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妖神ノ人器  作者: 玉峰 珠
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疑心と出会い

 近年、世界には妖の呼ばれる怪異が多発している。

妖とは、この世界とは違う、あちら側の世界から来た異界のもの。人をさらい、人を喰らい。

その妖と対等に渡り合うため、人類は人器と言う人の魂を武器に宿す技術を開発した。

 人類は妖と対等に戦うことが出来た。

 場所が代わり、日ノ本ノ国。世界に妖が現れる前から密かに妖と戦ってきた勇逸の国だ。

 その日ノ本ノ国にいま、全くみたことのない怪異が生まれようとしていた。



「ここが緑輪山。でっかい山だな。この山頂に例の洞窟があるんですか?」


「そうです。我々村のものは、その洞窟で取れる鉱物を採って、生計を立てております。ですが、最近、あの洞窟で村のものが消えたり、奥から何かを食べる咀嚼音のようなものが聞こえるようになり。 あの洞窟には妖がいるのでしょうか!?」


「さぁ、まだなんとも言えませんよ。実際に入って見ないことには。とりあえず、自分が今からあの洞窟には行ってみます。」


「あぁぁ、そうですか。 よろしくお願いします。私達も今まで何人も妖狩りに依頼してみたのですが、皆さん山から下りてくることはありませんでした。」


 「大丈夫。俺は、其処らの妖狩りとは別物だから。必ずあの洞窟を元通りにして来ますよ。」


「はい。よろしくお願いします。」村長は泣きながら頼んできた。詳しく聞くと、この村長さんの息子さんも妖狩りだったのだが一番初めにあの洞窟の調査に行って帰ってこなかったそうだ。

 

 俺は、村長にもらった地図を観ながら洞窟へと向かっていた。特に妖しい雰囲気はないが。山がやけに静かだな。風もなければ、動物たちの鳴き声、川の流れる音もしない。

 山の調査も同時にしていると知らないうちに例の洞窟の前についていた。随分と早く着いたな。俺は、ライトをつけて、奥に進んで行った。

 奥に進んでいく度に物凄く嫌な感じがする。俺は人より妖の独特な気配やオーラの様なものに敏感なようだ。その妖が強ければ強いほどそのオーラははっきりしたものになる。

 特に妖なども出ず、洞窟の最奥に着いた。


 「おかしい...あれだけ妖の気配が在りながら、ここまで一体も現れないなんて。それにここに固まってる血痕はなんだ?」


  その時、ガァラララ。何かが閉まる音がした。

 なんだ??俺は念のために刀を抜いた。

 音の反響からして恐らく閉まったのはここから100メートル程離れたとこだろう。何者かがこちらに歩いてくる音がする。一、いや、二か。俺は岩の陰に隠れ、様子を見た。

 そこに現れたのは、鬼の妖だった。一体は一角、もう一体は二角か。鬼は大抵、角の多さで、強さが決まる。多ければ多いほど力も妖力も強くなっている。

 しかし、二角くらいなら余裕で狩れる。妖狩りの新人でも倒せるくらいだ。

 俺は、鬼の様子を伺いながら犯れる時を待った。

 しばらくして、鬼が二手に分かれたのを機にまずは、二角を切った。妖というのは、体外に(しん)と呼ばれるコアのようモノがある。それが奴らの弱点だ。

 「ふぅ。まずは一匹。次は一角か。でも、これだけの鬼に大勢の妖狩りがやられるのも妙だな。まだ何か居るのか?それとも何所を変えたのか?」

その時。背後から一角の鬼が現れた。俺はその鬼の一撃で吹っ飛ばされた。刀で受け止めてなかったら危なかった。 おかしい。鬼の力にしては強すぎる。

 考えてる暇などないようだ。鬼は物凄い速さで近づいて来た。俺は刀で応戦している最中、鬼の羅を見つけた。鬼の攻撃を避け、刀で羅を一突き。決まった。かと思われたが、鬼は全くの無傷。どういう事だ。

 パキッ!刀が折れた。。。そんな羅が硬いはず

 「ぐっ!がはっ! なんだ。。この妖力。普通の鬼じゃないぞ。羅も硬すぎる。俺の刀じゃ刀の方が弱い。」

どうする。逃げるか。いや、追いつかれる。何か武器になるモノ。探している俺の手に何かが当たった。

 

「これは、刀型の人器か。無いよりマシだ!」

 多分、前の妖狩りのものだろう。俺は、鬼に斬りかかるが見事に折られてしまった。

 あぁ。。。もうダメだ。。。このまま殺されるのか。。。

 諦めかけた時。。


「私を使いなさい。私ならこの妖を斬れます。」

 どこからか謎の声が。。。


「誰だ。何処にいる!?」


「ここです。この刀を取りなさい。私の名は緑輪。この山の守護者です。あなた方の言う人器と言うものです。」


「人器だと。意思のある人器なんて聞いた事がないぞ。それに守護者?怪し過ぎる。怪異の類じゃ。」


 「そんな事はいい。ここまで死ぬぞ!早く私を使え。終わったら詳しい事を全て話そう。あの鬼のことも私は全て知っている。」


十分怪しいことは分かっていた。でも、ここで使わなければ確実にあの鬼に殺される。


 「分かった。緑輪。俺に力を貸せ。後でしっかり詳しい事教えろよ。」


緑輪の刀は緑色に変わり、不思議な力を纏って来た。


もう、身体が限界だった俺は、一撃で決めようとした。


 左手に力を集中。鬼に走り込み、羅に一気に斬り込んで行く!。。"神速流"。。 緑輪は折れなかった。


 「やった。。。斬れた。」


俺は力が抜け、そこに座り込んだ。


「よくやった。やはり私の目に間違えは無かったようですね。上手く私を操れていた。御主。私を連れて行きなさい。」


「ん?どういう事だ。まぁ、人器が壊れた以上お前を持って行った方がよさそうだな。今から下山する。その間にお前のこと。それにあの鬼の事とか。知ってる事全部教えろ。」


「良いでしょう。しかしながら、お前と呼ばれるのは少し気に入りませんね。私の名は緑輪です。そういえば、あなたの名は知りませんね。」


「あぁ。俺の名前は神樹 新(かみき あらた)だ。新でいい。」





 これが神樹新と緑輪の出会いだった。。。

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