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第32話~戦争への備え~

 ゼスティリア大使との会談が決裂した後、俺たちを含む30人で緊急会議を開いて今後の方針を話し合った。


「完全に戦争へと突き進む事になってしまいましたけど、どういたしますか? 我が王よ」


「決まっておろう! イーゼンセン帝国との戦争に備え、国境の町全ての住民を避難させるぞ! 我の直轄領内でも財政的にも土地的にも受け入れに余裕のある王都ルテスにアステン、カラテールの町で大半を受け入れるつもりだから準備を整えておけ! あと、魔導騎士団1番隊は北の国境の町、2番隊は北東の国境の町、3番隊は南東の国境の町に行って防衛だ」


「「「はっ!!! 了解しました!」」」


「それに、1番重要な東の国境の町防衛には魔導騎士団長クルウェイク率いる精鋭たちとルスマス冒険団の者たちに行って貰いたい!」


「分かりました。エルテス2世様、必ずご期待に添えるように頑張ります」


「俺たちも出来る限りの事はします」


 こうして会議を終えた俺たちは、魔導騎士団長クルウェイクの部隊と共に用意されていた馬に乗り、東の国境の町『アルトーナ』に帝国からの攻撃を防ぐ為に向かうこととなった。


「さて、出発は準備込みで6時間後だから急ぐそ。と言っても魔法のバッグに食料や生活品沢山あるから、ほとんどする事は無いがな」


「そうなんだね。そう言えば王都の防衛って誰がやるのかな。国境の町防衛に行ったら誰もいなくなるよね」


「その点については心配要らないらしいぞ。エルテス2世は魔導師数千人と、ドラゴンを呼べて従えられる上位召喚術士を10人控えさせてるみたいだから、王都に攻めて来られても持ちこたえられるだろう」


「ドラゴンねぇ…… それなら大丈夫だろうな」


 そんな会話をしていると、準備が終わった。案の定、出発まで5時間近くも余ってしまう。なので、暗殺魔導隊との戦闘で使った魔力の回復を兼ねて睡眠を取ることにした。


 5時間程睡眠を取って眠気解消と魔力回復をした後、クルウェイク率いる魔導騎士団精鋭300人の待つ駐屯地に向かい、用意されていた馬にユーラと共に乗り込んで国境の町アルトーナへと向かう。


「お、また会ったな。そう言えばルナ以外に私は名前を知らなかったから、教えてくれないか?」


「はい。俺がルスマス、銀髪のエルフがユーラ、赤髪の男がリニルシアって言います」


「成る程。黒髪がルスマス、銀髪のエルフがユーラ、赤髪の男がリニルシア…… 分かった。これからよろしく! それと後、私に敬語はいらん。防衛任務の間だけとは言え、我が騎士団の仲間だからな」


「分かった。こんな感じで良いか?」


「ああ、それでいいぞ」


 軽く挨拶を済ませた後、今回の目的地である国境の町アルトーナについて色々聞いてみた。クルウェイクによれば、ここから馬を使っても3~4日程掛かる王直轄領の最東端にあると言う。帝国との国境に面している為、常に軍隊が周回しているものの、治安はそのお陰か非常に良いらしい。


「4日も掛かるのか。俺たちが行くまでの間に帝国が攻めてきたら大変だよな」


「まあ、確かにルスマスの言う通りだな。魔導師の質と量、その他の要素を含めると、私らが行く前に来られたら恐らく落ちる」


「何とかその前に到着して防衛体勢を整えておきたいですね」


 道中そんな会話をクルウェイクたちとしつつ、途中でいくつかの町を経由したりテントを張って野宿したりするのを繰り返すこと3日半、遂にイーゼンセン帝国との国境の町アルトーナに到着した。まだ攻撃された様子などは無く、いつも通りの雰囲気を保っているように見える。


「さて、これからやること一杯だよねクルウェイク。住民の避難に、兵士たちの食料の確保に防衛陣地の構築とかね」


「確かにその通りだ。しかも、ここにいつ来るのか分からないから出来る限り早く終わらせる必要がある。リニルシアたちもよろしく頼む」


「まあ、その為に来たしね。協力するよ」


 こうして、アルトーナの町を防衛戦争仕様の陣地に変える為の作業が始まった。まずは住民にイーゼンセン帝国軍が攻めてくる可能性が高いので避難する必要があると伝える。以外と広い町なので、これだけで軽く1日は掛かってしまった。ちなみに避難途中の護衛は元々町に居た王国軍の魔導師と剣士たちにお願いをした。


 次に陣地の構築を始めたが、材料がギリギリ足りないと言う事態が発生した為、調達に2日程掛かってしまった。しかし、その後の建築は人員を総動員して5日という超高速で終わらせる事が出来た。


 平行して食料の確保も行い、こちらは3日程掛けて2週間分の食料を確保することが出来た。他にも色々やることを行い、全てが終わったのは町へ来てから2週間たった時だった。


「本当に長かったなあ~」


「確かに。でも、途中で攻めてこなくて良かったですねルスマス」


「ああ。そうだなユーラ」


「ねえ。私も役にたった?」


「当たり前だ。ルナが高所で作業してる建築士に材料を届け出くれたから、作業も早く進んで良かったって皆言ってたぞ」


「良かったぁ~」


 長かった作業も終わり、休憩を取っていたクルウェイクと俺たちの元に兵士たちが焦った様子で駆け込んで来て、こう言った。


「クルウェイク団長方、申し訳ありません! 帝国軍偵察兵らしき姿の男を陣地のすぐ側で発見しましたが、取り逃がしてしまいました!」


「成る程、了解した。取り逃がしてしまったものは仕方ない。気持ちを切り替え、今すぐ全員に戦闘準備をしろと伝えてこい!」


「「「了解しました!」」」


 そうして足早にあの兵士たちはこの場を後にした。


「と言う訳だルスマス。私たちも準備を始めるぞ」


「了解。お前らも準備をしておけ」


「分かったよルスマス」


「分かりました」


「うん! 分かった」


 こうして帝国軍の偵察を受けていた事を知った俺たちは、武器や道具の準備をして、いつ来ても良いように戦闘準備を整えて待ち構える事になった。



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