Sand Fort Alchemist
錬金術師。
それは、様々な物質や人間の肉体、魂をより完全なる存在へと錬成する試みに憑りつかれた探求者の総称である。
──古代ギリシアの頃から受け継がれてきた錬金術の叡智と技術を今にまで継承し続ける、ある一族がいた。
練馬家。
本流をギリシアに持つ錬金術師の家系から発生し、移動を続けた末に極東の島国に定住することとなった一族の末裔。
本家たるギリシアの一族は過去の大戦でその多くが命を落とし叡智と技術を失ったが、分流であった彼らは生き残り、その名を変え、科学発展を続ける現代に至るまで脈々と研鑽を重ね続け財を築いた。
そして、現代。
代々続いてきた錬金術師の家系に、異端児が誕生した。
彼が「創造」したものは全て、例外なく砂と化す。
錬金術師としては無能で……しかし、オーヴァードとしての才能は随一であった。
彼が自らの身の振り方を決めた頃、まるでそれを見計らっていたかのように行動を開始する『魔術師団』を名乗る組織。
魔術師達は、練馬を錬金術師足らしめる遺産『アリストテレスのランタン』を狙っているらしい。
相互不干渉の不文律を破ったのは何故か。
何故、遺産を狙うのか。
疑問疑念が渦巻き二の足を踏む練馬の当主を置き去りにするように、暴走する欲望と陰謀が才無き少年とその家族を巻き込み、日常と非日常が交差する。
ダブルクロス The 3rd Edition
「Sand Fort Alchemist」
ダブルクロス。
──それは、裏切りを意味する言葉。
GMに初挑戦から二つ目に書いた、「落ちぶれ系主人公は俺TUEEEEしない」を目指したシナリオです。
トレーラーの描写で気づいて貰えるとありがたいんですが、PC1はDロイス「砂使い」を強制しています。
PLのクセが強すぎて、キャラメイクを丸投げすると設定は扱いづらいわデバフ撒きがガン刺さりし過ぎてボスがまともにダイス振らせて貰えないわと散々な結果になる卓だったので、ある程度キャラメイクの方向性を制御するシナリオ……に、なるはずでした。
「錬金術師だからな、モルフェウス強制だからな!」とPCの方向性をある程度固めたつもりが、結局モルフェウスのエフェクトを十全に生かし妨害構成を上手に作ってくるPLに悩まされ、妨害を上から踏み倒せるボスを作ろうとしたらステータスがアホみたいに高くなりゲームバランスの崩壊を招くことに。
その辺の調整に四苦八苦してるうちに別のシナリオを思いつき、そっちに主軸置きたくなってこっちは放り投げました。
一応、トレーラー中でちらっと出てくる遺産等について、設定を軽く。
「アリストテレスのランタン」
大昔に長い時を生きていたとされるウニ型のレネビのミイラ。
手に噛み付く。噛み付かれた生物はオーヴァードとして覚醒し、何故かモルフェウスシンドロームを必ず発症する。なお、既に覚醒しているオーヴァードに対しては無反応で噛み付くことはない。
練馬の家に代々伝わる家宝。
「魔術師団」
バロールシンドロームを発症したオーヴァードが組織した集団。中世ヨーロッパの頃から細々と歴史の裏側で隠れて過ごしていた。錬金術師とはその頃から相互不干渉の口約束が成されていた。
UGNやFHの台頭に危機感を覚え、行動を開始する。「特定のシンドロームを強制的に発現させる」というアリストテレスのランタンの性質に目を付け、「求めたシンドロームを持つオーヴァード」を自由に作るための研究に着手しようとしている。
「そんなあなたにこのお薬」とシフト設定再使用ワンチャン……とか考えていたりいなかったり。
ちなみにこの時に作ったボスがお気に入りで、自分がPLとして参加するシナリオ用に経験点とエフェクト構成をPC向けにリメイクしたという、本筋とはあまり関係無いところで思い入れのあるシナリオです。
自由に使用して頂いて構いません。アリストテレスのランタンの設定を使ってやってみたセッションの感想等、いただけましたら幸いです。