人助けは人のためにあらず。自分のためにある!
9話目で、やっと森を抜けるか…?
アースウルフたちの脅威から逃れた後、そのまま崖に付け足した土壁の中(屋根代わりもあとから足した)で一夜を過ごした。
太陽の光が顔にかかり、眩しくて目を覚ます。体は筋肉痛は起こさず快調だ。人間の時だったら確実に起きることもままならなかっただろう。
お腹も空いたので昨日とれたお肉を食べよう。【ストーン・ヘッジ】で岩の塊をだして、【クリエイト】で石の調理具を作り肉を薄めに切って焼いて食べた。やはり直火よりおいしい。そのうち調味料を調達したいな。
水袋の水を飲んで喉を潤して、さぁこの崖を登ろう!
なんとか登り切りまた森の中を進む。さっきまでの森とは違って、足元の草が短く切り株が所々にある。なんとなくだが木の間も等間隔に空間?隙間?があるきがする。明らかに何者かの手が加えられている。人間なのかそれ以外の知能のある種族なのか分からないけど、ばったり出会ったりして?
そんなことを軽く考えていると、かすかに声が聞こえた。
「うん?なにか悲鳴っぽいような?」
耳を澄ましても何もきこえない、でも気になってくると確かめずにはいられない。声がした方に歩いていく。少ししたら道に出た。左右に分かれている、片道一車線くらいの幅で馬車の車輪のような跡もうっすらある。
「おお!道だ。跡もそんなに古くなさそうだし今も使ってそう。どっちかに行ったら街に行けるか『キャアアアア!!』も!?」
明らかに襲われている女性のような悲鳴が聞こえた!急いで道に沿って走る。程なく現場に到着した。見つからないように一旦隠れ様子を見る。
ゴブリンの集団が人間を襲っていた。今襲われている人たちは全部で4人。金髪で藍色のドレスの少女を守るようにメイド服の女性が抱きしめている。その前に男性2人が武器を持ってゴブリン達と対峙している。武器は剣と槍を使っていて、防具は頭と胴体部分につけているがそれ以外はつけていない。明らかに軽装で所々切り傷も見える。
他に倒れている人もいるが、ふみつけられたり無視されているのでおそらく亡くなっているのだろう。倒れている馬車はかすかに原型を残している状態で破壊されている。
ゴブリン達は余裕の表情で、4人を笑っている。たまに揶揄うように持っている短剣を突き出したり一歩踏み出すふりをしている。私はこっそりゴブリン達を【鑑定】して見る。大体似たようなステータスだ。
名前:なし レベル:3〜6 種族:オスゴブリン 属性スキル:なし 特化スキル:なし 備考:攻撃力や防御力は低いが、集団で行動・狩りをする。一番レベルの高いものがリーダーになる。
リーダーはおそらく馬車の前で足を組んで座っているあいつだろう。ゲスい笑みで眺めている。
視界のほとんどが緑色だからここにいるゴブリンは全部オスみたいだ。ゴブリンは肌色が緑色なのがオス、薄い黄緑色がメスらしい。
とりあえずリーダーからと、私は飛び出して攻撃開始。【エア・カッター】で真っ二つにする。いきなり倒されたリーダーを見て驚いたり戸惑う部下ゴブリン達や4人の人たち。すかさず部下ゴブリンと4人の間に【アース・ウォール】の防壁を作り4人を囲う。
安全確保して部下ゴブリン達に向けて【ファイア・ボール】を連発する。かなり命中したがまだ数体生き残っている。そいつらが逃げないように【ウォーター】で包む。もがき苦しんでいるなか【エア・カッター】でとどめを刺す。それでも数匹逃げたが後追いはやめておこう。
ゴブリンがいなくなったのを確認して、土壁の一部に【ウォーター】を浸して柔らかくする。あとは短剣で削り穴を開けた。中では戸惑いつつ警戒してこちらを見る4人の姿。そりゃあっちから見たら、色違いの同族が攻撃していてしかも属性スキルを使っているなんて訳がわからないだろう。
でも私は最初からこの4人を助けることしか考えてなかった。ゴブリン達には嫌悪感しかなかったし、助けないと私が後悔すると思ったからだ。
金髪少女があのときの泣いていた子供と重なって見えた。あのときはちゃんと守れず怪我をさせた、ちゃんと無事か見ることができなかった。最後の時の心残りがずっと引っかかっていたのを悲鳴を聞いた時分かった。
だから絶対助ける、そして心残りをなくしてこれからの異世界ライフに全力を注ぐのだ!完全な自分本位精神なのだ!
読んでいただきありがとうございます。主人公の奥底にある心残りはどうなるのでしょうね?
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