ラッキーとピンチ②
7話目。前回の続きです。主人公に更なるピンチが!?
徐々に迫り来るアースウルフ、増す疲労感と限界への焦り。まだ死ぬわけにはいかないんだ!
攻撃をかわしつつひたすら逃げていると、遠くに歩いている後ろ姿。二足歩行の魔物?体は人間みたいだが、頭は豚の形。もしかしてオークじゃないの?!【鑑定】で確認。
名前:なし レベル:12 種族:オーク 属性スキル:なし 特化スキル:なし 備考:比較的おとなしいが怒らせると、収まるまで周囲を巻き込んで暴れる。
やっぱりオークだ!レベルもアースウルフより上だし、押し付けちゃおう!!
アースウルフの攻撃をオークに当てれれば簡単なんだけど、流石に視界に入っている状態で都合よく当たるとは思えないし、途中にすれ違っていたスライムっぽい魔物には全然当ててる様子もなかった。
完全に私しか標的にしてない、てかそこまで怒ることないじゃん!謝ろうとしたよ!言葉が伝わるか分からないけども。
オークは後ろの騒音にも我関せずとゆったり歩いている。多分横を通ってもスルーされるかもしれない。どうにかしてアースウルフに意識を向けさせないと。
後ろからの怒涛の攻撃の中必死に考えた。成功してくれよと強く思いながら、オークの近くに来た瞬間、【ウインド】を唱え砂埃と葉っぱで再度目眩しをする。
アースウルフは攻撃をオークに当てないように一旦やめる。風がおさまるとそこにいたのは、自分を睨みつけているオークだけ。追いかけていたゴブリンがいないことに驚くアースウルフ、怒っているオークはアースウルフに一歩近付く。身の危険を感じたアースウルフは来た道を引き返し逃げ走り、オークは逃げるアースウルフを雄叫びをあげて追いかけていった。
静かになったところで、私は転がっている岩の塊の中から顔を出して安全確認。
「やった!うまくいったぞ!」
アースウルフの攻撃は当てられないなら、当てたようにすればいい!
そう思った私は目眩し後、真似っこで【ストーン・ヘッジ】で岩の塊をいくつか作り、一つはオークに当て残りはちょっと離れたところにまとめておいてその中に隠れた。道中アースウルフが放ってきた岩の塊が転がっているから違和感はなかった。
目論見通り、オークは突然見えない状態で後ろから攻撃されてイラッとし視界がクリアになって後ろにいたアースウルフの仕業だと思ったようだ。
「小さい私だからできたんだよね。いや〜オークさんごめんなさいね、あとはよろしく!」
もう姿の見えないオークに向かって、手を振りながら健闘を祈り反対方向へ小走りに歩く。早めに離れた方がいいだろう。
しばらく歩いて川を見つける。あまり大きな川ではなく浅い所が多い。
(おっ、ここで休めそうだ)
ちょうど汗や砂埃を落としたかったので、サンダルと短剣を置いて川に飛び込んだ。冷たさが心地よく感じる。深いところに潜ってみると小魚が泳いでいたので追いかけて遊び、あがって足元の小石と【収納】に入れてる木の素材をすこし使い火をつけて焚き火を作り、焚き火と風のスキルで服と体を乾かす。
ついでに近くに生えていた食べれるキノコ(【鑑定】済み)を焼いて食べた。
「ふぁ〜。体もスッキリしたしお腹も満たしたし、ちょっと寝ようかな。」
ゴロンと寝てみる。川の音と空気で癒される。
うとうとしかけてふと振動を感じる。しかもどんどん大きく、いや近くなっている。
もしかしてと、嫌な予感がして振動がしている方向をみる。ドスンドスンと音も聞こえ始める。音の主が見え始めた時、足元によく見た岩の塊が飛んできた!
「ヤッバイ!!逃げなきゃ!」
嫌な予感は的中。お怒りのオークに追いかけられている、アースウルフが私を見つけて迫ってきていた!すぐにサンダルと短剣を回収して逃げる。(焚き火の火は川の水をかけて消火していく。火事防止を忘れずに!)
こうしてオークに追いかけられるアースウルフとアースウルフに岩の塊攻撃をされながら逃げる私の光景が出来上がった。
「誰でもいいから、なんとかして〜?!」
読んでいただきありがとうございます!果たして主人公はこのピンチをどう乗り切れる?
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