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アルヴァース・クリエイト 〜異世界適当創世記〜  作者: 神在月
2章 冒険者ギルドと商業ギルド
31/43

商会安定化

アルヴ暦213年2月13日

シアルグラス〜フィンシオン商会店舗



 店舗へやってきて、倉庫に入る。スープを少し飲んでみたが暖かいままだった。実験は成功した。この中であれば物は腐らない。何時でも新鮮なままだ。


 まだ倉庫は半分近く空いているので、昨日と同じように食べ物を出す。さらに、部屋の中に、2階も創るイメージもした事で、収納力が2倍の倉庫になった。これで暫く旅に出ても問題ないな。


 倉庫から出るとルーシアが話しかけてきた。


「シン様、この倉庫は大変素晴らしいのですが、誰でも入れてしまうのは危険です。もし盗賊などが目をつけたら、中身を全て奪われる可能性があります」


 盲点だった。確かにそうだ。盗賊に目をつけられたらそれこそ、みんなの命の危険もあるしな。


「ありがとう、ルーシア。全然気付いてなかったよ。ルーシアの言う通りだな。でもどうするかな……。鍵は盗られたら意味ないしな」


「この扉自体に許可した者以外入れないようにするのはどうですか?」


 指紋認証とかか?あ、魔導具と同じ仕組みか。出来そうだな、魔力認証って感じか。


「出来るかも。やってみるか」


 ドアに魔力認証用のセンサーをイメージして創造魔法を使う。ドアに黒いガラスのような物が出来た。


 俺がマスターとなり、俺が指示した時に魔力を流してもらうと、登録されるようにした。


 試しに魔力を通す前にマチスに開けてもらうようお願いした。バチッと音がなりマチスが飛び退いた。


「な⁉︎なんですか今の?」


「あぁすまん。盗難防止用の罠だ。これからマチス達には、この罠が発動しないような処置をする」


 1人ずつ、扉の前で魔力認証登録を行った。


「よし、マチス。もう一回開けてみてくれ」


 恐る恐るといった感じて、マチスがもう一度扉を開けようとする。今度は何事もなくドアノブに触れる事ができ倉庫に入れる。


「よし、成功だ。これで関係者以外入れない。一応この罠の事は口外しないよう頼む」


 皆が頷く。後は警備も雇いたいな。マチス達に危険が及ぶのは忍びない。


 ちょっとロクスリーの処に行ってくる。開店準備だけ進めといてくれ。


「かしこまりました」


 俺とルーシア、サーシャで奴隷商に行く。

 ロクスリーがまた出迎えてくれた。


「これはシン様ようこそいらっしゃいました。何かこの前売った奴隷達に不手際でもありましたでしょうか?」


 そういや買って2日しか経ってないな。


「いや、商会を警備出来る人材が欲しくてな。強そうな奴1人お願いできるか?種族、性別は問わない。この店で1番強い奴がいい」


「……かしこまりました。少々お待ちください」


 まぁ奴隷だからそんなに期待はしていない。

 お茶を飲みながら暫く待ってると1人連れてきた。隻腕の男性だ。しかも結構イケメン。神眼で見てみる。



 ■名前:レオン(25)

 ■性別:男

 ■ジョブ:傭兵9/剣士19/村人12

 ■状態:正常/左上腕切断

 ■ステータス

 体力65/130 魔力85/85 筋力50/103 耐久力90 敏捷70 器用81 知力62 精神力73 運100

 ■スキル

 パッシブ

 〔身体強化2〕

 アクティブ

 〔短剣術2〕〔剣術4〕〔気配察知4〕〔気配遮断2〕〔採取2〕〔開墾2〕〔解体2〕

 ■賞罰

 犯罪奴隷


 強いぞ。恐らく片腕になって戦えなくなったんだろうな。欲しい逸材だ。


「カードをご覧ください」


 ロクスリーが渡してくるが、既に内容は知ってた。記載内容も同じだ。


「何故奴隷になった?」


「見ればわかるだろ?片腕じゃあ何処も雇っちゃくれない。取り敢えず生きるために治癒師に治療費を払ったが、腕の再生迄はできないからな。それで人頭税が払えずに奴隷になったって訳だ」


