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剣と魔法と世界と箒  作者: 久乃 銑泉
第弐部・壱章 闘競邂逅・きのうの てきは なんとやら
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第陸拾参話 強者激突・つわものの きょうじ

 題名の“きょうじ”は矜持です。

 走る、走る。足にそれほど自信は無いアディルだが、それでもそこらの輩を撒く程度なら造作も無い。

「んっの、待てやぁ!」

「ぜぇ、くっそ、ふざけんな、殺すぞ!」

「んなこと言われて待つ奴いるかい」

 あと、殺しは賞金無しですよ、とは思ったが特に言わない。正直あの程度のゴロツキに負ける気などさっぱりしないのだが、流石に10人超えてるのと一気に正面衝突したくもない。

 …まあ、正面からでなければどうとでもなる、ということでもあるのだが。追跡者が気づいているかどうかは知らないが、既に数度同じ個所を周回している。“仕掛け”は、済んだ。

 何度目かになる階段を上りきったところで足を止め、反転し待ち構える。急な方針転換に少しは疑ってもいいものを、歓声すらあげながら飛びかかってくる馬鹿が12名。

「ツニニヲ」

 階段上に仁王立ちするアディルの、その足元にあたる最上段から水が溢れ出す。決して人を呑み込むレベルではないが、重力に従った水塊に足をとられれば、その行先はひとつ。

「おわぁ!?」

「ぎゃあぁ!!」

 ゴロツキ集団は纏めて流され、半階下の踊り場に堆積して止まる。しっかり水がクッションとなったため、死んではいないだろう。再起不能は何人かいるかもしれないが。

 いそいそと人数分の球を回収し、その場を去る。一部転送されない者もいたが、正直持っている球全部探し出すのは手間だ。群れていなければじきどこかの誰かに狩られるだろう。

「ったく、無駄に走らせてくれちゃってからに」

 既に予戦開始から3刻ほど経っている。中盤もそろそろ終わり、という頃合いだ。序盤戦は雑魚狩りだったが、ここしばらくはそれなりの使い手やら今みたく群れた大集団やらと散発的な遭遇戦を繰り返していた。出場人数全体から考えるに、そろそろ篩に掛けられた強者が少数うろつくようになっているはず。ここから先はより気を引き締めねばならない。

 …とはいえ、本選にまで出場する気も無いわけだが。目的は序盤に達成しているので、あと数人とやりあったら適当に負けることにする。数人以内で強者と当たり負けるならそれでも問題は無し。ただし観客の目があるため、ストレートな降参は避けたいところだ。その辺りの塩梅をどうするか。

「さーて、この辺りにゃ色々と仕掛けさせて貰ったわけだが…お、早速お客か」

 階段の複雑に絡み合った従業員用と思しき外周のひとつ内側地帯。先程の集団に追われつつ色々と仕掛けて回った現在地周辺に、踏み込む者1人。上の階より下りてくる足音からして軽量級と思われる。しかも、こちらが少し動くと足音に混じる警戒の色。既にアディルの存在を察知しているようだ。

 ならば、面倒は避けるのが彼の主義である。

「おーい、そこのあんちゃん…いや、お譲ちゃん? どっちだ?」

「敵対者にまず掛ける言葉がそれか」

 呆れた口調ながらも警戒は崩さず、上階より姿を現したのは…いまいち特徴の無い青年だ。片手か両手か微妙なラインの剣以外、普通の旅人の普通の旅装という感じで目立つ点は無い。

 が、若者がかなりの実力者であることはすぐに分かった。足運びとか体捌きとか、挙げ始めればキリは無い。そういった諸々を総合したところの“強者の気配”というものを、アディルの嗅覚は敏感に感じ取ったのである。

