対G戦
アルヴ歴213年4月16日
フィンシオン領~テポート村
俺たちは宿泊している家から飛び出し、まずは村長宅に向かう。
「村長、起きてください!夜襲がありました!」
奥からどたどたと村長が慌てて出てくる。
「シ、シン様?や、夜襲とは?」
「畑方向にゴブリンと思われる集団がいます。最低でも30体はいます。村人を避難させてください」
「そ、そんな!ゴブリンが30体ですか?」
「えぇ、油断しなければ我々でも倒せる数ですので今から退治に行きます。念のため村人は避難してください」
「わ、わかりました。すぐに避難させます。シン様お気を付けくださいませ。戦える村人も起こして向かわせます」
「いや、戦える村人はこちらで戦えない方達を守ってください。ゴブリンの数が多いので何があるかわかりませんから」
「そ、そうですか。わかりました。では、すぐに村人を避難させます」
「お願いします」
村長と別れ、畑方面へ向かう。畑に近づくにつれ、気配をより強く感じるようになる。ゴブリンは30体どころではないようだ。
「ゴブリン達がすぐそこにいる、数は……100体以上だ!」
「えっ?ひゃ、100体?」
「あぁ、予想よりちょっと多かったみたいだな」
「いやいや、ちょっとどころじゃないですよ、シン様」
「最初に魔法で数減らそうか、ルーシア、ロゼッタいけるか?」
「はい、シン様」「え?は、はいっ!大丈夫です」
「火魔法は目立つし、ロゼッタが風魔法得意だからウィンドカッターで行こう」
俺達3人はゴブリンの集団に向けて、ウィンドカッターの魔法を放った。ロゼッタは2本の風を出すので精一杯のようだ。俺とルーシアは10本のウィンドカッターを出した。
ゴブリンの集団にウィンドカッターが炸裂する。ただでさえ夜間であるのに、見えない魔法により仲間が次々に切断されていく様子に、集団は大混乱に陥った。逃げる者、俺達を探す者など指揮系統も混乱しているようで、ゴブリンは四方八方に散らばって行く。俺達はもう一回ウィンドカッターを放ち、近接戦闘の準備に入る。
「よし、大体半分くらいは倒せたかな?」
「す、すごいシン様、ルーシア様も」
「さすがはシン様、我々も負けてはいられませんね」
「混乱している今がチャンスだな、行こう!」
「応!!」
順調にゴブリンを減らしていく、こちらに向かってくるゴブリン達も、ヨシュアやウォレスがさくさくと倒していく。棍棒のようなものを振り回してくるが大振りなので簡単に避けられる。ゴブリンて本当に弱いんだなと少し心に余裕ができた俺は、ゴブリンを神眼で見た。
■名前:ー(2)
■性別:♂
■種族:ゴブリン
■ジョブ:ー
■状態:混乱
■ステータス
体力12/12 魔力8/8 筋力8 耐久力6
敏捷5 器用6 知力5 精神力3 運80
■スキル
パッシブ
〔繁殖能力上昇☆〕
弱っ。これなら村人でも倒せるよな。数が多い時だけ脅威か。
ゴブリンの弱さに少し油断していた頃、突然目の前が明るくなる。火だ!火が飛んでくる!慌てて俺は水魔法で火を消化する。簡単に消すことができた。
火が飛んできた方向に、少し毛色の違うゴブリンがいた。再度神眼で見る。
■名前:ー(3)
■性別:♂
■種族:ゴブリンマジシャン
■ジョブ:魔法士3
■状態:正常
■ステータス
体力18/18 魔力12/22 筋力8 耐久力9
敏捷8 器用8 知力12 精神力10 運90
■スキル
パッシブ
〔繁殖能力上昇☆〕
アクティブ
〔火魔法1〕
何?ゴブリンマジシャンだと?そんなやつもいるのか。
「みんな気を付けろ。ゴブリンマジシャンって奴もいるぞ」
「え?ゴブリンリーダー以外にもいるんですか?」
「あぁ少し毛色が違うやつは、特殊なゴブリンみたいだ」
