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アルヴァース・クリエイト 〜異世界適当創世記〜  作者: 神在月
2章 冒険者ギルドと商業ギルド
22/43

魔導具屋とお金稼ぎ

2015/5/26 21:07

誤字修正しました。

アルヴ暦213年2月5日

シアルグラス


「はい、どうぞ。ありがとー」


「こっちもくれ!」


「はーい、お待ちくださーい」


 どうしてこうなった?


 街中に屋台があり、そこにはポップコーンを販売している俺たちがいた。目の前にはシアルグラスの住民の殆どがいるのではと、錯覚するような、大行列が出来ていた。



 時間は少し遡る。


「サーシャ早く街に行こう」


「ハイハイ。わかりました、行きます。行きますから、もうちょっと落ち着いてくださいよ、シン様」


「シン様、そんなに街に出たいのですか?」


「ルーシアはレティシアの街で遊んだことあるからわかんないかもしれないけど、俺は、ずっと街に出してもらえなかったからな」


「シン様、私もそんなに何度も街で遊んだことはないですよ。数回だけです」


「馬車の準備出来ました。では参りましょう」


「よっしゃー、行くぞ」


 俺たちは馬車に乗り込み街へと繰り出した。


「それで、どちらに行くのですか?」


「魔導具屋だ!」


「ハイハイ。魔導具屋ですね。わかりました。」


 そう言ってサーシャは馬車を巧みに操り街へと駆け出した。昨日通ったが、やはり屋台のようなお店は見かけない。


「なぁサーシャ。作った食べ物を売ってる店ってないのか?屋台とかさ」


「無いことはないですが、とても少ないです。元々食べ物が少ないですからね。屋台は、食べ物以外なら見たことありますが、食べ物屋台はありませんね。売れる程の食べ物も用意出来るとは思えませんし。屋台以外では食堂やギルドの酒場とかで、食べることが出来ますが、高いですよ」


「そっか。まぁ、この前通ってきた村でポテト、小麦、トウモロコシとか各種野菜を栽培出来るように苗や種を渡してきたから、数年で食べ物屋台も出来そうだな」


「流石ですね、シン様。ところでお菓子はもうないんですか?じゅるっ……」


 甘い誘惑の虜となったサーシャは、食べ物の話で先日のお菓子を思い出したらしい。アイテムボックスにストックがあるが、ここは出し惜しみしとこう。簡単には渡さない。


「今はないよ。その内またあげるから」


「ほ、本当ですか⁉︎約束ですよ?後から嘘とか私には通用しませんよ?」


 しつこいな。回数制限はあるけど簡単に出せるから嘘はつかんよ。


「シ、シン様……。私もお菓子欲しいです……」


 ちょっと照れた感じで、ルーシアもおねだりして来た。可愛い。すぐアイテムボックスから出してあげようかと一瞬思考がよぎったが、踏み留まる。


「あぁ。また、今度出すからその時にな」


「はい!」


 満面な笑みをいただきました。ご馳走様です。



 お菓子の話でサーシャが妄想を膨らませている間に魔道具屋に到着した。


 外観は普通の西洋風の建物だ。看板には、真ん中に杖、四方に火水風土の絵が描かれている。これが魔道具屋の印なのだろう。


 扉を開け中に入る。

 その中には魔道具がショーケースの様な物の中に入れられて置いてあった。数はあまりない様だ。辺りをキョロキョロ見回していたら店員らしき女性が出てきた。妖艶さを醸し出している。このお店は俺のお気に入りにたった今登録されました。