「…面倒くさそうなので、お互い会わなかったことにしてくれないか?」

 ついでに、向こうもきっちりその嗅覚を備えているようだ。あとついでに面倒くさがりの気質も十分、アディルとは気が合いそうである。

「あー、まあ確かに魅力的な提案っちゃ提案だが。…この会話含めて観客に見聞きされてるっての、忘れちゃいないかい?」

「よしやるぞ、どこからでもかかってこい」

「変わり身早えーなおい」

 一見堅物だが、なかなかに面白そうな人物だ。アディルとしては好感のもてる手合いである。大会が終われば酒でも酌み交わしてみたいところだ。

 無論、今は敵同士だが。

「よーしどこからでも、っつったな? …チシイソ」

「おっと!」

 上という地の利を維持するためか、若者は足を止めていた。的が止まってくれているならば好都合、丁度その足元に仕掛けていた魔法を発動させる。

 人間一人なら吹き飛ばせるであろう局所的な旋風は、相手の不意を突くには十分だったようだ。巧く衝撃を逃がしつつも、その意識は今足元へと向いている。刺すべき隙は、今。

「おいおい、余所見たぁ余裕だな!」

「これが余裕に見えるか。目悪いだろう、貴方」

 …不意を突いた長棒による一撃。肉薄した時点で初めて反応し始めたその攻撃を、相手は軽口交じりで受け流した。まったく、それが余裕でなければ何だというのだろう。

 そこから数合打ち合ったものの、どうやら近接戦闘では分が悪いようである。そもそもアディルの棒術は防御を基本に組み上げたものであり、打ち掛かる溜めの動作起点に乏しい。いくらもしないうちに防戦一方となり、得意の土俵へと押し込まれたことでそれは膠着となる。

「…妙な技だ。防戦に陥った途端面倒になった」

「護りこそ俺っちの棒術その神髄、なんてな」

 さて。ぶっちゃけ、得物ぶつけ合う棒振り合戦でこちらに勝ち目は無い。だがそもそも、ある程度以上の相手にそんなやり方で勝つつもりも想定も無い。

 意識のごく一部に、この辺りの地図を思い浮かべる。ゴロツキ集団に追われる前から調べ回った、彼の“庭”だ。本領発揮を考えると少々急造品で心許無いが、1対1でやり合うには十分だろう。

「なかなか面白い、けどそれじゃ埒が明かないだろう。なんで、そろそろ決める」

「こら待て。いつからお前さん、主導権握った気になってやがる? …チシイソ!」

「くっ!」

 再度、風の魔法を機動。自身には当たらず、相手は避けねば体勢を崩すこと必至、そんな地点を選んでの多重起動だ。これだけの手練相手に2度目である以上、先のような不意打ちとしては機能しない。しかし、間合いの利をこちらへと引き寄せる役目としては十分。剣は届かず、棒も届かず、さりとて魔法を詠唱するには近い、そんな距離。これぞ、アディルの間合いだ。

「チイシソ! …ナナウィソ!」

「ちぃ、ぬっ!」

 常の魔法とは比べ物にならないほど短い詠唱。これにより、近接武器の間合い少し外から魔法による波状攻撃を仕掛けることができる。ただしアディル自身はそこまで優れた魔法の使い手というわけでもない。そこそこの使い手が、ちょっとした工夫を織り込んでるだけだ。

 …彼の魔法戦闘における特徴、それは“仕掛け”。特殊な技法により発動寸前の状態で魔法を固定し、任意のタイミングにごく短い呪文にて作動させる。勿論、仕掛を施していない場所からの攻撃は不可能。だが今彼らの居る一帯には、既にほぼ隙間無く魔法が仕掛けられていた。少なくともこの場所に限り、魔法の速射性と威力の両面でアディルに勝る者はそういないだろう。ならばと相対する者が接近の手をとれば、堅守を旨とする棒術がお出迎え。無論魔法の連射が途切れるわけでもない。守りを固めつつ、絶対有利な空間にて相手の体力を削り取る。これぞ仲間内でも性格悪いと好評な、アディル常用の手の一つだ。

