無理難題
あの謎の鬼を倒した新は緑輪と言う謎の刀を手にした。どうやらこの怪しい現状について詳しく知っているらしい。腰に緑輪を携え、新たちは下山していた。
「なぁ、緑輪。最初に聞きたいのは、あの鬼とアンタの事だ。なぜ、一角の鬼があんなに強いんだ。それに、アンタに関しちゃ全く訳が分からん。これまで人器が言葉を話すなんて聞いた事がないぞ。」
当然の如く、新には緑輪に聞きたいことが山ほどあった。新が一気に質問攻めしたため、緑輪は少しキレ気味でため息をした。
「新。そう慌てないで下さい。先ほども言った通り、すべて話します。まずは、あの鬼の事から話した方が良さそうですね。」
「まず、鬼というのは怪異の中でも妖の部類になり、その中でも下級のものになります。」
「んな事知ってんだ。その鬼が何であんな強いのかってのを教えてくれよ!」
新が口を挟むと、今まで我慢してた緑輪が自分の刃先を新に向けた。
「いくら私の主だからといってもあまり私を怒らせないで下さいね。私には自我がある事を忘れないで下さい。」
緑輪はまるで不適に笑っているかのように刃をカタカタと震わせていた。
「悪い。俺が悪かった。もう急がすのは止める。だから取り敢えず、鞘に落ち着いてくれ。」
緑輪は静かに鞘に収まってくれた。
「分かればいいのです。では、話の続きを何故、下級の鬼があれだけ、強いのか。それはこの世界の創造者である神の一神が原因なのです。」
「そもそも神と言うのは常にこちらの世界に干渉しています。物に憑依したり人から信仰を受けて存在するものもいます。」
「その神たちが一神から徐々に悪神化していったのです。その神たちの分身がさっき戦った鬼のように驚異的な妖力を持った妖になるのです。その妖のことを"妖神"と呼びます。」
緑輪は大まかに要点をまとめてくれた。
「なるほど、じゃあ、その妖神ってのを倒せば分身本体の悪神は祓えるのか?」
「いえ。そう簡単ではありません。神はまずその身体で数百体と分身を作りだせます。それが世界を含めて、何百神といるのです。あまり可能性は薄い話ですね。」
「じゃあ、どうすればいい。それ以外にこの怪異を止める事なんて出来ないぜ。」
「いえ、一つだけ。これもかなり可能性は薄いですが、簡潔です。悪神を直接払うのです。」
「・・・」新は黙り込んでしまった。「真面目に??」
「はい。本気です。」
新は凄い速さで首を振る。
「無理無理無理。分身のあの妖神だってあれだけの強さだったんだ。本体ってなったら瞬殺されちまうよ。」
「でしょうね。今のままだったら。あなたが強くなれば良いのです。」
シンプル!!新はそう思った。
「いやいや、いくら強くなっても相手は神だぞ。勝てる気が。」
「流石に新が強くなっても武器がなければいけませんね。目には目を神には神です。」
「神の住む高天ヶ原の神はほとんど悪神に変わってしまった。しかし、こちらの世界に流れて来た神が数体いるのです。その神たちに力を借りましょう。」
「なるほど。それなら。。。ってならないから!どこにいるかも分からない神をどう説得する!?」
「そんなのは簡単です。探すのです。この世界で。それに一人はあなた方妖狩りの近くにいるではありませんか。」
新の頭は???だらけだった。
「どこにいるんだよ。俺の知り合いに神なんていないぞ。」
「まさか。あなたは知らないのですね。あなた方妖狩りの指揮官いるでしょう。」
「あぁ、美島さんか。いるけど。」
「その美島という人物、亜夜ノ神という神ですよ。」
「まさか。普通の人間の姿だぞ。」
「そのような姿になっているだけです。とりあえず、会って話がしたいです。会いに行きましょう。詳しい話はそれからですね。」
気がつけばもう山を下りていた。新はもう頭がぐちゃぐちゃだ。 新は村長に事情を話し、とりあえず依頼は解決した。