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アルヴァース・クリエイト 〜異世界適当創世記〜  作者: 神在月
2章 冒険者ギルドと商業ギルド
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店舗準備

アルヴ暦213年2月11日

シアルグラス〜フィンシオン商会店舗


「へぇ〜、間取りでは見てたけど、思ったより広いな。それにそんなに傷んでない。直ぐに使えそうだ」


 商業ギルドで買った店舗へたどり着いた俺たちは、内装を確認していた。店舗入口から中へ入ると、40〜50畳くらいはあるであろう広い部屋になっている。


「でも、何も無いですね。照明の魔導具も魔石が入ってません」


 部屋は広いが灯りが無いため少し暗い。外の光が少しは入るが、窓も少ないのだ。当然硝子とかある訳ない。


「このくらいの魔石だと幾らくらいする?」


「多分銀貨1枚くらいです」


 結構準備にも金が掛かりそうだ。それにマチス達の寝床も準備してあげなきゃな。アイテムボックスから大銅貨と銀貨を適当に出して、マチスに渡す。


「マチスすまないが、その金でお前達の服とか魔石とか生活に必要な物を買ってきて欲しい。みんなには此処の2階に住んでもらうから、寝具とかも買って来てくれ」


「え?私達が此処に住んで良いんですか?こんな立派な建物に?しかもこのお金は……。多過ぎるような気がしますが」


「まぁ、まだ給料あげてないから、準備金みたいな物だ。全部使う必要ないから、余ったらお前達で分けて当面の生活費にしろ」


 シンの非常識さに、着いて行けてない面々。額にしたら金貨10枚はある。普通1ヶ月銀貨4〜6枚程度で暮らせるのだ。暫く放心していたマチスだったが、マリアが服の裾を引っ張り、我に返させる。


「あ、ありがとうございます。では、行ってまいります」


「あ、俺たちは城に帰るから、また明日来るよ。あ、そうだ、これ今日の夜と明日の朝のご飯な。ナタリー、みんなで分けて食べるようにしてくれ」


 と言って、アイテムボックスからパン数個とスープの入った鍋、野菜と果物を出して置いていく。


「な⁉︎まさか、アイテムボックス?」


 シュークリームや、お金を出した時には気づいてなかったが、今回は流石に俺がアイテムボックス持ちと気づいたみたいだ。


「あぁ。俺とルーシアはアイテムボックスのスキルを持ってる」


「な!ルーシア様も⁉︎信じられない」


 マチスは元は商人だから、アイテムボックスの有用性と希少性を理解しているのだろう。驚き方が半端ない。そんなマチスを横目にルナが聞いてきた。


「あの〜先ほど城に帰るって言われませんでした?それって……フィンシオン商会……?フィンシオン城!まさかシン様って‼︎」


「あれ?言ってなかったっけ?そうだよ、レグス・フィンシオン辺境伯の息子のシン・フィンシオンだ。よろしくな!」


 マチスがお金の入った袋を落とす。ナタリーは固まり、ルナも途端に顔色が青白くなっていく。


「そ、そ、そうとは知らず大変なご無礼をいたしました。お許しください」


 マチス、ナタリー、ルナが跪く。


 マリアは理解出来ず、併せてしゃがんでいるだけだ。


「気にするな、それにフィンシオン商会は父さんとは全く関係ない。俺がこれから旅する準備に必要かなと思って、個人的に作っただけだから」


 僅か5歳の子供の発言とは思えないが、辺境伯の子供だから特別な教育を受けているのだろうと、3人は、無理やり納得することにした。


 そして俺とルーシア、サーシャは一旦城へ戻る。


 城に戻るとソナが出迎えてくれた。


「シン、おかえり。今日は何してたの?」


「今日は旅の準備をサーシャとルーシアとしていましたよ。あとはギルドで、少し旅の資金を稼いでいます。」


「まぁ、やっばりシンは凄いわねぇ」


「少しって……、痛っ」

 サーシャが余計な事を言わないよう、足を蹴っておいた。


 夕飯の時間、何時もは家族全員集まるのだが、レグス父さんがいなかった。


「あれ?父さんは?」


「よくわからないのですが、街で軍が出る騒ぎがあったようで、その処理をされているようです」


 食事の給仕をしながらサーシャが教えてくれる。軍が出動した?街の中で?何だろう。盗賊でも出たのかな?


 食事の途中で父さんが帰ってきた。


「父さん、おかえりなさい。軍が出動されたようですが、どうかされたのですか?」


「いや、それがよくわからないんだ。最初は民が暴動を起こしたと言っていたのだが、私がその場所に行った時には、何も起きてなかったんだよ。暴動なんて起こるはずないとは思っていたが、酷いイタズラだ」


「そうだったんですか。大変でしたね」


 暴動とか実際に起こったら、大変そうだな。まぁガセ情報で良かったと言うべきか。しかし何処のどいつだ、父さんの領地でそんなイタズラ紛いの事をする奴は!許せないな。



 夕飯を食べた後風呂に入り、自分の部屋に戻る。



 今日の出来事を振り返って、ちょっとやり過ぎたかなと反省をしていたシンだったが、一つ重要な事を忘れていたことに気づいた。



「あ……。ポップコーン屋台忘れてた……」


 休日の看板を置いていなかったポップコーン屋台には、この日既に長蛇の列ができ、今か今かと住民達が待ち構えていた。それを見た見回りの兵士達が民衆の暴動かと怯え、フィンシオン軍に救援を頼みこみ、軍が出動する事件にまで発展したのであるが、その事実をシン達が知るのは、翌日屋台に行った時だったのである。

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