「あら、お客様かしら?いらっしゃい。何かお探し?」


「いや特にこれというのはないが、見させてもらってもいいか?」


「どうぞ。気になる商品があれば、ケースから出してあげるわよ」


 ショーケースを見ていく。火を起こす魔道具を始め、お湯や水を出す魔道具。コンロの様な物もある。遠くを見ることが出来る魔道具とか、虫眼鏡っぽいレンズとか。


「へぇ。結構色々あるんだな。おすすめってあるのか?」


「そうね、色々あるけどどういう用途に使える物がいいかしら?」


「旅に使えるなら何でもいいよ」


「このランプとかどうかしら?魔石さえあれば、ずっと使えるわよ」


「定番だなぁ。魔石って魔物から取るってことか?」


「そうよ。まぁこのランプに使える小さい魔石ならうちでも売ってるわ」


「とりあえず買うか」


「ありがとう。5万アルヴよ」


「5万アルヴ……。金貨5枚?高くないか?」


「魔道具なんてそんな物ですよ、シン様」


 そうなのか……。仕組みがある程度判れば創造魔法で出せそうだが、もうちょっと勉強が必要だな。授業料としては、安いもんか。


「そうか、わかった。サーシャ、金」


「え?持ってませんよ?そんな大金」


「は?何で?レグス父さんから貰ってないのか?」


「お館様から、金貨1枚いただきましたが、旅の準備で足りなければ後は自分達でギルドの街でできる仕事で稼げとの事です」


 なんという事でしょう。レグス父さんは、5歳の俺を甘やかしてはくれませんでした。自由と言う名の不自由。世の中金か。この世界でも……。


「どうするのかしらね?買うの?」


「すまん、出直してくる。」


「いつでもどうぞ、お待ちしているわ。可愛いお客様。」


 そう言ってお店を出て馬車に逃げる様に乗り込む。折角のお気に入り登録した店なのに、恥をかいてしまったではないか。こうなったら金を稼ぐのだ!とりあえずギルド行くか。


「サーシャ!冒険者ギルドへ向かってくれ!」


「わかりました。お金稼ぎですか?」


「当たり前だ!こうなったら白金貨の1万枚くらい稼いでやるぞ‼︎」


「えっと……。家でも買うんですか?」


「勢いだよ!言ってみただけ!」


「……。」


 冒険者ギルドへ着いて早速依頼を見る。街中でできる仕事が想定以上にショボい。内容も報酬もだ。まぁ、低ランクでできるから当たり前だがな。


 そうやって見ていくと1つの面白い依頼を見つけた。


 ◆依頼F◆

 屋台で何か売って欲しい

 依頼者→トーマス

 [内容]

 怪我で屋台での商売が暫くできません。私の屋台で何でもいいから商売してください。このままでは、商業ギルドへ今月分の納金ができません。困っています。


 [報酬]

 商業ギルドに納める銀貨3枚を屋台貸出料として私にください。それ以外の売上は全てあなたの物です!



 ちょっと笑える。報酬が可笑しいだろ!何で依頼を受けてお金を払ってあげなきゃいけないんだよ。ん?待てよ、コレって売る物がある人にはいいのか?


「なぁ、サーシャ。屋台って商業ギルドに入らないとダメなのか?」


「絶対ダメということはないですよ。商業ギルドに入っていると、屋台と場所を貸してくれたり、運営資金も場合によっては貸してくれたりしますので、商売の足掛かりとする人が殆どですね。ランクに応じて優遇が変わって来ますし、名前が売れてくれば商売人にとっては得はあっても損はないですからね。ギルドに入っておいて損はありませんよ。物を借りなければ支払う物とかありませんし。商業ギルドに入りたいですか?」



「あ、いや。そういうわけではないよ。この依頼書見ててな」



「あぁ屋台の貸し出しですね。よくありますよ。借りたはいいけど、すぐに借りた屋台料金が払えなくなる人。でも大抵はそこで商売諦めますけどね。理由が怪我なので普段は何か安定した商業が出来てる人かもしれませんね」


 ありゃ?結構いるのか、しかもまともな方とは、馬鹿にしてゴメン。お詫びに借りて金儲けしてあげようではないか!


