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アルヴァース・クリエイト 〜異世界適当創世記〜  作者: 神在月
2章 冒険者ギルドと商業ギルド
30/43

開店記念

アルヴ暦213年2月12日

シアルグラス〜フィンシオン商会店舗


「シン様!外が騒がしいようですが、何かあったのですか?」


 マチスが聞いてきた。まあ朝からあんだけ騒いでたら、心配にもなるわな。


「いや、お客を一緒に連れてきただけだよ」


「お客?え?あの今外にいる方が全てお客様ですか?」


「あぁ。そうだ。今から開店するが、マチスは、俺たちと一緒に清算係な。ナタリーとルナは、申し訳ないが、外で待ってるお客さんを10人ずつ、店へ入れてくれ。一気に入られたら大混乱だからな。一応開店時に俺が説明するが、これから来るお客さんには、ナタリー達が説明して並んで貰ってくれ」


 奴隷達がみな、頷く。


「シンさま!あたしは?」


 マリアが聞いてきた。うーん、しまった。マリアの仕事がない。お金の計算はできないしな。外でナタリー達の手伝いも、まだ幼いマリアにはきついだろうし……。お!いい事思いついた。


 俺は、ある食べ物をイメージする。部屋一面にその食べ物が出てくる。箱に入ったハート型のストロベリーチョコレートだ。もうすぐバレンタイン……。前世では無縁であったイベントだが、今や懐かしく感じるものだ。別にこの世界で流行らせようとも思ってない。これはフィンシオン商会の開店記念だ。ハートの上にはチョコレートでフィンシオン商会と文字を入れてある。これを来店者に無料で配布する。勿論マリアがだ。


「わぁ凄い沢山あるね!シンさまこれをどうするの?」


 出し過ぎたので大半をアイテムボックスにしまう。取り敢えず2,000個は入口横に置きマリアをそこに立たせる。


「マリア。君の仕事は、お客さんが帰る時にこれを渡して欲しい。渡す時に、開店記念です。どうぞ、お持ち帰りになってお食べください。って言って渡してくれるか?」


「お金はいいの?」


「あぁ、これは贈り物だからお金は取らないよ」


「ほ、本気ですか?食料をお金を取らずにあげるなんて⁉︎」


 マチスが驚いている。


「いいんだ、殆どお金掛かってないから。それよりも、フィンシオン商会をアピールする方が大切なんだよ。じゃあ他にも商品出すか」


 アイテムボックスからいつものポップコーンを出す。更に今日は、ホットドッグを売れるか試そうとホットドッグを大量に創造魔法で創る。創ってアイテムボックスに9割程度しまう。それでも1,000個以上は出したままだ。


「そ、その食べ物!私達も今日食べたけど、美味しかったです」


 ナタリーが言う。食べ物って言うのはパンがこの世界とかけ離れてるからか。この世界のパンは黒くて硬い。スープに浸して食べるのが一般的だ。


「これはホットドッグって言うパンに肉を挟んだものだよ。売れるようなら、今後はナタリーに作り方を教えるよ」


「これ、パン何ですか?今まで私達が食べてた物と全然違いますね。このような食べ物の作り方を教えて頂けるなんて光栄です」


 ホットドッグなんかで大袈裟だな。でもこの世界にしたら当然か。


「ナタリー。このホットドッグも大銅貨1枚で売ろうと思うが高いと思うか?率直な意見を聞かせてくれ」


「大銅貨1枚?このホットドッグがですか?恐らくですが大銅貨3枚でも買う人は多いと思いますよ」


 やっぱこの世界の食べ物は高すぎだな。フィンシオン領だけでも早急にこの1/10位まで下げてやらないとな。


「目的は、シアルグラスの住民を飢えないようにする事だから、大銅貨1枚でいいや。あとポップコーンは2つで大銅貨1枚とする」


 [ポップコーン2個で大銅貨1枚、1個銅貨5枚!][新商品!ホットドッグ‼︎ 1個大銅貨1枚!]という2枚の板をカウンターに掲げる。


 準備OKだ!お釣りの準備も行い開店する。


「よし、開店するぞ」


 店舗の入口ドアを開けて外に出る。待っていた人達から歓声が上がる。うわっ‼︎さっきの倍くらいの人数だ。暴動と間違われるのもわかる。


「みなさん大変お待たせしました。今から開店しますが、お願いがあります‼︎」


 しーんっと静まって俺の声をみんな聞いてくれる。


「店の中に一斉には入れませんなので、店の人間が案内するまで外で並んで待っていて欲しいのです。商品は沢山あるので、後の順番の方も必ず買えるようにします。是非よろしくお願いします」


 みんな最初は顔を顰めていたが、俺の言ってる事が理解できると、納得し始めて並び始めた。


「ありがとうございます。では、本日からポップコーンは銅貨5枚です。また、新商品も作成しましたので試して頂けると嬉しいです。ホットドッグと言います。大銅貨1枚です。また、お帰りの際に開店記念として、チョコレートと言うお菓子を無料でお渡ししますので、どうぞ召し上がってください」


