第陸拾陸話 戦交通志・たたかい めばえた たしかな なにか
ちょっと場面転換多めです。ご了承ください。
概ね世の人間というやつは、他人との関係無しに生きていけない。まあ完全自給自足という稀有なのもいないわけではないだろうが、多少なり社会というものに関わった時点で人間関係と無縁ではいられない。つまり誰しも他人に何かしらの影響を受け、与えているわけだ。そしてその影響というやつが本人の与り知らぬところで作用するというのもままあることである。
「つまりそういうことだ。死ね」
「ちょっと待て何にも説明してないよなお前さんってか殺したら失格おわ危ねぇ!」
…が、だからと言ってその影響の責任を知らぬまま取れというのも無理のある話。完全に殺しにかかった軌道の剣閃を寸前でかわしつつ、アディルは再度説得を試みた。
「一旦落ち着けセネアック。何だって俺っちがお前さんに命狙われにゃならんのよ? そこんとこはっきりさせてくれたっていいんじゃね?」
「知るか」
「いやこっちは知りたいんですけどっ!」
言いつつさらに回避、次いで魔法を数個起動させ反撃を行う。幸いにして読みが当たり、前駆けを阻害されたセネアックは一度距離をとった。
…さて。この戦闘自体には、実のところ何の問題も無い。只今の現在地は闘技場中央の石畳であり、開催されているのは準々決勝第4試合。即ちセネアックとアディルは対戦相手なのだ。なので戦うこと自体に文句は無い、というか楽しみにしてすらいた。
問題は、セネアックから感じられる怒気、殺気の類。まあ実のところ殺気自体はそこまで濃くもなく、せいぜい“非常にご立腹”程度のものだ。だからこそアディルも比較的軽い調子で対応しているわけなのだが。いやまあそれにしたって、ついさっきまで隣の席で観戦していた相手に向けるべきものでもない。この短期間にどんな恨みを買う要素があったというのか。
「なあセネ…」
「問答無用」
「名前くらい言わせろい!」
直線ですっ飛んできた剣先を逸らしつつ、足元での風魔法起動により大きく横へ飛ぶ。勢いを殺しつつ棒による大ぶりの足払いを仕掛け、更にその直上へと水魔法を展開。両方間合い的に当たるものではないが、再度相手を退かせるには十分だ。
「なるほど…直接の相手すらまともにする気はない、と?」
「待て。なんでそうなる。俺っちは単に話聞きたいんで引き延ばしを…」
「話すことなど無い」
「いやだから、何をそんなにお怒りなんですかねっ!」
…一つだけ、分かった。つまりあれだ、説得とか無理なのだこれは。ならば取る手はひとつ。
「よっしゃ了解分かった。お前さんが話聞く気無いってこた、よーく分かった。…叩き伏せて聞き出してやら!」
加減は終わりだ。どのみちセネアックとはここで再戦する予定だった。個人的には余計な要素を省いてからと考えたのだが、向こうにそのつもりが無いのならもういいだろう。
こちらから踏み出し、突進する。対するセネアックの動きには、“待ってました”という意思が垣間見えた。まあ、そんなことはどうでもいい。
「さーあ、楽しもうぜ!」
……
やっとやる気になったか。そう、セネアックは心の中で呟きつつ突進を受け流す。相手がやる気を出したといえ、それで受けに回るのはセネアックの性に合わない。返す2の太刀で足を狙うも、しかしタイミングなど諸々完璧だったそれは水の障壁に阻まれる。
水の魔法が射出系でないと威力に乏しいのというのは常識だ。だが、ただそこにある水の壁を防御に使う手合いはこのアディル以外見たことも聞いたことも無い。厳密には、発想はあっても実現できない、というのが正確なところではある。
「…予め会場に何か仕掛けるというのは、大会規定に反していると思うのだけどどうだろう?」