「…ナナウィソ。どうした、さっきの余裕はどこ行った、ん? …おっと、チイシソ!」

 絶え間無く発生する旋風と水球。風に耐えようと踏ん張れば水に足を取られ、水を乗り越えようと身を浮かせれば風の煽りを受ける。そんな局地的な暴風にも近しい空間を、相手は器用に切り抜けていた。ただまあ先程までの余裕は無いようで、こちらの挑発にも言葉は返ってこない。

 このままいけば、じき相手の体力が底をつくか集中力が途切れるかでアディルの勝利も確定することだろう。しかし、彼の直感が示す目の前の相手の実力、それはこの程度で終わるようなものでは到底ない。

 そんな予想が実証されるタイミングは、思いの外すぐやってきた。

「ナナウィソ、チイシソ…チイシソ。…ん?」

「…サジウィトヲニィメクハリクミ」

 怒涛の連撃、しかしその中にも緩急というものがある。むしろ一定調子ではその内読み切られてしまう可能性も高いため、魔法の連撃にはわざと激しい部分と緩い部分とを織り交ぜていた。その、特に緩くなる一瞬。そこを突き、相手が魔法の詠唱を行った。

 これでも魔法を己が手札として長いアディルである。よく用いられる呪文であれば、大体の発動現象を読み取るなんて芸当もできる。仮に現象はいまいち判然としなくとも、大まかにどういった種類の魔法であるかを読み取るのは魔法による対人戦闘技術の基礎だろう。今だって、恐らく風に関する魔法であるという予測はついた。だが、それ以上は何も分からない。聞いたことの無い呪文である。

 ゆえに、警戒した。風という自然現象を何らかの形で人工的に発生させるところまではまず間違いない。では、如何にしてその人工の風でもってこの状況を打破するのか。呪文の長さからして、単純な威力はこちらの放つ旋風1発より多少マシな程度だろう。単発相殺して何とかなるものでもない、となれば狙いはアディル自身。

 …そこまで考え及んでいたからこそだろう。相手が一瞬足を止め、腰溜めに剣を引いたとき。曝されたその明らかな隙を突くこと無く、回避行動を取ることができたのは。

 すぱん、という気の抜けた音が、アディルのすぐ耳元を掠めた。

「へぇ…初見で掠りもしないとは思わなかった。防御が得意っていうのは本当みたいだ」

「上から目線にゃ納得いかねぇが、まあ褒め言葉として受け取っとくぜ。というか殺しはご法度だろうよ」

「貴方はその程度じゃ死なないだろう?」

「信頼されてるこって」

 爆音だとか破砕音が鳴り響いたわけではない。だが今しがた確実に、対象を破壊せんとする力がアディルの脇を抜け、そして背後の壁へと爪痕を残した。単純に考えればよくある風の刃か何かの魔法だろう。“よくある”の部分に“少々威力がおかしい点に目を瞑れば”と注釈はつくが。

「しかしまあ奇妙な技使うな。今のお前さんの動きと後ろの壁の傷からすっと、まるで剣閃がそのままこっちまで届いたみたいだが。…あれか、究極に研ぎ澄まされた剣技ってやつか?」

「剣だけでこんな威力を出せる人間はそういないだろう。それに、そちらにも詠唱は聞こえていたはずだ」

「魔法と剣の複合技ってところかね」

「そんなものだ」

 振り抜く剣閃に、風の刃を乗せたのか。いやしかし、剣と投石器ではわけが違う。剣筋に沿って風の刃を発生させたところで、威力が跳ね上がるとは思えない。

「んじゃそいつは…」

「ああ、これ以上の情報は出せないからな」

「ケチだねぇ。…んじゃこいつで最後だ。今剣にまとわりついてるそれ(・・)が、今ののネタってことで間違いねーかな?」

 相手の持つ剣、その刃の部分を透明な何かが覆っている。透明を視認できたのは、先からこちらが用いていた水魔法の残滓によるものだ。そこらに漂う靄の内、剣を覆うものが緩く逆巻くように蠢いているのである。アディルの想像が正しければ、あれは風そのもの、ということになるのだろうか。

