代理神創造
訓練所でシンが転がって頭を打った瞬間。
シンの意識は飛ばされていた。
「真っ白な世界だ……。」
あの時と同じ空間なのかはわからない。
前に来た時は、前世の肉体があったが、今はどうやら意識だけらしい。なぜなら自分の身体が全く見えない。手を前に出しているつもりだが、見えない。真っ白だ。
『創造神様の帰還を確認いたしました。これより、秘書も呼び戻します。』
「え?」
何処かから急に声が聞こえてきた。
「ふぇっ⁉︎ここどこ〜。真っ白だよ〜。おかぁさ〜んっ‼︎」
ん?誰か来た?相変わらず真っ白でよくわからない。
『ルーシア……。あなた記憶が……。記憶を呼び起こします』
白い世界が一瞬さらに白く光った様に感じた。
「ん?ここは?まさか創造神界?」
「お、この声は……ルーシア?」
「え?シン様?シン様なのですか⁉︎」
「うん、そうだよ。シンだ。久しぶり?」
「はい。ですが何故またこの世界に?」
『それは私が説明いたします。私は宇宙創造神様の秘書で、オーレリアと申します』
出た!親玉の秘書。遂に消される日が来たのだろうか?でも態々呼び出して消すとかするか?
『決して貴方達をどうにかしようとは、思っていませんよ』
心読まれた〜⁉︎流石宇宙創造神の秘書。
『恐縮です。今回お呼びしたのは、シン様に創造神代理の神を創っていただこうと思いお呼びしました。』
「「創造神代理?」」
ルーシアとハモる。
『そうです。今回の転生は、ルーシアが慌てて行ったこともあり、今現在このアルヴァースには神が1人もいません。流石にそれは管理上問題がありますので、記憶が戻られた際にお呼びした次第です。ご安心ください。現在下界では時間の流れを可能な限り遅くしております。早速代理神をお創りください。ルーシア、あとは貴女の仕事よ。秘書作成で代理神も創れます』
「あ、はい。ですがシン様は間違えられて創造神になられたのではなかったのですか?」
『そうです。宇宙創造神様がうっかり間違えて前世のシン様を死なせてしまいました。ですが、シン様も充分素質がありましたのでそのまま創造神様としてお役についていただくつもりでした。それを貴女が早とちりして転生しちゃうもんだから……』
あぅ……。唸るルーシア。
『では、代理神をお創りになってアルヴァースへお戻りください。また、お戻りになりましたらまず、ステータスを強化されることをお勧めします。頭をぶつけられて相当なダメージを受けています。下手をすれば死んでましたので』
「ま、まじかよ。確かにかなり痛かったもんな。あれ?子供のシンの記憶もあるぞ⁉︎」
『当たり前です。封印されていただけですからどちらの記憶もシン様のものですよ』
「あ!そういや既に下界でルーシアと逢ってたな?良かったよ、ルーシアも無事で」
「……いえ、私の所為でシン様の創造神様としてのお仕事を邪魔してしまいました。本当に申し訳ございません」
「まぁ、そんなの結果論じゃない⁉︎気にしてないよ。さあ代理神を創ろう。ルーシアお願い出来るか?」
『では私は宇宙創造神様の元に戻ります。良い世界をお創りください』
「うん。オーレリアもありがとう」
最後まで姿を見せずに去っていくオーレリアであった。
「では秘書作成で代理神様を作成します。性別は、だ「女性で!」……。種族は如何致しますか?」
「代理だしあんまり能力高くなくていいや。ポイントが1番安いのは?普人族?」
「いえ、普人族、獣人族、小人族、羽人族は同じで500pです」
「そっか。その中で1番管理に合ってる種族は?」
「器用と知力が高い小人族ですかね。普人族もバランス型ですが」
「じゃあ小人族にしてくれ。」
「かしこまりました。口調はポイントは使わないので、敬語にします。容姿は良いにすると200pかかりますが。」
「使ってくれ」
「はい。ではこの設定で代理神を創りますね」
……
…………。
ルーシアを待ってた時程ではないが。
早よ来い。俺の代理よ。
真っ白な空間に1人の少女が現れた。
これまだサイズが小さいが、美人だ。いや美少女だ。
「あ、あの……。創造神様?」
「なんだ?」
「あ!いらっしゃったのですね。お姿が見えませんでしたので……初めまして私ドロシーと申します」
「よろしく。俺はシンだ。あと秘書のルーシア」
「ルーシアです。よろしくお願いします」
「シン様、ルーシア先輩。よろしくお願いします」
「先輩?秘書と代理神って同じなの?」
「そうみたいです。実は私も知りませんでしたが、創り方が秘書と同じでした」
「てことはルーシアも代理神になれるのか?」
「はい。なれると思います。ですが最初に作られた秘書は、創造神様に常に付き従うのが一般的のようです」
「ふーん。そっか、あぁでもルーシアも転送しちゃってるから下界の人生全うしなきゃな」
「下界でもシン様の元で働かせていただきますね」
「じゃあそろそろ下界に戻るか。ドロシー!後頼むな!」
「はい。何かありましたら、教会を通じて連絡させていただきます」
教会の神託は電話代わりらしい。
「では、下界へ戻りましょう」
「次ルーシアに逢うのは5歳かな?またな」
「そうですね。直ぐにシン様の元に行きたいのですが、幼少時代は難しそうです。幼少時代は修行に励みます」
「あんま無茶な事すると、変人扱いされるから気をつけてな」
「はい。シン様もお気を付けて」
真っ白な世界から意識が遠のいて行った。
さて、まずは下界でステータス確認だな。
いよいよチート人生の始まりだ!




