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第25話 ユーリアシェの勝利

部屋に入り奥の続き部屋に入ったとたん、カーティスにもたれ掛かっていた体を離し、足取りも軽くソファーに座る。

カーティスは呆れたようにそれを見ていた。


「ふ、ふふ、」


「おい、気持ち悪いぞ」


嫌そうな顔で笑いの止まらないユーリアシェを見る。


「だってこんなに上手く事が運ぶなんて!今日だけですべて決着が着くって思ってなかったのよ。そりゃ笑いも出るわよ!!」

「まあ、そうだな。王妃があそこまでクソだとは俺も予想外だったよ」


ユーリアシェを労るように見つめてくる。


「本当に大丈夫か?」


体ではなく心を心配しているのだろう。

その優しさに胸が温かくなる。


「大丈夫よ。わかってたことだもの。少しは傷付いたけどここから出られる代償と思えば軽いものじゃない?」


「少しじゃないだろ。だいたい何考えてんだ、国王は!あの赤ちゃん殿下にアラミス公爵のクソ息子を御せる能力があるわけねーだろうが!!」


「言葉が乱れておりましてよ」


「そんなんどーでもいいんだよ!国王は賢王ではないが愚王でもないと思ってたんだが·····」


「娘可愛さで目が曇っちゃったんだろうね」


「何他人事のような·····はぁ~親父に何て言えばいいんだよ」


テーブルに肘をついて両手で顔を覆う。ユーリアシェは罪悪感でカーティスの腕にそっと触れた。


「ごめんなさい。私ではもう止められなかった·····」


「お前が謝ることじゃねーだろ。ユリィだって被害者なんだし。今さらになったけどそのドレス良く似合ってる。

扉から入ってきたとき、夜の女神セザルドかと思ったよ」


腕に触れていた手をとり、優しい目でユーリアシェを見つめる。


「ありがとう。貴方のおかげよ。こんなに素敵なドレスを贈ってくれるなんて」


バルコニーにドレスや装飾品を届けてくれたのも、謁見の間に地方貴族達が来るよう手配したのもカーティスだ。


「それぐらい何でもねえよ。俺の贈ったドレスを着たユリィを見たかっただけだしな。あんな赤ちゃん殿下より百倍美しかったぜ。」


ニヤッと悪辣に笑ってユーリアシェの頬を撫でる。優しい手の動きにユーリアシェは目を閉じて頬を擦り寄せた。


自分が思った以上に国王達の言動に傷付いたことに気づく。

飛鳥にとって国王達は敵のようなものだが、ユーリアシェには愛されたいと思っていた家族なのだ。

その想いが痛みを訴えている。


「ユリィ泣くな」


「泣いてない」


あんな屑たちの為に涙なんて流さない。

ユーリアシェの強がりに向かいに座っていたカーティスが、ユーリアシェの横に来てそっと抱き締め頭を優しく撫でる。

その胸に顔を埋め静かに涙を流し続けた。

読んで頂きありがとうございました。

次回、スード辺境領の過去編を2話あげます。お読みいただければ嬉しいですm(__)m

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