「これ以上は無しだ、と言っただろう。そろそろ次行くぞ」

「…せっかちなこって」

 言うなり、まっすぐこちらへ突っ込んでくる。どうも先の技は連射の効くものではないらしい。警戒を最大としつつも、行き先を防ぐよう水球と旋風を起動する。

「…ナナウィソ、チイシソ」

「それは、もう見た!」

 対して相手は、なんと上空へと飛び出した。大階段ゆえ、この場の天井はかなり高い。地上の進路を塞ぐ魔法の壁に対し、上という解を出したのだ。

 しかし足が地から離れれば、人は自由に動けない。そもそもその程度なら織り込み済みだ。慌てず騒がず上空にも設置してあった魔法を起動。突如巻き起こる旋風に相手は頭から突っ込み…

「っし!」

「チイシソ…ってなんじゃそりゃ!?」

 空中で軌道を変更、こちらから見て左横手へと着地する。無論そこへ風と水とが殺到するわけだが、前後左右に加えて上方までもを選択肢に入れた変則的な変速機動でもってこちらへと迫ってくる。急制動とはいかないが、少なくとも自然に空へと放り出された物体では取り得ない挙動だ。流石に線が面となったことで弾幕も薄まり、本日2度目の接近を許すこととなる。

「ナナウィ…どわっ!」

「…捉えた。この距離なら…」

「なんとでもなるとか思ったか!? チイシソ!」

「ぐっ。流石にそう簡単にはいかないか…!」

 魔法の起動方式を切り替える。離れた相手への制圧を目的とした絨毯爆撃から、棒の動きの隙間をカバーする近接戦闘補助へ。連射性を落とせば、詠唱の短い仕掛け魔法は近接戦闘にも使えるのだ。なお初めに使わなかったのは、単に手の内を隠したかっただけである。

 …接近してなお空間を最大限に用いた機動戦を仕掛ける相手の剣士に対し、アディルは極力大きな動きをせず迎撃を行う。相手は剣術で勝り、どうやら魔法そのものの性能ではこちらに軍配が上がるようだ。即ち、その実力は互角。先に集中を切らした者が、もしくは先に体力のそこを見せた方が、負ける。

 アディルは、どちらかと言えば戦いを好む。面倒くさがりではあるが、この大会への参加自体もそれなりに楽しんではいる。そしてそれは、相対せし剣士にしても同じこと。彼らの意識からはいつしか、この場が闘技大会の予戦であるという情報、多数の衆目に曝された武技のやり取りであるという事実、それらが綺麗さっぱり抜け去っていた。


……


「で、このざまってか。くっそう、夢中になると周り見ねぇのはほんと俺っちの悪い癖だよなぁ、ったく!」

「いや、貴方の癖についてはよく知らないが」

 ほんの少し前まで、命のやり取り一歩手前を演じていた強者二人。彼らは互いに気力を使い果たし、体は細かい傷だらけ。片や壁にもたれ、片や階段に腰を下ろして足を投げ出していた。どちらがどちらかはなんとなく想像がつくだろう。

 足を投げ出すめんどくさがり屋こと、アディルと名乗った棒術の男。彼はどうやら予戦に勝ち残るつもりが無かったようだ。ならばなぜあんな必死で戦ったのかとか言いたいところだが、それは相手をしていたセネアックにしても同じことである。こちらは本戦出場を目標としていたといえ、ここまで全力を尽くすつもりもなかった。そういう意味では、目的自体は達成、計画遂行度合いとしては8割、といったところだろうか。

 …そう、彼らは“両者共に”予戦を勝ち残ったのだ。戦いは2刻半にも及び、なお決着がつかぬままに予戦自体が終了してしまったのである。しかも、生き残りは30名。球の数の関係上、後半の予戦がどう転ぼうと最後まで立っていた彼らは双方勝者となるわけで。

