〜一族連続殺人事件〜7 鍾乳洞と藤原
「俺らがやるのは葵様の保護までだ。」
勇者と猫が不満そうな顔でこっちを見てくるが、こればかりは譲れない。
「それでは探しに行きましょうか。後の事はまた、見つけてから考えましょう。それに、うまい具合に立ち入り禁止の鍾乳洞が近くにありますよ。隠れるには絶好のポイントですね。」
「うまい具合に言うな!それじゃあ、鍾乳洞へ行くぞ!」
「リーダーはあたしだー!」
*
まあ…そこは、うん、うまい感じに立ち入り禁止だった。
「おー、雑用やん。何してんねん!デートか?」
藤原、同じクラスで俺と気が合う面白い奴、
「藤原…逃げた方がいいぞ…」
言い終わるより早く、勇者は藤原めがけて駆け出すと、その勢いを殺す事なく木刀をなぎ払っていた。そのまま藤原は重力に逆らい3メートル程吹っ飛んだ。
「藤原ぁー!大丈夫かーっ!」
「デートな訳無いでしょ!」
「うう…痛っ!」
「藤原さん。テスト一週間前なのに何をなさっていたのでしょうか?」
「か…携帯…しょうにゅう…落ち」
「もう喋るな!」
「頼…む…」ガクッ
「藤原ァー!」
「あーもうウザい!携帯が鍾乳洞へ落ちただけでしょ!?私達も入るからついでに探してあげるわよ!」
「おお、サンキュー!恩にきる。」
「よし、じゃあ行くニャー!」
「猫が喋ったー!」
3回目…
「実は…かくかくしかじかで…こうなんだよ」
「…まあ、行こか?」
こいつ、なかなか…。さらっと流した。
「やばっ!?懐中電灯が無い!」
「無くてもいいよ。携帯と人がいるか確かめるだけだし。」
俺を含めて4人と1匹は鍾乳洞へ入って行く、だが…
「暗すぎ!携帯どこ?」
「電話すればよろしいのでは…」
「それだーっ!」
「そら無理や」
「何で?」
「充電切れてるからに決まってるやろ!」
流石、学校一ついてない男…恐るべし
「懐中電灯、取りに帰るか。」
「ふっふっふ、こんな事もあろうかと秘密兵器を用意した!」
「おおっ、流石勇者や!」
大丈夫か?こいつ、変なものばかり持ち歩いているからな…