「バレなきゃ構わねぇよ。つか俺っちの手の内しれっと暴露すなや。あとあれだ、“話すことなど無い”んでなかったんじゃぉおっとぉ!!」
口が滑った。
…流石に、数刻にも渡って接戦を繰り広げた相手だ。全てとは言わないが主な手の内なんぞ大概もう知っている。単なる高速連射でなく“仕掛けられた魔法の順次作動”であると分かっていれば対処の方策もいくらか増えるのだ。まあ手の内知って云々は相手も同様なわけで、一概に有利とも言えないのだが。
さて。神経の大半を動員した牽制という名の睨み合い、その隙間で先の3回戦を思い出す。本来戦いの途中において別のことを考えることなどそう無いのだが、こればかりは別だ。普段比較的感情を表に出さないセネアックに“怒り”を表現させる出来事はそこで起きたのである。
戦闘環境に慣れきった思考は特に意識することすら無く、アディルの重心やら何やらから導き出される動作予測にこちらの対応予測を重ねる。その横で並行して、セネアックは先の対戦相手、銀の箒の少年を思い起こしていた。
……
眼前に切っ先が迫る。瞬きの間に数歩分の距離を詰める速度、刃を目線に絡ませ判断力を阻害する合理的軌跡。速度と技の融合した一撃は、しかしただ速度のみでもってかわされる。別段前者が劣っていたわけではない。単なる相性問題だ。
メニェシネチク武闘競技大会3回戦第7試合。これまで尽くの対戦相手を諸事情により瞬殺してきた双羽だが、ここにきて互角の戦いを繰り広げていた。相手は単なる剣士の若者だ。だが、この世界における“単なる剣士”というやつは大抵どこかおかしい。つくづく、双羽はそう思う。
「逃げるな」
「こっちの人ってすぐそーいうこと言うけどさ、言われて逃げない人っているの?」
「…いや、いないな」
「でしょ」
箒によるバックステップ後、体勢整えついでに回転により追撃を受け流す。双羽は単に箒を回しただけだが、それに逆らわず流されず刃を翻した後牽制一振りと共に飛び退りつつ上記の会話を行った相手には敬意すら感じる。どうもこの世界の住民は、戦闘中無意味に言葉を交わすのが好きかつ得意らしい。ボクサーが試合中ぺちゃくちゃやってる様を想像してもらえると、その異様さもなんとなく通じるのではないだろうか。
「しかし見たことの無い魔法だな。いや、魔法というよりは…魔道具、か」
「うんまあ、そんな感じかな。あ、一応詳細は企業秘密ってやつだよー」
「素直に手の内を明かす間抜けではなかったか。残念だ」
なかなか率直な御仁である。率直と表現するか歯に衣着せないと感じるかは人それぞれだが。
両者後退の後、戦闘は少しばかり止まっていた。それを打ち破ったのは、相手剣士の大きく左右に振る動きだ。正面の相手の意識を誘導し、その修正を超える速度により視界から消え去る。…なんだかデジャヴな動きだが、こっちの世界の住人はこんなことできる奴ばかりなのだろうか。
「よ、っと」
「なに。…どうやって捉えた」
「だから企業秘密だってば」
以前、この技術に対して人外に片足突っ込んだとかいう評価を下したわけだが。これは見直しの必要があるかもしれない。
…まあ、どうでもいい話は隅に置いておこう。集中すべきは現在の戦況である。未だ打ち合いは数合。しかし、絶対的な速度のアドバンテージ+飛行能力を持ったこちらに対し剣単品の相手は決め手に欠ける。無論向こうも手を変え品を変え様々な角度から斬り込んできたのだが、尽く速度でもって切り抜けてきた。
ここで手詰まりというならまあ大した相手ではない。しかし、この若者…セネアックという剣士がそれだけでないことは知っている。というか聞いている。ほんとのところはもちょっと手の内詳細に知りたかったのだが、情報料を要求されたので諦めざるを得なかった。金銭的な余裕があったらこんな大会に出場なんぞしていないのである。
