第16話~商団護衛に向けての準備~
宿の食堂で朝食を皆でとった後、俺とルスマスはギルド裏の練習場を借りて魔法込みの剣技の練習をしていた。ルスマスは土属性を纏った剣『グランバスタード』で、俺は魔法で生成した『アイシクルソード』を二刀流で使っている。
「その調子だぞルナ。パワーとスピードはあるから後は技術を磨けば化けるぞ」
身体能力頼りで素早く動き、氷剣で連続攻撃を繰り出すも、大半を受け流されるか避けられてしまう。一方、ルスマスの大地剣による攻撃は一撃の威力も高いが、何より技術が俺とは比べ物にならない。身体能力を駆使して避けて弾くが、油断したところに痛恨の一撃を貰ってしまう。
「くぅぅぅーー!!」
鎧状に魔力を展開し、大地剣のダメージを抑えつつ氷剣を2本地面に突き刺し、吹き飛ばされる距離を短くした。完全に止まった後、再び突撃して鍔迫り合いに持ち込む。少し経った後、ルスマスが大地剣に魔力を注ぎ込み威力を上げるのに加えて身体能力強化の魔法を使用したらしく、弾き飛ばされてしまう。
そこへ更に追撃を仕掛けようと大地剣で上から斬りつけてきた。それを氷剣で受け止めた瞬間、斜め下に魔力を流し込んで剣の軌道を逸らして受け流した。
「おぉっ!?」
急に斜め下に剣が逸れた事でバランスを崩したルスマス。その隙を逃さずに氷剣で追撃を加えて吹き飛ばすと、魔法訓練用の壁に激突してめり込んだ。
「痛ってえ…… よし、今日はここまでにしようルナ。それにしてもあれにはビックリしたぞ。鍔迫り合いにまたなるのかと思ったら、氷剣に触れた瞬間に斜め下に剣撃が受け流されたんだがあれは一体……」
「剣の切っ先に向けて魔力の流れを作り、受け止めた剣撃をその流れの方向に受け流して威力を減らす技、名付けるとするなら『剣流しの構え』だね」
ただ、剣撃を受け流して威力を減らしたとしても完全ではないし、ルスマスと同等かそれ以上の剣技を持っていれば恐らく1度見せれば何らかの対処法を考え付くかもしれない。そうなったときの対策を考えておかないと駄目だろう。
剣技の練習を終えて休憩を30分程した後、3日後の商団護衛依頼に備えて色々な回復アイテムや調理器具、食料や生活用品の用意をするために皆で町の店を回る。
食料についてはある程度の支給と途中の町での補給があるらしいが、鬼のように食べ物を食い尽くすリニルシアにとって足りなくて行動出来ないとなれば困るので、俺たちは自前で用意することにした。
そうと決まればまずは大量の食料の買い出しに向かう。最初は肉売り場では、鳥やイノシシのような魔物の肉から果てはワイバーンの丸焼きまで購入し、次は野菜売り場で名前と味が俺には全く分からない野菜を数日分爆買いした。最後は飲める綺麗な水をひたすら買った分の容器に満タンになるまで入れて、ルスマスの魔法のカバンの中に全て入れる。
食料買い出しが終われば調理器具を買いに行く。マジックコンロにフライパン、鍋にまな板にその他便利グッズを購入した。生活用品は虫除け魔石(虫系の魔物にも効果あり)やマジックテント、暗所を照すマジックライト等を購入した。
最後は回復アイテムで、治癒のポーションや魔力回復ポーション、状態異常回復のポーション等を購入した。これらを全てルスマスの魔法のカバンに詰め込む。相変わらず物凄い積載量である。しかもこの中に入れておけば腐ることがなく永遠に入れた時のままであると言う。なんて便利な魔道具だろうか。
後は昼食をとり、夕方まで適当に歩き回って時間を潰した後に夕食を食べて、少しの間外の景色を見た後ベッドに行って眠りにつく。
そして次の日、同じように食堂で朝食を皆でとっていると……
「ルナ、今日僕の魔法の練習に付き合ってくれない?」
そうリニルシアに言われた。昨日やることを全てやって暇だったので了承し、練習場に向かう。
「まずはこれを見て欲しい…… 出でよ稲妻、その力を開放せよ!『稲妻召喚』」
そう唱えると、空に出現した魔方陣から雨あられのように雷が降ってきて練習場の的に命中して消し飛んでしまった。
「最近ようやく開発に成功した魔法なんだけど、どうかな?」
「下手に当たればあの的のようになりそうな威力だね。私は凄いと思うよリニルシア」
「誉めて貰えて僕は嬉しいよ! そうだ、ルナの新魔法あったら見せてもらいたいなぁ」
「もちろん良いよ!」
そこで俺は『魔法創造』スキルで新たな魔法を創造してリニルシアに披露する。
「闇と氷の柱が交わりし時、その力はあらゆる敵を屠るだろう……『闇氷の十字架』」
闇の柱と氷の柱を十字に交差、融合させてその際に発生する増幅した2属性の力で対象を攻撃する魔法で、一定確率で氷結または呪いの効果を与えることがある。今の魔法を受けた的も先ほどと同じように消し飛んだ上、周囲の地面も凍らせる。他の人に当たることが無いように威力を半分くらい絞って放った。
「今の複合属性魔法だよね!? 凄い威力だよ!」
「えへへ、ありがとう!」
こんな感じでお互いに魔法で的当てをしたり、昨日みたいに手合わせをしたりしていると、何故か観客が増えていて『これをやってみてくれないか!?』みたいな感じにリクエストされる事態に巻き込まれる。
「「派手に目立ち過ぎた…… 初級や中級位にしておけば良かった……」」
そう思った時にはもう遅く、結局2人だけの魔法練習のはずが、いつの間にか増えた観客に向けて魔法を披露したりするイベントと化してしまい、それだけで1日の半分は過ぎてしまったが、お金を取っていないのにチップとして俺たちにくれる人が出た為、お金を稼ぐことが出来たので良しとしよう。ちなみに合計金貨5枚に銀貨6枚得ることが出来た。
終わった後宿に戻った俺たちは皆と夕食を食べてすぐ、魔法を使いまくった影響で眠かったのでベッドに直行して眠りにつく。
そして護衛依頼に出発する当日、いつもより早く起きてギルドに向かって他の冒険団の人たちと共にアテン商団の面々が到着するまで待っていると、よく見知った人物がルスマスに声をかけてきた。
「おぉ! ルスマスじゃん。お前の冒険団も依頼を受けたのか」
「ゼナか。ああそうだ。指名依頼で受けたんだ。 お前が居ると言うことはエーシェ冒険団の面々もそろってんのか?」
「指名依頼!? 凄いな! エーシェ冒険団の面々がいるかって? 当たり前だろ! 全員勢揃いだ」
「そうだ。せっかくだからお互い挨拶しないか? これから長い間顔を会わせることになりそうだし」
「確かに、それいいな!」
こうして俺たちは、冒険者界隈で有名なエーシェ冒険団の元に挨拶に行くことになった。
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