「よし、この依頼受けるぞ!」


 そう言って受付に出す。


「シン様本気ですか?売る物持ってませんよ?」


「無いなら創るさ」


 それでサーシャは理解してくれたらしい。ルーシアは天使なので反対どころ何も言わず微笑んでる。


 ドジっ子受付嬢が出てきて、受付してくれた。


「シン様こちらの依頼ですが、本人が怪我の為顔合わせが出来ません。銀貨3枚頂ければ、屋台の場所をお教えしますので、勝手に使っていいそうです」


 サーシャから金貨を受け取りドジっ子受付嬢に渡す。


「ありがとうございます。銀貨7枚お返しします。また、これで依頼達成となりますのでカードもお貸しいただけますか?」


 カードを渡すと何か操作して返してくれた。


 ■名前:シン・フィンシオン

 ■性別:男

 ■年齢《5》■生年月日《207/9/25》

 ■ジョブ《村人13》

 ■ギルド《冒険者F1》

 ※以下略


 何とも味気ない達成だ。達成感ゼロの依頼ではないか。


「では、屋台の場所をお教えしますね。今月は自由に使っていいそうです」


 ドジっ子受付嬢から場所を聞いてその場所に移動した。


 結構大きい屋台だ。どうやら普段は防具を売ってるらしいな。トーマス防具店と看板があった。さて、売る物はアイテムボックスに既にある。因みにアイテムボックスだかスキルレベル1でも結構入る。家1軒くらいだ。そこに今殆ど食べ物が入っている。そして家の一部屋分くらいあるのがポップコーンだ。先日レティシアから帰る途中で村興しに創った奴の残りだった。全部塩味しかないがいいだろう。元は取らなきゃな。


「サーシャ、これお前なら幾ら出す?」


 そう言って大き目の紙の袋に入れたポップコーンを渡す。量にしたら前世の映画館で売ってるLサイズくらいだ。


「わ、食べていいんですか?」


 サーシャが目を輝かせて食らいつく。


「食べていいが、値段を決めてくれ」


「そうでふね……。あぁおいひぃ」

 口に結構な量を詰め込みながら考えているようだ。


「大銅貨2枚でどうでしょう?」


 ふむ。大銅貨2枚か……。そういえば、相場がわからんな。さっきの魔道具もよく考えたら価格が適正かもわからずに高いって言ってたな俺。


「なぁ、サーシャ。因みに宿屋で1泊幾らだ?飯なしの素泊まりで」


「普通宿屋のご飯は別料金ですよ。そうですね。1泊大銅貨5枚でしょうか。高級宿で銀貨2枚とかもありますね」


 大銅貨5枚で1泊とすると、日本円で5千円くらいかな?てことは、ポップコーンが2千円⁉︎高くね?


「それってポップコーン高くないか?」


「いえ、そのくらいの価値はありますよ」


「因みに聞くがこの街の人たちは月にどのくらい稼ぐんだ?」


「大体銀貨5枚いくかどうかじゃないですか?」


「そう考えるとやっぱり高い気がするけどなぁ。よし大銅貨1枚で売ろう。どうせ元手ゼロだしな」


 そう言って、木の板を近くの木材加工している所から貰ってきて、美味しいポップコーン大銅貨1枚!と書いて屋台に立て掛けた。

 木材をくれたおじさんにお礼にと販売するポップコーンを1つあげた。


 食べたおじさんは、びっくりしたようで、喉に詰まらせて、咳込んでいる。


 落ち着いた後。

「うめぇ!何だこの食べ物は!買うからもう1つくれ!」

 と、大銅貨1枚を俺に渡してきた。


「ありがとうございます。これポップコーンと言って、簡単に作れるんですよ。材料は、ポコン村のトウモロコシと言うものから出来てます」


 村興しした村の名前を出しておいた。嘘ではないが、夏までは取れないだろうな。


 また、美味そうに食べるおじさん。そして、その声を聞いた周りの人たちも試しにと買っては、騒ぎ出して街中に広まるのにそんなに時間を必要としなかった。



 そして冒頭の状況に至る。



 朝方から夕暮れまで売り続けた結果、本日の売上は何と1,440,500アルヴ、金貨140枚もの大金を1日で稼いでしまったのだった。


 儲けた金額と、1日働いた疲労にテンションが上がっていた3人は、ニヤリと悪い笑みが自然に出ていた。


 その後、味を占めた俺たちは、5日間販売し続け、金貨1,000枚以上を稼ぐのであった……。


 所持金:10,532,100アルヴ

 ※殆ど大銅貨で所持

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