02 助け助けられ
本日もよろしくお願いします。
ブックマークありがとうございます。
あひるの翼は品種改良のせいで高々数メートルしか飛べないところを後が無いから無理無理頑張って飛んで逃げる。
根性、努力、忍耐を三美徳とする日本人成分100%を出し必死の逃避行を遂げた私を誰か褒めて欲しい。
しかしながら悲しいことに、【根性】の二文字を背負ってもあひるの私は渡り鳥のように長時間飛行がやはりできなかった。
目の前が暗くなり呼吸も苦しく、翼も身体も重くなり段々と高度が下がる。
つまり、落下して行ったのだった。
コポリと水底から浮上するような感覚を私は感じていた。
どうしたのだろう?
周りから雑音が聞こえる。
意味をなさない音、頭が痛い。
「・・・いい・・・もう・・・たべ・・・」
「・・・やめ・・・それは・・・今に・・・」
ああ、うるさい!
「・・・食べても良いだろう?」
ギャ!!はっきりと聞こえた。
逃げなきゃ。
重たい身体を無様に動かし逃げようと抗うがしっかりと捕まえられているようだ。
触るな!! つかむな!! じたばたじたばた と・とにかく振り払わねば。
「とって食わないから暴れるな。いい子だから大人しくしてくれ」
おっと。誰かが私に語り掛けている。食わないと言っていたからじっとしてみる。
ほっとした息がかかる距離。
誰だ?
「やあ、あひる君。気が付いたかい?びっくりしてるよね。私の言葉も分からないだろうけど私は君に救われたんだよ。もし君さえ良ければ保護するよ」
「保護って、ブライアン様こいつは近隣のあひる牧場から脱走してるんじゃないですか?このままでは泥棒になっちゃいますよ」
「ああ、所有者に交渉して買い上げるよ」
「物好きですね」
「しかし実際に私は彼のお陰で助かったのだからお互い様さ」
「王子様のペットがアヒルになるんですね」
「それも良いだろう」
くすりとその人は笑った。