「…まあ、しょうがないか。貴方くらいの強者になら明かす価値もある」
「真打登場、ってとこかな?」
「ここまでもったいぶるのは珍しいんだ。その上で見せるのだから、光栄に思ってほしい。…スウィヨソウィクサケハリクミ」
「おぉー」
すっと指でなぞられた刃が、微かな雷光を纏う。元いた日本では画面の中以外でお目にかかれそうもない光景に、思わず感嘆符が漏れた。雷の剣ってやつだ。長剣を蒼白の閃光が駆け、非常にこう、なんというか、かっこいい。青少年の心のツボを抑えている。
「物珍しいなら分かるが…なんだその妙に輝いた目は」
「あー、えっと、青少年の夢叶える桃源郷がすぐそこにね」
「何の話だ」
いや本当に何の話だろう。
…悩む双羽をよそにセネアックは剣を構える。雷光の剣は確かにかっこいいが、現状触れることの難しい場面での選択肢としては少々不自然だ。いや違う。恐らくあれは威力増強などではなく、双羽を捉えることを目的とした、何か。
考える。思考が、加速する。
相手が双羽、その速度に相対する手段。それら究極的に、自身の加速もしくは双羽の低速化、及び飛び道具この3つに分類可能。それらの中から雷を纏った剣という情報のみで想定し得る手段を抽出し、各パターンそれぞれにざっくり対応策を用意する。ここまで、およそ0コンマ0とんで1秒。
セネアックが直線的に突進してくる。対して双羽は横方向へ退避。飛び道具の可能性を下方修正、ついでに現状動きを阻害する要因も無いのでそちらも同じく。パターンを具体化、もっと広範囲の機動に対しての阻害もしくはブラフからの遠距離攻撃、あと瞬間的な高速化を可能性として列挙。
相手はしっかりこちらの動きを目で追い、追随してくる。機動阻害の可能性を想定し、今動いた範囲での回避ルートを模索。ついでに脇をすり抜ける形で敢えて急接近し…
「…っし!」
「のわ!!」
誘いに対して、動く。一瞬、剣が“消えた”。選択肢確定。瞬間的、かつ部位限定の超高速攻撃。弾き出した結論に従い、対応策を実行する。
先と同様高速回転した箒は、複数の金属音と共に斬撃を弾き返した。正確に説明するとなると、単に回転させたというだけでは不十分か。具体的には、剣の持ち手を狙っただとか自身に足払い掛けて体勢低くしたとか挙げれば色々ある。が、まあその辺りの保険は今回機能せずに済んだので割愛。
何にせよ、相手の手の内を無傷のままひとつ明るみに出したのである。こちらとしては丸儲けも同じというわけで。
「初見でその反応…見えていたのか?」
「んにゃ、何も見えなかったよ。ま、見えないくらいの速さで剣振った、ってことは分かったけどね」
「見えてるじゃないか」
微妙に勘違いされたようである。まあ、損するものでもないので特段構わない。
さて。手札のひとつを知識ゼロから回避して見せたわけだが。そんな事実に対し、セネアックがやる気を喪失する様子も無い。まあ当たり前と言えば当たり前か。手札を隠しつつ期を見てきるのと、既に表を向いた手札を振りかざす。扱う手段こそ共通だが、そこに存在するのは明確なパフォーマンスの差。つまり次回以降は高速剣を隠す気無しでガンガン振り回してくるわけだ。
…考える。ここで戦闘を継続するメリット。勝てば賞金が増額されること。ただし恒久的な収入自体は確保済みなため、これの優先度は正直かなり低い。
ではデメリット。怪我するかもしれない。というか、この凄腕剣士相手に無傷完勝出来る目は限りなく薄い。逆に言うなれば、まあ十中八九勝っても負けても傷だらけ。大怪我の可能性だって低くない。なまじいい勝負してるだけに、下手すれば死ぬ。
「あ、メリット無いね」
「なんだ?」
