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建国祭って?

79話目です。説明回になってますので短いです。

エルニーラ王国の中枢であり最も多くの種族との共存が成り立っている場所、王都エフェリア。

小高い丘が並ぶ地形をそのまま残して建築され、その中で一番高い部分に王城が建っている。下から商業エリア、住宅街、専門エリア、王城の順に建ち並び、王都を守るように囲う防御壁がある。

入り口は平地側の東西に1箇所ずつの外門のみで常に門番警備兵が数人壁の上や門の前で警備している。


「エルニーラ王国の始祖エルリア様が、無法地帯となっていたこの地を国として建てるためにまず行ったのが、この地に散った命を蘇らせること。人族だけでない、獣人も魔物も魔族も、荒れ果てた大地といった命あるもの全てを自身の魔力・生命力や創造神への限りない信仰心、命への慈愛心を糧として祈り蘇らせた。

その時に神からの祝福の光がさし、大地の感謝の花吹雪が舞い、蘇ったものたちの永劫なる信仰がこの国の基盤となった。」


「そのため建国祭では、どの建物でも花を飾り、人々は祝福の光をモチーフにした装飾品を身につけ、建国祭の開幕と終幕では祈りを捧げる儀式を行うようになったんだ。

服装も始祖エルリア様が着ていたとされる淡い緑の服や青いスカーフを身につける人が多くなっている。建国祭用の衣装が至る所の店にたくさんあるから後で見てみるといい。」


「だからこんなに華々しい感じなんですね!」


ロッドさんの説明を聞きながら、外門からでも見える色鮮やかな街の風景に見惚れている。

建物の窓際や玄関先、路肩には色とりどりの花が植えられた鉢。国旗が掛かっている柱や棒には降り注ぐ光をモチーフにした装飾品。街を歩く人のほとんどが淡い緑色のワンピースや模様のあるジャケットを着たり、青いスカーフを腕や手首、首もとなど体に巻けるところに巻いている。


「すごいね!お花飛んできそう!」

「そうだね。せっかくだし、お祭り用の衣装買って着ようか?」

「うん、着たい!やったぁ!」

「それでしたら。」

「ひゃっ?!…びっくりした、エミリーさん?」


ユイランちゃんがピョンピョン跳んで喜んでいると、背後からスッとエミリーさんが物音立てずに現れた。

ロッドさんは誰かに呼ばれたようで馬車の方に向かっている。


「驚かせてしまいましたね、ごめんなさい。」

「いえ、いいんですよ。それよりどうしました?」

「先ほどあの衣装を買うと聞きましたので、オススメのお店を紹介しようかと思いまして。」

「えっと…それはエミリーさんもご一緒に?」

「いいえ。私とお嬢様は公爵邸へと向かうのでここでお別れとなります。紹介状代わりの物をお渡ししますので、ぜひ行ってみてください。

案内はアレンにさせます…一緒に行けないのは、非常に、ええ本当に非常に残念ですが。」

「いえいえ!お気になさらずに!むしろ紹介してくださるだけでもありがたいですよ!」


心底残念そうにしょんぼりとした表情をされると、内心『着せ替え人形にならなくてヨッシャア!』と思っていたのが申し訳なくなる。


「ロッドも養父母のいる子爵邸に行きますし、次に会うのはおそらく建国祭が始まってからでしょう。なので…。」


エミリーさんは途端に声をひそめ、顔を近づけてくる。


「建国祭が始まる前の数日間、アレンをよろしくお願いします。こちらが言い過ぎると変にへそを曲げてしまいますので、何とかロッドと元に戻る様に説得してください。」

「わかりました。善処します。」


その答えに満足したのか、ホッとした様な顔で元の距離間に戻る。


「では、お別れする前にひとつお願いがあるんですが。」

「何でしょう?」

「それです。私としてはあなたは友人だと思っています。ですので丁寧に話すのを止めて気軽に話すように変えませんか?…いいでしょう?」


手を胸の前に組んで上目遣いでお願いしてくるエミリーさん。

あまりの色々な破壊力に吹き飛ばされそうになる。…くそっ胸が!表情が!普段のメイドらしい真面目な姿とのギャップが!!


落ち着け、落ち着け!と言い聞かせながら短く呼吸を数回して、精神が正常に戻ったタイミングで返事をする。もちろんいい笑顔で。


「わかったよ。じゃあこれからもよろしくね、え〜、エミリー?」

「ふふ、まだぎこちないけど、いいでしょう。よろしくイネス。」


「私も!私も友だちになりたい!」

「ええ、いいよ。ユイランちゃん。」

「俺はイネスが嫁になってほしいな。」

「なりませんよ。ちゃっかり加わらないでください!」

「ちぇ。」


いつの間にかいたルーグさんが残念そうに言う。そこにアレンさんが合流した。


「なになに?何話してんの?」

「エミリーさんとお友達ですよって話です。」

「へぇ〜、ならさ俺もいい?仲間はずれは嫌だなぁ。」

「いいよ。あ、それから建国祭も参加予定なので案内とかよろしく。」

「おう!任せて!」


「じゃあ、ロッドさんもお友達でいいよね?」

「あ、ああ、いいんじゃないかな?喜ぶよ、きっと。」


ニコニコと言うユイランちゃんに対して、渋そうな表情のアレン。

名前を出すだけでもこうなると、仲直りさせるのはなかなか骨が折れるな。


エミリーさんがステラさんのところに戻り、みんなを見送った後ルーグさんが聞いてきた。


「お前らはどこに泊まる予定なんだ?まだ決まっていないなら、俺が利用する宿屋に行かないか?

あそこなら大きい宿屋だし、まだ部屋も余っているだろうし。どうだ?」

「私がいいですけど、アレンは?」

「空いてるならオッケイ。この時期だと埋まっているところ多いから、取れるだけラッキーだ。」

「よし!じゃあ早速行くか!」


ルーグさんのキャンピングカーを馬貸し屋に預け、私たちは浮き立つ気持ちを抱えながら王都の町に一歩踏み出した。



〜〜とある路地裏〜〜


「騒がしい連中ばかりで嫌になる。君もそう思うだろう?」


華やかな道を疎ましくみる男。顔が影でよく見えない。傍にはナイフを磨いている少女、そして向き合うように立っている青年と目のやり場に困る服装をした女性がいる。


「どうやら君の妹もきたようだね、さあ最終段階に行こうか?」


男は光溢れる道に背を向けて歩く。他の者も続いて歩く。青年は危なっかしい歩き方で女性に支えされている。


「最後の祭りだ。俺たちも楽しもうじゃないか。」


不気味に笑う男の声は誰に聞こえるわけもなく、姿とともに消えた。

読んでいただきありがとうございました。不穏な影が…。祭りを満喫することと仲直りを無事にできるのか!?

誤字脱字などありましたらぜひご指摘お願いします。

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