンネル皇国なら銀の髪でもなんとか隠れて暮らすことができると思うの。」


この国ではほとんど見かけない銀髪だがネンネル皇国ではありふれてはいないが、珍しい程度には銀や白い髪の人たちがいる。国土も広く移民の受け入れもしている。

そこで平民の暮らしを学んで、仕事をしていけば生きて行けるだろう。

この世界で働いた経験がないのでかなり厳しいだろうが誰にも愛されず、女王となり最後は自死を選ぶより、自分で選んだ未来で苦労する方がいい。


カーティスにそう話すと可哀そうな子を見るような目で見てきた。


「なによ!」


「いや、しっかり考えたんだろうが根本的に間違ってんだよな。」


子供にするように頭を撫でられる。少しは見通しが甘いと思っていたのでカーティスの手を払いのけて反論する。


「たしかに働いたことがないけど、やってみないとわからないじゃない!」


「そこじゃなくて、自分を客観的に見れてないって言ってんの。まずお前の容姿は人目を引くほど美人だ。立ち居振舞いも高位貴族の令嬢にしか見えない。そんな女が平民に混じってたら一発で拐われる。」


「そこは平民の事を学んだらそれらしくなると思う・・・」


力強く断言され、大丈夫だと言いたいがだんだん声が小さくなっていく。

カーティスは1つため息を吐いてユーリアシェの手を取った。


「なあユリィ、俺はいつも思ってた。お前が俺の手をとってくれたらって。俺を選んでくれたらどんなにお前が変わってしまっても絶対に守ってやる。」


その言葉に彼の知っているユーリアシェがもう居ないと知っているのがわかり、とっさに手を引こうとしたが、強く握られユーリアシェを見据える。


「勘違いするなよ。言ったろ、どんなお前でも俺は守るって。今でもお前は俺の可愛いユリィだ」


子供の頃のまま愛称で呼んでくれる彼から目が離せなくなる。


「ーーーっうん」


止まったはずの涙がまた溢れてきた。

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