強いて戦闘中断のデメリットを挙げるならば、この相手が戦闘狂、即ちバトルジャンキーの類であること。見た感じ、互角の勝負を強制中断されるのは相当腹に据えかねる性質だろう。こちらが素直に降参とか言い出すと、後々闇討ちなんぞしかねないタイプだ。
「えっとね。こうさーん。ぎぶあっぷ!」
まあ、それでも降参はするのだが。
「…は?」
双羽の発言に対し、間髪入れず吹き付ける殺気。こちらが降参した以上この試合は終わりであり、またセネアックは試合のルールを無視する程ぶっ飛んだ手合いでもない、はず。この殺気も一種の反射というやつに違いない。
逆に言うと、思わず殺気なんぞ放出してしまう程度にはこちらの発言をお怒りのようだ。
「言葉通りだよー。僕降参。負けましたー。君の勝ちだよやったね!」
「…ふざけるな。貴方は私と対等以上の戦闘が可能なはず。それを、何だ? あそこまで付き合っておいて今さら降参? 冗談もほどほどにしなければ、その口吹き飛ぶことになるがいいか」
「まあ冗談じゃないけど、吹き飛ばすのは別の人でお願い。僕こうしろって言われただけなんだよねー。軽くぶつかって終わりにしろってさ」
「誰に」
「えっとね…アディル、って言ってたかな。あのおっちゃん」
まあ、あれだ。責任のなすりつけとか。身代わりとか。そういった類の、アレである。
「…なるほど。そうか、なるほど」
「ふふ、納得してくれて何より。んじゃ、僕は君がルール違反しないうちに帰るよ。次の試合頑張ってねー」
背中越しに手を振り、石畳を離れる。今気がついたとばかり後方でセネアックの勝利を告げるアナウンスが鳴り響いていたのだが、双羽としては割とそれどころではなかった。
「(思った以上に怒っちゃったなー…)」
双羽としては、特にあのアディルへ恨みは無い。というかこの責任なすりつけも、実のところ彼の尻拭いという側面があったりする。そこで相殺かな、とか考えていたちょっと前の自分に今さっきのセネアックの御姿を写真で贈呈したい。
まあ、とりあえず、だ。
「アディっち頑張れ」
こっそり応援だけはしておくことにした。
……
時刻はまた進み、大会も一周まわって4回戦第4試合。そんなわけでセネアックはアディルに殺意すら覚えていた。まるで心当たりありません、という態度からしてこちらを煽っているようにしか見えない。彼も同じく戦闘狂、しでかしたことの重大さは理解しているはずだ。
無論、いくらセネアックとて何も無しに箒少年の言葉を鵜呑みにしたりはしない。昨晩、アディルは気付かれず抜け出したと思っていたのだろう。しかしセネアックもまた彼に不明瞭な疑いを抱いていた。平時なら見逃したであろう気配の動き、セネアックはあの時それを察知し、目を覚ましていたのだ。
しかし流石に追跡は無理があった。そのため判明したのは“アディルが深夜こちらに気づかれぬよう抜け出し、そして少々後に帰還した”という事実のみ。そこに少年による情報追加だ。整合はとれている。セネアックとしても、少年の証言は信憑性が大きいと判断せざるを得なかった。
「にゃろ、ちょこまかと…ナナウィソ!」
「はあぁぁっ!」
…が、ここにきてどうも違和感を感じているのだ。
元々アディルを自分と同類と認識した上で、その同類の風上にも置けぬ取引についてセネアックは怒っている。好敵手との戦いを外野が中途に終わらせるなど、戦闘狂への仕打ちとしては最悪の部類。そこを認識しているであろう男による所業だからこそ、戦いに生きる者として許せなかったのである。
が、実際に剣を合わせてみれば。そんなせこいマネに手を染めた者が、こんな思い切りのいい連撃を迷い無く叩き込めるだろうか。自己の同類にあのような卑劣をかましておいて、ここまで戦いを楽しめるだろうか。