そんな話をしていると、集団に一際大きなゴブリンを見つけた。両サイドにも普通のゴブリンじゃない奴がいる。
■名前:ー(4)
■性別:♂
■種族:ゴブリンリーダー
■ジョブ:剣士5
■状態:正常
■ステータス
体力30/30 魔力26/26 筋力16 耐久力15
敏捷12 器用14 知力16 精神力10 運90
■スキル
パッシブ
〔繁殖能力上昇☆〕〔統率1〕
アクティブ
〔剣術2〕
「いた!あいつだ!あいつがゴブリンリーダーだ!」
俺はとっさに、流星群を放つ。
「グギャッ?」「ギャー?」
ゴブリンリーダーの周りのゴブリン達も次々に潰されていく。
砂埃が舞い、周りの視界が狭まる。ゴブリンリーダーが倒れたことにより、こちらに向かってきていたゴブリン達も散り散りに逃げ出し始めた。
これで村も大丈夫だろう。と、戦闘が終わる安堵感に少し冷静になったところで、砂埃が晴れて周りが見えるようになる。そこには、俺の魔法で潰されたゴブリン達の死骸があった。殆ど原形を留めていない。
「ぐっ!お、おえぇっ……」
思わず吐き出してしまった。ゴブリンの集団に襲われたという考えが強かったときは何とか生き残るために戦おうという気持ちでいっぱいであったが、いざ戦闘が終わると前世の時には絶対にありえない、殺人をしてしまったと考えてしまったのだ。もちろんゴブリンは魔物であって人ではないが、前世で小動物すらも殺したことのない俺にとってはこの光景に寒気がした。
「シン様、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、ルーシア。もうゴブリンは残っていないかな?」
「はい、残ったゴブリンは逃げ出しました。といって、20体も逃げてないと思いますが」
「みんな、怪我してないか?」
「はい、我々は誰も怪我していません。ただ……」
「どうした?」
「いえ、畑を監視していた村人が数名亡くなっていました。恐らくは我々が来る前に既にこと切れていたと思います。ゴブリンにかなり喰われていました」
その言葉にまた吐きそうになるが、堪えた。
「そ、そうか。残念だが仕方ない。では帰ろう。村長にも伝えてあげないとな」
俺の初戦闘は終わった。能力面から考えれば苦戦するはずもなかったが、やはり生き物を殺すということに前世からの知識がある分抵抗感は強かったようだ。だが、この世界で生きるためには慣れていくしかないと思う。躊躇えば死ぬのは自分になってしまうのだ、この世界では……。
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■名前:シン・フィンシオン
■性別:男
■年齢《5》■生年月日《207/9/25》
■ジョブ《村人21》
■ギルド《冒険者F1》《商業B/フィンシオン商会/会長》
■ステータス【4,640】
体力《298/298》魔力《152/312》
筋力《124》耐久力《149》敏捷《141》
器用《145》知力《157》精神力《155》
運《300》
■スキル【176】
ユニーク
【神眼8】【創造魔法8】
パッシブ
【全言語理解4】【全属性魔法適正☆】【全属性耐性5】【全異常耐性5】〔成長速度上昇☆〕〔回復速度上昇8〕【再生5】〔無詠唱☆〕〔魔力操作5〕〔速読3〕〔算術3〕〔アイテムボックス5〕【オラクル☆】〔統率1〕new!
アクティブ
〔短剣術3〕〔剣術5〕【槍術1】〔弓術2〕〔投擲術2〕【罠術1】〔索敵術3〕up!〔馬術3〕〔鍛冶1〕〔錬金1〕〔調合1〕〔採取3〕〔解体1〕〔開墾1〕【祈祷☆】〔六属性魔法☆〕〔空間魔法☆〕
■称号
【宇宙創造神の加護】【代理神の加護】
■賞罰
なし




