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アルヴァース・クリエイト 〜異世界適当創世記〜  作者: 神在月
2章 冒険者ギルドと商業ギルド
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幕間 旅の真実

ーレグスsideー


アルヴ暦213年2月25日

フィンシオン城〜軍議の間


「お館様、全員集まりました」


執事サントンが皆集まったことを伝えてきた。


「うむ。先日食堂に集まってもらった時にシンの従士の話をしたと思うが条件を追加させてもらう。年齢は15歳以下であること。その中で個の力が強く忠義ある者で頼む。身分・種族は問わない。あとはお前達が将来性があると見込んでいるものでお願いしたい」


従士の条件を伝える。しかし、皆納得できない顔をしているようだ。だろうな。


「お館様、何故15歳以下の新米兵を従士とされるので?ベテランを付けなければ従士の意味がないのでは?」

ロイドが問う。


「あ、あぁそうだな。実は従士以外にも冒険者ギルドに護衛依頼を出してある。ランクC以上でな。それとなく旅に同行して欲しいと依頼しているから旅の途中で合流してもらう予定だ。旅の知識は冒険者の方がいいだろう?」


「なるほど、然し騎士の中にも元冒険者はおりますが?」


「うむ、そこなんだがな。ここからはシンとは直接関係はない話だ。お前達にはキチンと伝えておかないとな……。これから話す事はこの場にいる者以外に口外する事を禁ずる」


その言葉に皆頷く。


「実は、近い内に戦が始まる可能性がある」


「「「っ‼︎‼︎⁉︎」」」


皆一斉に厳しい顔付きに変わる。


「実はシンに旅をさせるというのは、建前だ。戦場は恐らくシアルグラス北西部となるだろう。最初にレティシア方面に向かう筈だし、もし北か西へ行こうとすれば、レティシアに行くように命令すれば戦場からは遠ざけられるからな」


そう、シンを戦争には参加させられない。普通の大人より既に強いのは知っている。だが、負けたら確実に俺たち家族は殺されるだろう。シンはまだ殺させる訳にはいかない。


皆、戦ということに混乱しているようだが……。いや、冷静に考えようとしているか、何人かは気付いたようだな。


「お、お館様!その方角には、ライアード国領土しかありませんぞ⁉︎」


そう、敵は外国ではない。内部だ。


「あぁ、ライアード国が敵になる」


「な⁉︎何故でござるか?お館様は常に国の為、民の為に戦って来たでござろう!」

グリーグが怒りを露わにする。


「詳しいことは、まだ判明していない。だが、北西部に兵が集まっているという情報が入ったのだ。数としては今は3千人程だそうだ」


「こんな辺境に3千?確かに怪しいな。東のマルシュバーンを攻めるなら我等にも声は掛かるはずですしな。」


「元々この辺境伯領は俺が下賜された時には何も無いところだった。人が住むのは難しいとも……。何せ食糧供給自体されてないからな。他の領地と比べても酷いと言える。ライアード国の上層部は、王宮に俺がいるのが鬱陶しくて、嫌がらせでこの地の辺境伯にさせたと思ってたんだが、もっと悪どかったようだ。俺に死んで欲しいと思ってたんだろう」


「そんな!あんまりだ。あんな役にも立たない大臣達の某略でこの領が戦場になるなんて‼︎折角ここまで大きくなったのに!」

アルベルトが唇を噛み締め拳に力が入る。


「しかしどういった理由で攻め込むつもりでしょうか?何も我等は悪事を働いた訳でもないのですが」

シュトラウスが当然の疑問を口にする。


「そんなの簡単だろ?今は何月だ、先月徴税官が来たばかりだからわかるだろう?」


「なっ! まさか、帳簿を改竄して、税を納めてない事にするとでも?」


「あぁ、そうするだろうな。そうなれば俺は国賊なんだよ」


「ははっ! そんなのどうしたらいいんだよ……」


「青いのぅ、エリアス。戦うしかないじゃろうが!ライアード国の誰が来ようと我等は負けやせんわい!」


「ゼウォル。落ち着きなさい。確かに戦うしかないかもしれませんが、真っ向から戦えば兵士数の差は歴然ですわよ。作戦を練りませんといけませんわね」


「おい、ゼウォルとロザリンド。お前らは何で楽しそうなんだ?戦争が始まるって時に」


「ふんっ! この頃は食糧探しに魔物を狩るくらいで、マトモな戦いをしてないからな。腕がなるってもんだ」


「バルフォア……。皆、巻き込んでしまったのに、戦ってくれると言うのか?今の内に国外に出るという選択肢もあるぞ?」


「そんな奴は最初からこんな辺境に来てませんよ。お館様だから、お仕えしているのです。俺はもう王が頼んだってライアードには仕えませんよ」

アルベルトの言葉に皆頷く。


「ありがとう。だが攻めるには俺を国賊に仕立て上げる必要があるから、王都迄の距離を考えれば、攻めてくるのは4月半ば以降になるはずだ。それまでにシンをシアルグラスから遠ざける。そして、戦争の準備を抜かりなく、且つ周りに悟られないように行うことが必要だ。頼むぞ皆!」


「「「応っ!」」」


この戦いは、勝っても負けてもライアード国にとっては意味の無い戦いとなるだろうな。自分達の食糧を保つ為の戦争なんて意味がないのに。それに気づけないこの国の大臣達は本当に……。戦力では圧倒的に不利だが、私の家族や部下達、民達を殺させる訳には行かない!勝つしかないのだ!

この部屋にいる人物です。

騎士団団長ロイド、同副団長エリアス

兵士団団長グリーグ、同副団長マルクーゼ

魔法師団団長ロザリンド、同副団長ゼウォル

近衛隊隊長アルベルト、同副隊長バルフォア

内政担当クラウス、財務担当シュトラウス

執事サントン、レグス


お待たせしました。次回から3章に入ります。

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