熱くなっていた心のどこかが、すっと冷える。態度こそ冷静沈着を装ってはいるが、生来セネアックの本性は“直情熱血”。心の衝動に従い、決めた目的へわき目もふらず邁進する。そんな愚直の若者が最も冷静さを取り戻すのは、何より緊迫した戦闘の最中なのだ。
「アディル!」
「おぉう、何だいきなり!? というか初めて名前呼んだなお前さん!」
迫りくる水球に対するは風を纏った刃。剣閃そのまま風圧となり水の壁を霧散させる。
そこに続けざま、足を払うかの如き風の魔法。敢えてその威力に逆らわず、刃にまとった風を起点に空を跳ねる。そのまま空中で纏う力を雷へ。体ごとぶつかり気味に多数の剣閃を叩きこんだ。
「貴方は、特に悪くはなかったようだ!」
「はぁ!? 何の話かさっぱりだがそりゃあれかい、もしかして俺っちとばっちりで殺されかけてたってか!?」
「つまりそういうことだな!」
「ふざけんな! つか朗らかに言う台詞じゃねぇよこの野郎!」
深くも無いが決して浅くも無い傷を幾本もアディルへと刻みつける。と同時、横っぱらに衝撃を受け、体勢無視で突撃していたセネアックは堪らず地を転がった。しかしそのまま伏せること無く受け身を取り、本試合何度目か分からぬ睨み合いへ。
あと脇腹の痛みを一瞬確認。まあ大丈夫だ、動きに支障のある傷ではない。
「トモハネ、という少年がいたな! 私が賭けに負けた試合の、あの少年だ!」
「お、おう、いたな! んでそれがどうしたよ!」
「わざと負けられた!」
「…はぁ!?」
「途中までいい勝負をしておいてな、急に途中で放り出したんだ! アディル、貴方に指示されたとだけ言い残してな!」
「ちょ―っと待て。おい。それ信じてたのかお前さん!?」
「そうだ! だけど私は、貴方が昨晩宿を抜け出したのも知っている! 疑いの余地を作ったそちらが悪い!」
「知るか! つかあれバレてたってか!? マジか!」
再度、睨み合い。この会話の間に5度は打ち合いを演じている。比較的攻撃に傾いたセネアックに応じる形のアディル、両者共既に傷だらけだ。しかし、それは決して単なる創痍に非ず。さながら、会話を録する書の如く。
交わす言葉に深い意味は無い。それらは戦いという言語を滑りよくするための潤滑油。セネアックが問い、アディルの棒が薙ぎ払う。アディルが怒鳴り、セネアックの剣がきらめく。魔法と言葉がぶつかり合い、雷光と怒声が迸る。
彼らの頭からは、今ここがとある大会のとある準々決勝戦であるという事実などとうに抜け去っていた。観客の視線やら手札の隠匿やら全部忘れ、ただ力と技術をぶつけ合う。そして、そこに確かな意思のやり取りを見た。
「ぜぇ…ぜぇ…。…アディル」
「はぁ…何、だ…はぁ」
「ぜぇ…すぅ…私は、貴方の話に一片たりとも耳を貸さなかった。それについては悪かったと思っている。次からは、殺る前に一言くらい聞くことにしよう」
「はぁ、っ、はっ…そりゃどーも。ああ、あとあれだ、俺っちもお前さんを欠片も信用しちゃいなかった。まあそりゃ今もだが、今後はもう少しうまく誤魔化してやら」
傷だけ見れば、数こそ多いが満身創痍にはほど遠い。しかし体力の消耗はそうもいかないのだ。予戦の数刻続いた戦いとは、事前の消耗も、互いの出した力の程度も全く違う。両者呼吸こそ整えたが、それでもまともな戦闘行動が可能なのはあと一度。半分気力で立っている現状なのだ。
だが、特にこの戦況について何かしら言葉を交わすことは無い。そんなの見れば何となく分かること、それ以上に今までぶつかり続けた両雄には分かり切った事実でもある。
最後の一合。そこのみを目的とし、両者構えをとった。特に号令をかける者などいない。しかし、2人が地を蹴ったのは計ったかの如く同時であった。
大体最後半あたりが、作者の書いてて最も楽しい部分です。これ書くためにやってる。
その代り勢い成分多めなので誤字脱字も多いかもですが。