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第21話 運命の別れ道~謁見の間~(3)

扉が開くと1番奥に玉座に座った国王マドルク、右に王妃シルフィーラが座り、左には第二王女リーシェとリーシェの肩を抱いたイルヴァンが立っていた。

臣下達も左右に分かれて立っており、ランセルドは護衛騎士ではなくハルク伯爵として、臣下の列に加わっていた。


ユーリアシェは震えそうになる足を叱咤し、真ん中を顔を上げて歩いていく。

ここから先は瞬き1つも計算していかなければ、破滅に向かって進むことになる。


玉座から20歩手前で止まり最敬礼をしたまま挨拶する。


「第一王女ユーリアシェが両陛下にご挨拶申し上げます」


「楽にしなさい」


「ありがとうごさいます」


ゆっくりと顔を上げ、父である国王を真っ直ぐに見る。

国王マドルクは娘の視線に怯んだようにピクッと揺れたが、そんな自分を恥じるように咳払いをした。


「久し振りだな。ハルシュでは良くやった。」


「勿体ないお言葉にございます」


もう一度礼をして、マドルクを見続ける。

広間中に静寂が広がる。

小説では、空気を読んでユーリアシェから身を引くが、今のユーリアシェはそんなことはしない。


長い沈黙が続き、我慢できなくなったのはリーシェだった。


「お姉様っ!」


静寂の中その声は会場中に響きリーシェ本人も自分の声に驚き、続きが出てこなかった。

会場にいる貴族達も驚きにさざ波が起こる。

少数ではあるが城勤めでない貴族もいて、国王と王太女の会話に割ってはいる無礼に不快感を(あらわ)にするものもいた。


(今まで誰もリーシェのすることを咎めたことがないけど今回はどうかしら)


向こうから失態をしてくれるならありがたいが、そんな状態を両親が放っておくはずもない事もわかっていた。


「まあ、リーシェったら、このような場に出ることが少ないから緊張したのね。ユーリアシェも緊張しているのかしら。先程から硬い受け答えよ。そこまで畏まらなくてもいいのよ。」


王妃シルフィーラが優しく諭すように言う。


「ありがとうごさいます王妃陛下。ですが仮令家族であっても、このような場(・・・・・・)では王族として無作法な振舞いはできかねます。」


暗に自分は緊張(・・)しているのではなく、礼儀(・・)に則った対応をしていると伝える。


「なっ」


言い返されるとは思わなかったのだろう。そちらが先にユーリアシェを引き合いに出してリーシェを庇おうとしたのだから、こちらも自分を守らなければ場に喰われる事になる。


「ご容赦下さいませ。」


ユーリアシェはシルフィーラに最敬礼をして怒りが解けるのを待つーーーフリをした。


「やめよ。今のは王妃の発言に問題があった。ユーリアシェも母の他愛ない言葉を堅苦しくとるでない。」


国王が間に入ってきたのでユーリアシェは礼を解き、また真っ直ぐに国王マドルクを見る。

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