相談1 サンマ大好き少女
「これ、きょうの午前五時二十三分二十二秒にとれたサンマですよね?」
そう言って一人の少女は、目の前にあるサンマに指をさしとれた時間を秒単位でこたえる。すると周りの取り巻き達はどよめきの視線を送る。しかし少女は、取り巻きから送られてくるどよめきの視線に少しも動じず一瞬にこっと笑いすぐに顔を無表情にして、取り巻きの間を通り、取り巻きの少し離れたところにいる男に近づいて、覗き込むように男に顔を近づけこういう。
「あってます?会長さん」
「・・・ああ」
会長の一言を聞いてまたもや取り巻きは、またもやどよめきの視線を送る。そしてまた夢花は顔に笑みを浮かべ会長にこういう。だが夢花の笑みはさっきの笑みはさっきと違う。勝利を確信した時に浮かべる笑みだ。
「約束のサンマ、いただきますよ」
この夢花の言葉を聞いて会長はこう言った。
「約束は守るぜ。それが男の筋ってもんだからな。持ってけドロボー」
その言葉を聞き夢花はうなずくと、目を光らせ生きのいいサンマをさがす。そしてしばらくすると動いていた目がぴたりと止まったかと思うと夢花は一匹の他のサンマとなんら変わらないサンマに指をさした。
「これにします。って遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁ。ではサンマももらったしいきますねっ!」
そう言うと夢花は右手にサンマ、左手にカバンといった不審な格好で、自分の通う学校に走って行った。漁業組合会を後にして。そして会長はどんどん見えなくなる夢花を遠目で見ながらこうつぶやいた。
「やっぱり夢花ちゃんには分かっちゃったかぁ」
ー学校ー
「ついたぁ。な、なんとか間に合ったぁ」
ぜぇぜぇ生きを切らしながら校門のまえでいう。急いで教室にいくと間に合ってなかったようだ。二時間目が始まっていた。謝る間もなく頭の上に先生の怒りもろもろが混じったげんこつが降ってきた。
「酒井(夢花の苗字)お前この俺様の授業をサボるとはいい度胸じゃないか?」
「すっすいません」
「もういい。席につけ。」
ああ、最悪だぁ。朝からやらかしちゃたぁ。私の好きな人まで笑ってる・・・。終わった。ってぼーっとしてる間に授業終わってるぅぅぅぅぅ!もう頼りは・・・・。
「呼んだぁ?」
「うわっ心の中で呼んだけど・・・なんで分かったののよ?」
「いやぁなんとなく呼ばれてる気がして」
紹介しよう。今私に声をかけているのは吉本美弥。成績優秀。運動神経抜群。容姿端麗。という完璧な少女であり私の大親友兼恋の相談相手だ。
「美弥、またまた恋の相談のってぇぇぇぇ」
「またぁ?私いいところ見つけたからそこいきいなぁ」
「いいところ?」
「うん」
「えっとねぇ夜中の一二時丁度に出歩いてたら、なんでも相談にのってくれるところが現れるらしいよぉ」
「なっなにそのあいまいな情報・・・」
「まあ、やってみなって」
「ええっ!美弥絶対に楽しんでるでしょ」
「じゃあ私はここら辺で」
「えっちょっと待って美弥っ美弥ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ー夜ー
「・・・美弥はああ言ってたけど大丈夫かなぁもうすぐ一二時なんだけど」
しばらく歩いていたら霧がっかている場所をみつけた。すると、その霧はだんだん夢花に近ずいてくるではないか。
「うっうわぁぁぁぁぁぁぁ」
夢花の悲鳴が夜の静けさをふきとばした。
夢花はどうなってしまうのか? 続く