〜一族連続殺人事件〜1 喋る猫と人探し?
11時…
今日は祝日では無い。かといって土曜でも、日曜日でも無い。
「遅刻だな…」
そうつぶやくと大きなあくびをした。
朝食?はコーヒーとトースト、別にくわえて走ったりはしない。ふと新聞に目をやると[一族連続殺人事件]が1面に載っていた。なんとこの家の近くで起こったらしい。
が、ゆっくりとコーヒーをすする。
…熱い
小さく呟いた。
何故こんなにのんびりしてるかというと
母は海外、父は早くに亡くなっている。
つまり家には俺しかいないから誰にもうるさく言われない。
でもまあ一応学校には毎日行っている。
今日は…たまたまだ
今からなら午後の授業には間にあいそうだが
さて、遅刻の言い訳はどうしようか。
*
重い足取りで駅へ向かう
結局、うまい言い訳などは思いつかず、居残り掃除はほぼ確実だろうと考えていた時だった。
「遅い!今何時だと思ってんだよ、俺は朝の7時からずっとここで待ってんだニャ!!」
周りには誰もいない?
…いや、猫が1匹
「一晩中探してやっと毎朝ここを通ると突き止めたのに、遅いニャ」
猫がしゃべった?まあ、とりあえず
「お前、何者?」
正体聞くよな…
「我輩は猫である。名前はまだニャイ。」
「…思いっきり蹴ってやろうか。」
しかし、本当に名前は無かったらしい。
「で、俺を探してたっていったよな?」
喋る猫ははっと思い出したようで
「そうなんだ、人を探してるんだニャ。手伝ってくれニャー」
「…」
警察に頼めよ!なんで俺なんだよ?多分俺は関係ないよな。
猫はそんな俺の心を読んだのか
「警察じゃあ返り討ちにあうのが目にみえてるニャ。」
へー、って?ますますダメじゃん!俺、多分警察に勝てねーよ!というかその前に人探しじゃなかったっけ目的?なんで返り討ちにあっちゃう?そもそも自分で探せよ。そういや猫が喋ってるし。
疑問符が数えきれない程浮かんだので考えるのをやめた、答えは一つだ
「ゴメン、他あたってくれる?」
断わる!
同然でしょうよ。
めんどくさいし、学校あるし、テスト近いし、何よりも
危険そうじゃないですか?
俺は駅へと歩き出した。
「そこをなんとか頼むニャ〜」
…ついてくる
「しつこい!テストもあるし、それどころじゃねー」
正直中間テストは全教科ギリギリセーフだったのだ。
英語に関しては32点…
これはやばい…まじで
「カンニングでも何でも手伝うニャ〜」
「…!」
その手があったか!!!
いや、でもばれたら0点だし…
駄目だ…
いや、でも一応、立ち止まり聞いてみた
「お前、賢いの?」
「大学入試レベルなら余裕だニャ。」
「!!!!!」
こっ、こいつ使えるかも
いや、絶対カンニングはしないよ、しないけど教えてもらったら…なんとかなるんじゃね?
とかいろいろ考えた結果
「保留!」
とりあえず学校に行く、午後の授業にも間に合わなくなったら勇者に何をされるか…
「青劉神社で待ってるニャー」
やっとうるさいのがいなくなった。
*
1-5の教室前
まずは1つ深呼吸
それから軽くジャンプすると
勢いよくドアを開けた。
昼休みらしく教室は騒がしかった。
「しっかりとした理由はあるんたよね、聞かせてくれる?」
完全に怒っているクラス代表様、
俺は距離をとりつつ
「勇者、今日も似合ってるよ、ポニーテール」
褒めてみる
「もう一度だけ聞くよ、遅刻理由は?」
…駄目らしい
怒りからか?さっきより少し顔が赤くなったような気がする。
「喋る猫に人探しを頼まれ…」
言い終わる前に勇者は木刀を振り下ろす。
こっちも慣れたものでエナメルバッグで受け流す。
勇者は他の人には普通にいいやつだが俺にだけは厳しい…多分1年で一番強い。今、1年で逃げ切れるのは、絶好調時の俺ぐらいだろう。
などと考えていると頭を木刀がかすった。
俺は逃亡を試みるが、
「やっちゃえ勇者!」
周りは野次馬だらけ、しかもほぼ全員敵だ、突破は無理だ…
「まあ、何してるの?」
きた〜!救世主
今日はついてる
「先生、いきなり勇者が襲ってきました。」
「暴れないでね」
「すいません、でも暴れてるのは俺じゃないです。俺は被害者です。」
勇者は拳を震わせながら教室へと入って行った…
俺もそれに続く
「勇者、ノート見せてくれ」
「自業自得よ、遅れたあんたが悪い。大体遅刻の理由が猫?そんな理由で私が貸すと思う。」
…どうやら頼む相手を間違えたようだ。
この最低野郎めが
「誰かノート貸して下さい。」
「ちょっと、貸さないなんて言ってない!」
「いや〜いつも悪いね」
「はい、今回で最後だからね」
といいつつ、結局最終的には貸してくれる、前言撤回!いいやつだ。
さっきはいきなり襲ってきたが、別に仲が悪いわけではない。もう半分恒例行事と化している。
俺はノートを写しながらツナを呼んだ。
「ツナ、青劉神社の地図出してくれる?」
「何か用があるんですか?」
「だから、人探しするって言っただろ?」
「聞いてませんけど?」
そういやまだ最後まで言えてなかったな。
俺は今朝?いや、昼の出来事を話した。
するとツナは鞄からノートパソコンを取り出しながら言った。
「だったら、気をつけてくださいね。」
「!?」
「一族連続殺人事件が起こったの、そのすぐ近くですよ。」
…嫌な予感しかしない
っと待てよ、という事は警察さんが辺りを調べてるはずじゃない?その事件に関係あるとしたらだけど…
いや、関係あるな…多分
「なあ、その近くに警察が探さない様な隠れる場所ってある?」
「あっ、興味津々ですね。面白い情報がありますよ。警察が事件の死因を詳しく公表してないじゃないですか、あれ死体の様子と凶器がよくわからないらしいんですよ。あっ、あと隠れる場所なんてたくさんありすぎて教えきれないので私も同行してもいいですか。」
「なあ、お前ーそんな情報どっから仕入れてくんだ?」
「…お父さんの仕事の事情でね」
ツナの父は何か裏事業の仕事をしているという噂が流れているが真実は分からない。
ただそのおかげでツナは情報集めのスペシャリストでハッキングやウイルス作成までできるという噂だ。
だからツナを頼る人も多い、
俺もその中の1人だ。
5時限目を告げるチャイムが鳴り響いた…