終わらない創造
『設定された環境に達しました。次の指示まで待機します』
音声と共に早送りされていた景色が止まる。
そしてモニターに文字が浮かぶ。
《アルヴァース設定画面》
■地形変更
■気候変更
■生物変更
■集落変更
■遺跡変更
■迷宮変更
■通貨作成・変更
■秘書作成・変更
■時間進行
■転生体作成
×転生開始 ※転生体が作成されていません
「な、な、なんじゃこりゃ〜っ‼︎‼︎」
本日何度目かわからない。なんじゃこりゃ。
モニターを二度見する。目を擦って見る。
い、いかん。突っ込みどころがありすぎる。
何から突っ込もう。ここは落ち着くんだ。俺。
冷静に一個づつ確認しよう。
うん。魔法使いは常に冷静であれと、某漫画の大魔導士も言ってた。
これをつぶやく時点で絶賛パニック中だ。
とりあえず少し落ち着いた所で、一番上の地形変更を選んでみた。
『変更したい場所を選んで、変更したい地形を選択してください』
声と共にアルヴァースの地球儀のようなものが目の前に現れる。
指でなぞった瞬間、俯瞰で見えた世界が変わる。今なぞった場所に飛んだらしい。
スマホの操作みたいに二本の指で拡大縮小もできる。
何もない平原を指でクリックして見ると選択肢が出た。
《地形変更》
■丘
■湖
■河川
■草原
■岩石
■森林
×砂漠
×海
×山
■取消
ある意味予想どおりだが、こんなに簡単に自然が操作出来ていいのか?流石に海とかを大陸の真ん中に持って来れないのは安心したが。これは、自分勝手に操るのはやめよう。
気候変更、生物変更も同様にとんでもないチートだ。流石に使うのが躊躇われる。
折角できた世界だからな。ここはそのまま手を触れないことを心に決めた。
集落変更は、今各種族が作っている町や村の規模を変更できるみたいだ。建物を追加したり塀を強化したりできる。今の所肩入れしている種族があるわけでもないし、戦争が起きるほど人も多くない。操作することで却って良くないことが起きそうだ。
遺跡変更と迷宮変更はちょっと心が動いた。
遺物とは所謂アーティファクトと言えそうな、転送装置や近未来の兵器など時代を無視した物が設置されている。ただ、既に初期設定で準備されてるから変更する意味はなかったが。むしろアーティファクトを消した方が良いと考える人にはこの能力はいいだろう。俺は消さない。現状維持派だ。
迷宮は言わずともお解りいただけるだろう。
迷宮内の魔物、罠、アイテムなど変更ができる。階層を追加するとかはできない。残念。
でも幾つか迷宮を見てみたがかなり深い物もあったので、廃人も納得いただけるだろう。この世界に廃人はいないと思うが。俺以外。
折角なので、ソコソコ深い迷宮と、一番深い迷宮の再奥のアイテムをメチャクチャ豪華にしてやった。ソコソコ深い迷宮には、金色の魔剣、金色の魔鎧セットだ。一番深い迷宮は神剣、神鎧セットだ。神様も殺せる。この世界に神がいたらだが。まあ大抵切れるし、大抵防ぐ。ほぼ無敵になれる。
でも一番深い迷宮に入れるくらいなら、神剣とかなくても多分最強の部類だろうな。
迷宮は一旦これでいいとして、次は通貨作成・変更だ。今出回っている通貨の価値を変えれるらしいが、新規作成もできるらしい。
うーん。面倒くさがりの俺からすると、通貨は実は一つがいいんだよね。ただ既に通貨の種類はこの世界で、10種類以上ある。そりゃ種族も違えば国も違うから当たり前なんだけどねー。為替計算とかみんな面倒だろうな。
お!いい事思いついた。
通貨新規作成で共通通貨作ろう。利用種族設定もできるから、これで世界で一番使われる通貨になるはず。いつかは……。
新規作成をクリックする。
《通貨設定》
■通貨名称【アルヴ】
・小銅貨=1アルヴ
・銅貨=10アルヴ=小銅貨10枚
・大銅貨=100アルヴ=銅貨10枚
・銀貨=1,000アルヴ=大銅貨10枚
・金貨=10,000アルヴ=銀貨10枚
・白金貨=1,000,000アルヴ=金貨100枚
■利用種族【全種族】
と設定した。ネームセンスなし。
『アルヴ通貨を世界共通通貨に設定しました』
むむむっ!早い!俯瞰で世界を見たら既にアルヴ通貨が発行されていた。これで暫くしたら、世界に行き渡るだろう。てかこれ作ったの何処の国だ?どうやってこのモニターは伝達したのだろう。
謎は深まるばかり也。
さて、ついに突っ込みどころのメインとサブに来てしまった。まずはサブからだ。
秘書作成・変更だ。
俺の横にまさか秘書が出て来てくれるのだろうか。
美人秘書。
いい響きだ。
さあ作りましょう。美人秘書。
秘書作成・変更をクリックした。