「ポップコーンが半額だと⁉︎流石フィンシオン辺境伯様のお店だ!」


「ホットドッグって言ったか?俺はそっちにしてみる!」


「無料でくれるとか、どうなってるんだ?このお店は。信じられねぇ‼︎」


 住民が期待からか、ザワザワと話し始める。そんな中、ナタリーとルナが最初の10人をお店に入れる。一緒に俺も店に入りカウンターに立つ。


「いらっしゃいませ〜。今日は何にしますか?」

 と、店員っぽく話しかける。マチスにお手本を見せる為だ。最初のお客様は、ちょっと年配の女性だ。


「ホットドッグ2つとポップコーン2つください」


「ありがとうございます。大銅貨3枚です」


 お金を受け取り、ホットドッグ2つとポップコーンを2つフィンシオン商会の紙袋に入れて渡す。


「またのご来店をお待ちしております」


 高級なお店ばりの接客だ。そして帰りにマリアが待ち構える。


「はい、こちら開店記念です。お持ち帰りになってお食べください。ありがと〜ございまし〜」


「まぁ。何かしらこれ?チョコレートって言ったかしら。ありがとう。食べてみるわね」


 こうして、ドンドンと流れ作業のように、販売していった。


 外では既に買った人たちが、初めて食べるホットドッグやチョコレートに驚き、もう一度並ぶ物や、知人を紹介して来たりと、夕方過ぎて薄暗くなるまで、客が途絶えることはなかった。


 最後の方には、ナタリーも店内で袋に入れる作業を手伝ってもらって、やっとのことで捌いていった。


 最後のお客さんが出て、閉店する。今日はめちゃくちゃ売れた。屋台以上だった。お金の集計を始める。俺、ルーシア、サーシャ、マチスの4人で黙々と数える。ナタリーとルナとマリアには掃除を頼んでいる。


 集計が終わった。売上3,561,600アルヴだ。屋台の倍くらいの売上だ。白金貨3枚。1日でマチス達分の元は取った。


「さ、350万って⁉︎そんなにですか?」


 マチス達が毎度の事だか驚いてる。さて、だが本題はここからだ。店舗を改造して、食材置き場を創らないとマチス達だけで商会運営ができないんだよな。しかしやっぱり人手不足だ。俺、ルーシア、サーシャが手伝ってもギリギリなんだからな。最低あと3人はいるな。いや、これから調理する事を考えるともっといるか。


「みんな、聞いてくれ。俺とルーシアとサーシャは、4月に旅に出ることが決まっている。今月中には、この店はマチス達だけで運営出来るようにしたい」


「え?あのお客さんの人数をですか?」


「あぁ。今人手が足りないのは理解している。因みに人って奴隷商以外はどうするんだ?募集掛ければ集まるのか?」


「募集したら、恐ろしいくらい希望者が現れると思いますよ。食べ物屋は、大人気ですから」


 ナタリーが言う。食べ物の価値が高すぎるから、仕事としても人気なのか。


「募集するか?それとも奴隷をまた買うかだな。取り敢えず今日はもう遅いから帰ろう。あ、その前に改造出来るとこはしてしまおう」


 食材置くなら、地下がいいよな。ん?空間魔法って使えるのかな?スキルレベルも高いから何かしら使えそうな魔法ないかな?色々考える事が山積してるな。駄目元でやってみるか。店舗裏口のすぐ横にもう一つの扉を創る、創造魔法と空間魔法を掛け合わせるイメージで、扉の先も大きな空間になるようにイメージする。


 一つの扉が作成された。壁にシッカリと張り付いている。裏口の扉より立派だ。


 扉を開けて中に入ってみる。素晴らしい。体育館位の大きさはある倉庫だ。しかもイメージ通りであれば、この空間内では、食材は腐らない。そう時間凍結をイメージしたから。でも実験しないとな。アイテムボックスから暖かいスープの入った鍋を数個取り出して、倉庫に置いておく。明日見てみよう。


 今日はあと一回創造魔法が使えるので、この空間いっぱいに入る食材をイメージする。


 当面のホットドッグ、ポップコーンに加え、小麦、野菜、パン、ケーキ、樽に入れた飲料を出した。


「こ、これは?なんだここは?裏口の横の扉から出ただけなのに……」


「すご〜い。食べ物いっぱい!」


「シン様は、本当に凄い方ですね」


「……ご主人様」


「わわ⁉︎シン様ここなんですか?」


 みんな一斉に話し出す。マチス、マリア、ナタリー、ルナ、サーシャだ。ルーシアはあまり驚いてない。


「俺が空間魔法で創った部屋だ。ここに食材置いておくから、好きに食べていいし、これを販売して欲しい」


「これだけあれば、数年は持ちそうですね」


「いや、それはどうかな?噂が広がればこの街の外からも商人が来て買い取りに来るかもしれないぞ。そうしたらあんまり持たないかもな。」


「確かにそうですね。では、商人が来ても販売しなければいいのでは?」


「あくまで食糧不足を解決するのが目的なんだ。他の街が飢えてるなら売る必要はある。それを他の街で売ってくれるならありがたいさ。ただ明らかに異常な程高く売ろうとする悪どい商人だったら、俺が潰すけどな。だから商人が来たら少し安く売ってやってくれ」


「かしこまりました」


「今日はここまでだ。明日また来る」


 まだまだやるべき事があると、悩みながら城へと帰るシンであった。


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