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俺のマリー

作者: 鬼瓦熊吉

 最近は猫ブームだそうだが俺はどうも好きになれない。


 あの擦り寄ってくる感じとかな。だいいち手がかからないからいい、とかいうのが面白くない。


 犬は飼った以上は散歩はかかさないし、愛情をかける分だけ応えてくれる。


 大型犬も飼った。どちらかと言えばガタイの大きいほうが愛情をかけた分だけ応えてくれるような気がする。


 いまはそこそこ経済力があるから、調教師もつけている。


 ところがな、早死するのだよ。


 これは今に始まったことではなく、どれだけペットを死なせたかわからない。


 金魚、メダカはいい。自然の摂理があるからな。


 ハムスターのメメを可愛がっているときに、侵入した野良猫に拉致された。だから猫が嫌いなのだよ。


 このときは包丁を振りかざして追跡して大騒ぎになったが。だけどメメの葬式くらいはしたいではないか。


 どうしてこんなことになるのか。


 俺は泣くばかりだ。見た目は強面だが心はやさしいのだよ。


 先日シェパードのレオが死んだ。健康診断も予防接種もしていたし、散歩も欠かさなかった。


 死因を獣医に聞いたら心不全だと言う。人間の高齢者と違うんだぞ、まだ3歳だった。


獣医は苦しまなくてよかったとか言っているけれど、冗談じゃない。


ボロボロになっても看取りたかったよ。


 これから個人的に忙しくなるので犬を飼うのはあきらめた。


それで亀を飼うことにした。亀男だ。縁日で売っている500円コイン程度のミドリガメではない。


 あれは三か月でルンバになってしまう。


 だから地味な日本の亀をペットショップで買ったのだよ。


 ところがこの亀男も一週間で死んだ。


 こうなると呪われているとしか思えない。


思い当たることは一つしかないのだよ。マリーやっぱりお前かよ。


 幼稚園はばあちゃんの意向で徒歩で30分もかかるところだったのだよ。何だか老人会の関係で。


 とはいっても昔は一年保育だから体力はあった。


 とにかく広大な墓地があるのだよ。入園時の集団登校が終わったあと一人で通園したのだけれど、墓地を突っ切ると10分短縮できる。


 この途中に動物の墓があった。いまや人間だって墓の買えない時代なのになんと贅沢なことか。


 それにしてもよくったった一人で墓を突っ切って登園したものだ。


 知らないということは怖いものはないのだな。


 しかもこの墓は写真付きだった。


 白い小型犬はスピッツだろう。名前はペスだった。コリーはジョンだった。


 それでマリーだが。これは完全に雑種なのだな。しかも器量が悪い。目は小さいし離れている。


 よくこれでマリーなんて名前を付けたものだ。


 だけど飼ってしまえば可愛いのだろうな、マリーの墓が一番立派だった。


 それでな、朝声掛けをするのだよ。たわいもないことなのだけれど、帰りにまた来るからねとか。


 よくは覚えていないのだよ。何しろ幼稚園児だから。何回かはこの三匹と遊んだと思う。


 そんなことを言ったて、確証はないし。俺の記憶だけの話なのだよ。


 あのギターの物悲しい旋律が流れてきそうな話だろう。


 だけどマリーは我儘だった、他の犬は天寿全うみたいな雰囲気だったけれど。


 おそらく何らかの事情で早死にしたのかもしれない。


 もっともっと可愛がって欲しかったのかもしれないと思う。


 だけど俺に感情移入されても困るだけなのだよ。


 俺は来月結婚する。どうすればいいのだろうか。


 




 


 

 




 


 


 



 

 


 






 


 


 


 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 熊吉さん、ホラーのはずなのにサービス過多です。 亀がルンバになるところでプッと噴出してしまいました。 ”僕のマリー”という曲をご存知ですか? ザ・タイガースの初期作品ではなかったかな。 …
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