「俺の商会を護って欲しい。その位ならできるだろ?」


「買ってくれるなら何だってやるさ。それが奴隷ってもんだろ」


「ロクスリー、こいつは幾らだ?」


「はい。片腕ですが、それでも能力的には他の者たちより強いです。しかしお付き合いのある、シン様ですので、80万アルヴで如何でしょう?」


「買おう。手続きを頼む」


 前回同様手続きをして、金を払う。主に大銅貨でってところが少し恥ずかしい。


「確かにありがとうございました」


「じゃあレオンは俺の奴隷だからもう腕を再生させて大丈夫だな」


「はっ?」「え?」

 ロクスリーとレオンの声だ。


「ルーシア、手伝ってくれ」


「はい。シン様」


 俺とルーシアは光魔法と水魔法を複合させた回復魔法を使い、腕の再生を試みる。


 固まった切断面が、最初は全く動かなかったが、暫く魔法をかけていると、細胞が弾けたように切断面から飛び出てくる。ニョキニョキと切断面からまずは骨が再生される。その次に筋肉、血管、神経のような物が絡まりあいながら伸びて骨の周りを覆い、最後に皮膚が再生された。


「「なっ⁉︎」」


「動くか?俺も初めての再生魔法だから自信はあまりないが」


 サーシャの時は再生と言うよりは回復だったし。俺が再生で、ルーシアが回復魔法と分業すれば、そんなに難しくないな。


 そんな事を考えているとレオンが元切断されてた方の腕、指を動かし始める。


「ま、まさか。腕が生えてくるなんて!これは夢か?信じられねぇ……」


「シン様、貴方はいったい何者ですか?」


「何者って、ただの辺境伯の息子だよ」


「シン様、腕を治してくれてありがとう。俺はあなたに忠誠を誓おう」


「丁寧な言葉を使わなくていいぞ」


「それは助かりますがね。一応礼儀はキチンとしないと。バチが当たるってもんですよ」


「好きにしてくれ。じゃあ行くか」


「お、お待ちください!シン様」


 ロクスリーに引き止められる。何だ?なんかしたか?まさかイチャモンつける気か?


「先ほどの魔法で、治して頂きたい奴隷がいるのですが、お願いできないでしょうか」


 どういう事だ?治して欲しい奴隷?あぁ同じような四肢欠損の奴隷がいるのかな?


「治せる範囲でいいなら、協力しよう」


「あ、ありがとうございます。直ぐに連れて参ります」


「シン様、甘いですよ。何でも安易に受けてはいけませんよ」


 サーシャが助言してくる。


「その分、奴隷を買う費用まけさせればいいじゃないか」


「あぁ。シン様が汚れて行く〜。何とかしないと。私の教育が間違ってたのかしら?」


 あんまりサーシャに育てられた記憶はないのだか……。まあ教育係だしな。


「お待たせしました、この子です」


「‼︎⁉︎」


 サーシャとふざけてた所に1人の子供が連れられてきた。多分子供だ。酷いことに四肢全て欠損、顔はボコボコで原型を留めてない。これで生きているのか?


 サーシャとルーシアは目を背けている。当然だ俺もこんな酷い姿は前世でも見たことない。


「この子は、何故こんな姿に?誰がこんな酷いことを⁉︎」


「それが、詳細がわからないのです。連れてきた物も金は要らないから引き取ってくれと、半ば強引に置いていなくなっていまったのです。カードも持っていないので、身元確認も出来ず困っていたのです。この姿なので教会にカードを作りに行く事も出来ません。あまりに可哀想だったので、息を引き取るまでは、世話をしてやろうと思って……」


 ロクスリーよ。奴隷商にするには勿体無いくらいいい奴だなお前。わかった。俺が治してやるぞ。まずは確認からだな。神眼で種族とかも見れないかな?


