冒険者ギルドへ登録
アルヴ暦213年2月4日
シアルグラス街〜冒険者ギルド
記憶が戻ってから約2年、まだ5歳の俺は、父親に連れられて冒険者ギルドに向かっていた。今乗っている馬車は、街中用の所謂オープンタイプの馬車だ。屋根や壁がないやつだ。その為、シアルグラス街を俺は初めて360度自由に見ることできた。今までは馬車の窓から少し見える感じだったから、景色が全然違うな。
街は正に中世と言った感じの建物が規則正しく並んでおり、城から門迄の大通りは、馬車が数台同時に通れるくらい広い。
城から出て最初は貴族街のような金持ちが住むちょっとセレブな感じがある家が立ち並んでいた。この辺りは、脇道であっも馬車2台は通れる。
少し進むと貴族街と一般街で住み分けされているかのような壁がある。勿論住民が貴族街に入ってはいけない訳ではない。でないと住民が城に来れないし。まあ防衛の為の囲いでもあるのだろう。門番の兵が2名いるだけだ。
そこを通り抜け、一般街へ出た。大通りには商店が建ち並んでいる。貴族街の門に近い場所では、高級そうなお店が多く、門から離れるにつれてランクが落ちていく感じだ。洋服店から宝飾品店、家具屋、武器屋、防具屋、魔道具屋等々のお店が並んでいる。魔道具屋行ってみたい。自由になったら行ってみよう。
そして暫く進んで、街のどちらかといえば出口に近い所まで来た。そこに大きく、盾の上に剣と槍が交差した看板の建物が見えた。これが冒険者ギルドらしい。冒険者ギルドの周りから街の門迄は、宿屋が数軒あるようだ。そう言えば、街中で食事が出来そうな所があんまりなかったな。やはり食料不足のせいなのだろう。
「着いたぞ、シン、ルーシア。ここが冒険者ギルドだ。」
「ここが冒険者ギルド。」
「おっと、入る前にカードのユニークスキルとか、全属性魔法適正とかのレアスキルは見えないようにしておけ。」
「えっと。こんな感じで良いでしょうか?」
俺とルーシアがカードを見せる。
■名前:シン・フィンシオン
■性別:男
■年齢《5》■生年月日《207/9/25》
■ジョブ《村人13》
■ステータス《0》
体力《134/134》魔力《170/170》筋力《53》
耐久力《67》敏捷《59》器用《62》
知力《87》精神力《83》運《250》
■スキル《34》
ユニーク
【神眼3】【創造魔法4】up!
パッシブ
【全言語理解4】【全属性魔法適正☆】〔成長速度上昇8〕〔回復速度上昇3〕〔速読3〕〔アイテムボックス1〕new!
アクティブ
〔短剣術1〕〔剣術1〕〔錬金1〕〔調合1〕〔採取3〕〔開墾1〕〔火魔法7〕【水魔法7】【風魔法7】〔土魔法7〕〔光魔法7〕【闇魔法7】〔空間魔法7〕
■称号
【宇宙創造神の加護】【代理神の加護】
■賞罰
なし
■名前:ルーシア・ファラント
■性別:女
■年齢《5》■生年月日《207/12/12》
■ジョブ《村人8》
■ステータス《0》
体力《100/100》魔力《164/164》筋力《34》
耐久力《50》敏捷《49》器用《50》
知力《82》精神力《82》運《160》
■スキル《32》
ユニーク
【全鑑定2】【ポイントオペレーター2】
パッシブ
【全言語理解4】【全属性魔法適正☆】〔成長速度上昇6〕〔アイテムボックス1〕new!
