Disasster Drill
晴れた日の昼前。
君の通う私立高校は今日も、いつもと変わらぬ日常に溢れていた。
否。
普段と異なる点が、一つだけあった。
──突如鳴り響く、本能に訴えかけるアラート音。
絶好の、避難訓練日和である。
危険を告げる声と音だけの揺れが途絶えた後、皆揃って教室を出て、校庭へと足を運ぶ。
「皆さんが避難完了するまで、10分かかりました」
──その声は非常に良く通り、平坦で、しかしどこか狂気じみていた。
「皆さんが静かになるまで、さらに5分かかりました」
──生ける屍のようなギョロリとした目が、舐め回すように周囲を見る。
「これが本番だったら、皆さんもう、死んでしまっているかもしれません」
後ろの友人が、答えるようにポツリと漏らす。訓練なんだし別に良いでしょ、と。
その瞬間、壇上の男の肉体が激しく捻れた。
「いマ、ナめタことを言った生徒がイマシタね」
──急速に作り替えられる肉体。かつて腕だった場所から2つ3つと頭が生え、形を崩し捻れながら巨大化していく。
「なるホド確かニ、本番と訓練は違ウ」
──やがて形だけ人らしくなった異形は、巨大な口の端を釣り上げ、吐き捨てるように言った。
「さァ、逃げ惑エ。避難して見せロ。これが、これこそが、災禍ノ螺旋ダァァアア!」
伸ばした腕が生徒の一人を貫き、捻じ切る。
日常を失った学校は、異形の狩場と化していた。
ダブルクロス The 3rd Edition
「Disasster Drill」
ダブルクロス。
──それは、裏切りを意味する言葉。
めちゃくちゃセッションしたいけど、学業が忙しくてそれどころじゃないです。
でもダブルクロスに触れていたくて、半分無理やり、もう半分は「このネタ使いたいけどいいストーリーが思い浮かばん」系の消化のため、強引に書き上げたトレーラーです。
きっかけは、学校で偶然見かけた張り紙。
デカデカと「Disasster Drill」って赤文字で書いてありました。
えなにそれ中二病? グレンラガン好きなの? 天を突いちゃう系の災害なの? って思って詳しく張り紙を見たら、避難訓練のお知らせ。
Disasster Drillは、「避難訓練」の英訳でした。
ロボット好きの中二病罹患者の心をくすぐる英単語だったので、くすぐられた中二心を満足させる為だけに書いたトレーラーです。時間かければもうちょいマシなトレーラー書けそうなんですが、とりあえず今はこれで我慢しときます。いずれ書き直す可能性も微レ存……
自由に使用して頂いて構いません。このトレーラーを使ってやってみたセッションの感想等、いただけましたら幸いです。