 ■名前:カミラ(4)

 ■性別:女 ■種族:魔人族

 ■ジョブ:不死王1(変更不可)

 ■状態:仮死/四肢欠損/頭部損傷/全身打撲

 ■ステータス

 体力1/24 魔力83/83 筋力15 耐久力12 敏捷35 器用19 知力35 精神力48 運93

 ■スキル

 パッシブ

 〔身体強化1〕〔魔力強化1〕〔状態異常耐性2〕〔再生1〕〔不死☆〕

 アクティブ

 〔吸血1〕〔隷属1〕〔忍足1〕

 ■賞罰

 犯罪奴隷



 なに⁉︎不死王だって?ギフトジョブかよ。それで死なないのか?再生スキルも持ってる。吸血があるってことは、リッチとかよりはヴァンパイアの類か?あら?種族が見えてる。神眼何でもありだな。……魔人族か。しかし、治していいのかな?でも4歳だから、悪いこと出来るわけないしな。


「ロクスリー、この子を治すのはいいが、目覚めた時に暴れたりした場合、直ぐに抑えることはできるか?」


「今は私の奴隷扱いなので、大丈夫ですが。何か?」


「先に伝えよう。俺は鑑定能力があるから、この子の種族とジョブも見えた。この子は魔人族でジョブが不死王というギフトジョブ持ちだ。このジョブ特有スキルかも知れないが吸血と隷属スキルを持っている。もしかしたら逆に隷属させられる可能性があるってことだ」


「え?人物鑑定のスキルが?シン様のジョブって一体……?。しかし不死王ですか……?そんなジョブ聞いたこともありません。それに吸血と隷属のスキルとは……。そのジョブとスキルのせいで、殺されかけたのでしょうか」


 そうだろうな。しかしどうしてこんなジョブが?取り敢えず治してみるか。


 ルーシアは見づらそうなのでまずは顔から上を再生しよう。髪が生え、歯が生え、潰れた鼻も戻って、ボコボコだった肌が綺麗になっていく。潰れていた目も治ったようだ。そこには紫髪、色白の可愛い女の子がいた。大人になれば俺好みになりそうだ。魔人族のイメージとは違うが。


「ルーシア、身体も再生させる手伝ってくれ」


 こちらを見て顔が治ったのを見て安堵した感じで近づいてくる。


「はい、シン様」


 2人で魔法を掛けて一気に再生させていく。


 無事に再生出来たようだ。だが意識が戻らない。だが状態が正常になったから、大丈夫だろう。そろそろ店舗を開く必要もあるので、帰らないとな。


「治ったようだし、帰るよ」


「シン様ありがとうございます。出来ればこの子も連れて行っていただけないでしょうか」


 おいおい押し売りか?商人魂逞しいな。


「恐らくこの子は、3歳で親に捨てられたのだと思います。教会でジョブを見て親が育てられないと思ったのでしょう。シン様の元でならこの子は幸せになれるかもしれません。治していただいたのですし、お金も結構です。よろしくお願いします」


 前言撤回。すまん、ロクスリーお前はいい奴だったな。


「わかったよ。俺が引き取ろう。幸せに出来るかはわからんがな」


 5歳の子供が言うセリフじゃないな。仕方ないが。


「ありがとうございます。すぐに手続きをします」


 首輪を付けてもらい。手続きが終わった。今度こそ帰って店を開けねば。


「では、帰るぞ」


「シン様、本当にありがとうございました。またのお越しお待ちしております」


 ロクスリーは深々とお辞儀しながら、見送ってくれる。


 商会に戻り開店する。レオンに外の誘導をまかせることで、昨日よりはスムーズに販売を終了する事ができた。例によってレオンは食べ物に驚いていたが、いつもの事だ。そして、カミラはまだ目を覚まさなかった。


 売上3,264,700アルヴ


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