アクティブ
〔短剣術2〕〔採取5〕【火魔法5】〔水魔法5〕〔風魔法5〕【土魔法5】〔光魔法5〕【闇魔法5】〔空間魔法5〕
■称号
【創造神の加護】【代理神の加護】
■賞罰
なし
【】は本人以外見えないスキルだ。
……あれ?俺は神眼のせいか消してあるスキルも見えるわ。良かった、ルーシアので気づいて。
「うむ。まあ、コレでも結構目立ちそうだが仕方ないな。では、入るぞ。」
レグス父さんと一緒に冒険者ギルドへ入る。建物の中は広く、真ん中辺りに受付のカウンターがある。左側は酒場兼待合所と依頼書が壁に貼り付けてある。色分けされているのはランク別か種類別のようだ。右側には買い取りカウンターと記載がある。そんなに混雑していない。時間帯が違うからか、酒場には何人か、酔った冒険者がいるようだが。
受付カウンターの前へ行く。
レグス父さんに気づいて受付のお姉さんがやって来る。獣人族のお姉さんだ。可愛い。巨乳。グッドです。はっ⁉︎背後から冷たい視線?気の所為か?振り返るとルーシアが笑顔で俺を見ている。
当然俺とルーシアは、カウンターの高さ的に届く訳もなく……と思ってたらカウンターに備え付けのステップ付きの台があるではないか。そうか!小人族用か!素晴らしい心遣いではないか!。1人関心しながら、ステップを利用してルーシアとカウンターから顔を出す。
その光景を見て、受付のお姉さんは顔を赤くしている。早速、俺の虜にしてしまったらしいな。まぁ仕方ない。
「すまんが、この2人の冒険者登録を頼む。」
惚けている受付のお姉さんにレグス父さんが話しかける。はっとなって気づいた受付のお姉さんが、レグス父さんの顔を見て目を見開いた。
「ふ、フィンシオン辺境伯様⁉︎え?何故冒険者ギルドへ?ギルドマスターをお呼びですか?」
俺の中で、ドジっ子巨乳受付嬢に任命された。レグス父さんの話、聞いてなかった。
呆れた感じでレグス父さんがもう一度言う。
「いや、ギルドマスターへは特に用事はない。この2人の冒険者登録をお願いしたい。」
「え?このお二人様ですか?見た所まだお若いと言うかお子様の様ですがよろしいのですか?」
「構わん。よろしく頼む。」
「か、畏まりました。それでは、お二人様のカードをお出しいただけますか。」
少し緊張したお姉さんがカードを促して来る。俺とルーシアは笑顔でカードを出す。ここでも愛嬌良く振舞う。
笑顔でカードを受け取るお姉さん、俺たちのカードを見て……。
「ふぇっ⁉︎何このステータス値?それにスキルが……!ア、アイテムボックス⁉︎魔法レベル7とか5って⁉︎それに4属性もっ!」
騒がしい。流石ドジっ子受付嬢。後ろから先輩らしき、お姉さんが走って来て拳骨喰らわした。
「た、大変申し訳ございません。フィンシオン辺境伯様、すぐにカードの登録をいたします。」
先輩お姉さんが謝って来てテキパキと手続きをしてくれた。ドジっ子受付嬢は頭を抑えて蹲っている。
「お待たせ致しました、シン様、ルーシア様。登録が終わりましたのでカードをお返しします。」
カードを受け取り確認する。
■名前:シン・フィンシオン
■性別:男
■年齢《5》■生年月日《207/9/25》
■ジョブ《村人13》
■ギルド《冒険者F》
※ステータス略
これで俺も冒険者の仲間入りか。
ランクFね。まあ定番か、でも普通年齢制限とかあるかと思ったのにスルーだったな。まあ、5歳でFなら15歳までにS目指すか。
「それでは、冒険者ギルドについてご説明いたしますがよろしいでしょうか?」
「いや、説明は今日は不要だ。概要は俺から説明しておくから大丈夫だ。細かいところはまた質問する事もあるだろうが、その時は頼む。」
レグス父さんの都合にて説明がきけなかった。畜生。まぁ忙しいから仕方ないか。父さんについてギルドを後にした。
帰りの馬車で冒険者概要の講義を受けた。
まとめると以下の通り。
ギルドランクはF〜SSSの9段階。基本はSが最大だが、人民の存亡に関わる厄災を回避するなど貢献した者にSSやSSSが与えられるらしい。
ランクの低い内は、街中での配達や簡単な採取依頼など、中には話し相手であったり、多岐に渡るが難易度はやはり低いらしい。当然報酬も低く、生活費というよりはお小遣い稼ぎでやる仕事のようだ。
因みに受けられる依頼はソロの場合は自分のランクの1つ上まで、2人以上であれば2つ上のランクが受けられる。2人以上の場合は、ランクの高い方を基準とするらしい。当然依頼未達成の場合には罰金が課せられる。
Cランク以上は、ギルドマスターによる昇格試験があるとのことだ。父さんはこのCランクに上がる試験を受けようとした時に、お父さん(俺のお爺さん)が亡くなり、試験を受けずに辺境伯を引き継ぐことになったらしい。本当はもうちょっと冒険者でいたかったらしい。
レグス父さんから話を聞いている内に、城に着いたので解散となった。
「明日からは街中までであれば自由にしていいぞ。但し必ずサーシャも連れていけ。」
「わかりました!」
テンション上がって来た!自由だ!フリーダーム!と叫びたい。サーシャ付きでも街に出れるのはとても嬉しいな。魔道具屋だ。必ず行くのだ。
ちゃんと旅の準備もするさ。多分。
明日を楽しみに、ルーシアとも部屋の前で別れた。




