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第11話ハルシュ地方(6)

ユーリアシェはイグルスと騎士団長室に向かっていた。

「イグルス、領主文官部に行き会議室に居た書記からさっきの議事録を取ってきて。早くしないと処分される恐れがある。それから騎士団と文官部の経歴書も。後、貴族達の動向に気をつけて。万が一王宮に連絡しようとしたら力ずくで止めて。わたくしの命令だと言ってもいい」


「殿下がハルシュ地方の事は一任されているのに、王宮に連絡した所でとりあわないでしょう。」


イグルスが不思議そうに聞いてくる。


「恥をさらすようだけど、もし第二王女が出てくれば全てがひっくり返される恐れがあるの。わたくしに着いてきている者達にも警戒して。ハルシュの者達だけで片付けるつもりでいて。」


自分の権限よりもリーシェの言葉の方が強い事を恥を忍んで伝えると、イグルスも王宮内の動向は知っているのか、それ以上何も聞かずに頷いた。少しだけ離れますとユーリアシェに伝えると来た道を戻っていきユーリアシェはそのまま騎士団長室に向かう。


団長室に着きノックをして、中に入ると副官2名と5名の男性が立ち上がって腰を折った。

「第一王女のユーリアシェよ。座って。今回の件は聞いていて?」

皆が頷いたので、言葉を続ける。

「では騎士団長代理と団の再編成を行い、終了次第ルオル村の土砂崩れの復旧を行って下さい。団長代理となってはいるけどエグル・ドゥ・ベーシュが復帰することはない。それは文官長も同じよ。領主もわたくしに不敬を働きどれだけ恩赦をもらっても無傷ではないから領主一族の事も無視しなさい。」

ここまで言えば誰も領主一族に気を使った人選はしない。逆に気を使えばユーリアシェの不興を買ってしまう。

話し合いを聞きながら彼等の経歴を見ているとイグルスが音もなく戻ってきて騎士達の細かな追加報告書をくれる。それを見ながら状況を見守っていると実力は2番手だが温厚で戦略にたけたものが選ばれた。新しい団長を軸に騎士団を再編成して明朝出発することに決まった。


領主文官部に向かうとこちらはほぼ決まったような感じがしたが、明らかに領主一族の意向が強く出ていたので、団長室で話した内容を伝えて再度検討させる。

こちらは融通がきかないが仕事ができる人選となった。副官に情報収集の得意な人物と、穏和で騎士団との調整ができる人物を持ってきて、物資や食料などの手配、税の免除や国からの支援等を話し合った。

ユーリアシェも王宮にこれまでの詳細と支援を嘆願する手紙を書き、イグルスに演技派の使者を選ぶよう伝えた頃には陽が昇り始めていた。

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