「計画も端から頓挫、んで決着もお預けってか。ちくしょう納得いかねぇ。球回収しなけりゃよかったぜ」

「大半自業自得だと思う。そちらが早々に引いていてくれれば、こちらとしても無駄な体力を使わずに済んだ」

「んなら、あのやり合いから自前で負けろってか? お前さん、それ自分がやれって言われちゃどうだい?」

「…無理だな」

 結局のところ、実力の伯仲した軽い戦闘狂が揃ったあたりで運の尽き、というヤツだったのだろう。

「で、お前さんはこれからどうするんよ?」

「これから?」

「ああ。確か、もうしばらくすりゃ外に強制転移されんだろう。その後どうする、って話だ」

「宿に帰って寝る。いい加減疲れたから」

「やっぱり気は合いそうだなぁ、俺っちとお前さん。こっちも同じこと考えてたんだが、何も食わずに寝るってのもなんだろう。飯の旨い飲み屋知ってんだ、一緒に来る気はねぇか?」

 …確かに、疲れたとか寝たいとかばかり頭の中を渦巻いているせいで空腹を忘れていた。なんせ朝方から夕刻までぶっ通しで戦っていたのだ。腹の減らないわけがない。

「そうだな。そこまで言うのなら御馳走になろう」

「…おい、誰も奢るたぁ言ってねぇぞ?」

「ちっ」

「舌打ちしたな。お前さん今舌打ちしただろ。このケチ野郎が」

「知っている」

「めんどくせー」

 なんだかんだ言って、この男との会話は楽しい。何度か言われたが、ウマが合う、ということか。どうせ本戦で決着をつけるまでしばらくの付き合いだ。知り合いのいないこの街に人脈を作る機会にもなる。ここで仲良くしておいて損は無い。

 如何にしてアディルに飯代を支払わせるかと考える間に、どうやら定刻が来たのだろう。景色が切り替わり、天井の無い解放感に思わず軽く伸びをする。ふと隣を見れば、本日の晩餐相手は人目憚らず盛大に伸びていた。やはり色々とタイミングの合う人間である。

 周囲はと見れば、セネアックの背から見えるのはただ人、人、人。観客と途中離脱組、少数ながら生き残った本戦出場者が一堂に会したため、まさに人波で何か洗えそうな混雑状態だ。

「またこりゃ大変な人混みだな。かき分けんのめんどくせぇ」

「閉店まで時間があるのなら、のんびり行けばいいだろう。急ぐことも無い」

「…色んな意味でマイペースだな、お前さんって」

「それはどうも」

「あんまし褒めてねーよ」

 観客だろう大量の人の流れに紛れつつ、のんびりとアディルお勧めの店へと向かう。街ひとつ分の人間が集まっていたのだ、そうスムーズに動くものでもない。おかげで店と逆の方向へ長され、また一つ苦労をする羽目になったのだが…まあ、そこについては割愛とする。とりあえず、平均より背丈のある人間が1人いれば色々と便利だということが分かった。

 結局人波を抜けるのに大分時間を掛けたため、飯処への到着はかなり遅い時間帯となってしまった。だがまあそこは酒の出る店、むしろ盛況な時間帯だったようだが。味も勧められるだけのことはありなかなかのもので、セネアックとしてはゲイヌシン滞在中の主な食糧調達の場と定めるに異存も無かった。もっといい場所もあるやもしれないが、探し回る労力を考えれば比べるべくも無い。結果として、本戦終了までの数日間、セネアックとアディルは毎食ここで食べることになる。双方の面倒くさがりな性格が影響してのずぼら生活に、ツッコミを入れる者も特に居なかった。

 そして、少なくとも彼らの周囲で何かしら特別な事件が起きることも無く。予戦の後半も(見に行ってはいないので伝聞形だが)滞り無く進み。いよいよ、本戦の朝を迎えるのであった。


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