準備はOK!
5話目です。主人公の実力判明!
攻撃系の魔法は思ったより使えるようだ。もし敵になりそうな奴が現れてもなんとかなりそう。なるべく戦いたくないけど!
「あとは補助系の魔法とかスキルないかな?」
攻撃魔法が使えても、生きるには身ひとつだけでは心許ない。武器や防具だって必要だし、何より食べ物や持ち運ぶものもいる。
調達は基本現地採取になるだろう。普通は街とかのお店で買ったりするのだろうが、お金もないしこの世界のお金事情もわからない。
なにより、ゴブリンだから街に入れない可能性が高い。入れる方法もその内考えるか。
「一番欲しいのは、情報。知らないことばかりだもんな。」
誰かに教えてもらうのは現実的に難しいだろう。だから自分で調べるしかない。あって欲しいスキルを思い浮かべる、最近じゃ弱そうだけど実はめちゃ便利で強いスキルの定番のアレを。
「何か出てきて、【鑑定】」
祈るように唱えてみると、ピコンッと軽い音と共に目の前に薄いオレンジ色の四角いものが出てきた!肩から上の私の姿絵や文字、レベルがかいてある。
「おぉ!コレは私のステータスかな?なになに?」
名前:(空白) レベル:5
種族:メスゴブリン(特殊体)
属性スキル:
火炎系Lv.1、水華系Lv.1、風流系Lv.1、地岩系Lv.1、光輝系Lv.1
特化スキル:
鑑定Lv.1、状態異常耐性Lv.2、(未取得)、(未取得)、(未取得)
被スキル:
追跡
備考:無し
「え〜っと、色々気になるけど、【追跡】ってなんだ?」
追跡の文字を注視すると、追加文字が浮かび上がってきた。
被スキル:
追跡▶︎対象の痕跡を視覚化し、追いやすくなる。視覚化したものは術者しか見えない。
「ん〜、つまり誰かが私を追ってきてるってことだよね?何で?」
追われる心当たりがない。そもそも先ほど目覚めたばかりだし。もしや前世の記憶が戻る前に何かしでかしたのか、この体は。
転生系のストーリーで、今世の人格がすごいやな奴で色々しでかした挙句に、前世の記憶か人格が入ってきて尻拭いしないといけなくなっちゃう的なのあったな。ゴブリンだし、ありえる。
「面倒くさそうだぁ、まぁその時に考えよう。」
もしかしたら、術者の人と話せばわかってくれるかも。希望はもっていこう!うん!
「あと気にかかるのは、スキル未取得があることだな。自分の名前は、まぁ、自分で決められるんだろうけど。出来れば誰かに決めてほしいな。」
(別にゲームキャラの名付けでセンスがないと言われたことがあるからとか、めんどいからとかじゃないんだから!)と心の中でつい言い訳。
「スキルって、要は魔法だよね?だったら『属性スキル』が攻撃系で、『特化スキル』が補助系とかそれ以外ってことか。」
ステータスを見ながら確認。さっきの読み通り、属性ごとに分類されている。
火は火炎系、水は水華系(名の由来は最初の使い手がよく華の形にした術を多く使われていたかららしい。)、風は風流系、土は地岩系、あと私は持ってないけど氷は氷牙系、雷は雷電系、闇魔法は黒陰系らしい。【鑑定】スキルの解説便利だ。
なぜか持っている光輝系は、いわゆる光とか聖属性みたいだ。私が使えるのはおかしくないか?種族欄の『特殊体』が関係あるのか?注視して出てきた文字は《現在のレベルでは見れません》。まあ、Lv.1ってあるし、上がればいつか分かるでしょ!っと一旦考えるのを放置することに。
「未取得スキルがあと3つ。これから必要なのを考えよう。」
今までのはすんなりとスキルを得ていたし、残り獲得数が分かると慎重に考えないといけないと思う。
これからの充実した異世界ライフのために使えるやつ、もしものための緊急事態回避出来るヤツ、補助系でよくでてくるやつ、と思いつくスキルを地面に枝でガリガリと書いてみる。枝はさっき【エア・カッター】で切っちゃった木から折ってきた。
「あとから取れるものもあるんだろうけど、うぁ〜どうしよう?」
『特化スキル』は特定の条件を満たすか、他者から譲渡により獲得できると解説があった。どんな条件があるかまでは分からないし、もらうのはなかなか無いと思う。いざ選ぼうとすると迷うなぁ。
とりあえず、衣食住のサポート出来るものにしよう。
「まずは食べ物関係。【鑑定】で食べれるかは分かるし、料理するなら属性スキルでなんとかできそう、でもお肉を食べるなら解体しないといけないし、調理器具があったら便利。」
「衣服はいま着ているのをしばらく使い回して、新しいのは自作できたら良し。奪うとかはしたくないなぁ。最悪死体漁り…言い方悪いが仕方ないし、あくまで最終手段として!」
「どっかに住むより拠点作りを考えた方がいいよね。地岩系があるし、洞穴とか洞窟とか利用すれば良いしなんとかなりそうね。あとは食べ物とか持ち運べるのは欲しい。」
声に出しながら整理して、地面に書いたものを消して絞っていく。
あとは獲得出来るか、残ったスキル候補で獲得チャレンジだ!
結果獲得したのは、素材と食材に分けられる【解体】、素材・材料からポーションや物を作れる【クリエイト】(正式名称は【構成】だけど、こっちでいく)、異次元空間に物を現状保持で入れられる【収納】(インベントリとも呼ぶ)。
切っちゃった木から【解体】で分けた素材をもとに、【クリエイト】で足首を紐で縛るタイプのサンダルと小さなポーチ、木の短剣と紐付き鞘、水袋3袋を作った。残りの素材は【収納】へ。
桃りんご(勝手につけた。なぜか【鑑定】でも名前が出てこなかった)をポーチに1個、【収納】の中に3個。泉の水を水袋に入れて【収納】。
準備は整った。とりあえずまず森を抜けるため、いざ冒険へ!
読んでいただきありがとうございました。やっと冒険に出れます。どんな展開がこれからあるのでしょうか?誤字脱字などありましたら是非ご指摘お願いします。