42.神々への御披露目
しばらくして、淤加美と月詠見、日美子の三柱の神は、先に広間に向かった。
蒼愛と紅優は黒曜の先導で、声が掛かってから広間に入る段取りだ。
「とんでもねぇ話になっちまったなぁ」
黒曜が気の毒そうな眼差しを蒼愛に向けた。
「俺ぁ、紅優と蒼愛が幸せに暮らせりゃ、それで良いと思ってたんだが。色彩の宝石じゃ、そうはいかねぇのかねぇ」
黒曜のぼやきは、紅優と蒼愛の幸せを本気で願ってくれているのだと感じ取れた。
「蒼愛の質を考えたら、いずれは今の状況になっていた。通らなきゃならない道だと思ってるよ」
紅優の静かな声には決意を感じた。
(日ノ宮で月詠見様に話を振られた時や水ノ宮では迷ってる感じだったけど、紅優は気持ちを決めたんだ)
蒼愛が色彩の宝石である以上、窃盗犯が野放しになっている現状は、決して安全ではない。
紅優が言うように、いずれはこの状況になっていた。
「僕は、紅優と幸せに暮らしたい。だから、僕も頑張る。二人で幸せを探せる毎日が送れるように、ちゃんと解決しよう」
握っていた紅優の手を更に強く握った。
「二人で生きるこれからを考えたら、きっとあっという間の時間だよ」
紅優が微笑みかけてくれた。
「俺にぁ、もうすっかり幸せそうな二人に見えるぜ。番になって、良かったな。何かありゃ、俺にもちゃんと頼れよ」
黒曜が頭を撫でてくれて、照れ臭いけど嬉しくなった。
小さな白い竜が扉をすり抜けて入ってきた。
黒曜の肩に触れると水の飛沫になって弾けた。
「淤加美様からお呼び出しだ。じゃ、行くとしますかね。二人が幸せでいるための試練の始まりだ」
控えの間の扉が開く。
互いに手を握り直して、蒼愛と紅優は大広間に向かった。
大広間の扉が開くと、光が視界を遮った。
目を開けると、目の前に淤加美がいた。
ゆっくり辺りを見回す。
広い座敷に、六柱の神々が車座に坐している。
神々の中央に、蒼愛と紅優は立っていた。
「さぁ、皆、話は尽きないだろうが、噂の番が来てくれたよ。挨拶をお願いできるかな」
淤加美の目が紅優に向いた。
小さく頭を下げて、紅優が口を開いた。
「均衡を保つ役割を担う白き妖狐にございます。既に周知とは存じますが、この度、番を得まして、名を紅優と改めました。ご挨拶が遅れましたこと、大変申し訳ございません」
顔を上げた紅優が淤加美と視線を絡ませる。
淤加美の目が、蒼愛に向いた。
「紅優の番となりました、蒼愛と申します。宝石の人間、蒼玉です」
言いながら、淤加美を見詰める。
淤加美が小さく頷いてくれて、安堵した。
「御披露目が遅れてしまったのは、私が蒼愛を愛でていたからなんだ。蒼玉の人間は久し振りで、浮かれてしまってね」
淤加美が優しいフォローを入れてくれた。
「ふぅん。ま、蒼玉に浮かれんのは仕方がねぇにしても、紅優が俺んとこに挨拶に来ねぇのは、納得いかねぇなぁ。お前ぇは火の加護を受ける妖狐だろうが。水ノ宮に長居してんじゃねぇよ」
声の方を振り返る。
赤い短髪に赤い着物を纏った男性が、不貞腐れた顔をしていた。
目つきが鋭くて、怒っている顔が怖い。
ガタイもいいから、大きく見えて余計に怖い。
(あれが火ノ神、火産霊様かな。めちゃくちゃ怒ってる。怖い)
「申し訳ありません、火産霊様。蒼愛が蒼玉でしたので、まずは淤加美様に謁見せねばと思いまして。本当なら御披露目前に伺いたかったのですが、火ノ宮への御挨拶は、この後すぐにでも」
紅優が、にこやかに詫びを入れた。
「来るつもりだったんなら、別にいいけどよ。ちゃんと俺んとこにも遊びに来いよな。もう火の加護、やらねぇぞ」
「ちゃんと伺いますよ。俺も火産霊様に蒼愛を紹介したいですから」
紅優を見上げる。
いつもの紅優の笑顔だ。
火産霊と呼ばれた神も、怒っているというよりは拗ねている感じだ。
(もしかして、仲良しなのかな。ヤキモチみたいな感じかな)
「おぅよ、個人的にちゃんと紹介しろ。可愛がってやるよ。ちなみに俺が火ノ神、火産霊だ。よろしくな、蒼愛」
火産霊の目が蒼愛に向いた。
面白そうな玩具でも眺める目に、不安しか浮かばない。
とりあえず、会釈しておいた。
「えー、だったらウチにも来てほしいなぁ。僕も蒼玉の蒼愛ちゃんと遊びたーい」
振り返ると、可愛らしく着物を着こなし長い髪を綺麗に結った女性が蒼愛に興味津々な眼差しを向けていた。
「僕はねぇ、土ノ神の須勢理だよ。可愛いものや綺麗なものが大好きなんだ。蒼愛ちゃん、とっても可愛いから、僕が持ってる着物とか沢山着せ替えて遊びたーい」
ニコニコと無害な笑みを向けられて、少しだけ気持ちが落ち着いた。
「でも、僕、男なので、須勢理様の着物は着られないんじゃないかと思います」
「僕も男の神様だよ」
「えぇっ⁉」
あまりにもビックリして素で驚いてしまった。
綺麗に整った長い髪も化粧も着物も全部が女性で、男性の要素がない。
「女の子みたいでビックリした? 蒼愛ちゃんも、ちゃんと着飾れば僕みたいに綺麗になれるよ。紅優ちゃんも、可愛い蒼愛ちゃん、観たいよね?」
振られた紅優が困った笑みを浮かべている。
「蒼愛は今のままでも十分、可愛らしいですから」
「えー、何それ、惚気? つまんなーい。可愛くしたら絶対に気に入るってぇ。だからさ、僕の宮にも遊びに来てよ、ね?」
上目遣いにお願いされて、紅優が笑みを返していた。
「そろそろ、くだらない話は終わりにしませんか。大事な報告が、まだ済んでいないでしょう」
ずっと黙っていた若い男性が口を開いた。
人間で言うなら、二十歳前後、もう少し若いだろうか。
すっきりした涼しい顔の、いわゆるイケメンだと思った。
細身の体と色素が薄い感じが、冷たい印象を与える。
無表情だから、余計に氷のような印象になるなと思った。
「慌てるモノではないよ、志那津。君も二人に名乗ってあげなさい」
淤加美に促されて、男性があからさまに顔をしかめた。
「風ノ神、志那津。君らとは特に関わりがない神だ。俺の宮には来なくていいよ」
蒼愛をちらりと眺めた志那津が、あからさまに嫌そうな顔で目を逸らした。
(睨まれた、よね。初めて会うのに、嫌われてるみたい。そっか、嫌われるって、こんな感じなんだ)
何故、敵意を向けられているのかはわからないが、あまり気分の良いモノではないと思った。
(けど、無関心に無視されたり、ゴミ扱いされるよりは、ずっとマシな気がする)
それに何故か、志那津に対して悪い感情は生まれなかった。
「確かに大事な報告がまだだねぇ。その前に聞きたい話があるんだけど。あ、俺は暗ノ神の月詠見。隣に座ってるのが日ノ神の日美子だよ。神々の中で唯一の番だ」
紅優と蒼愛は振り返り、月詠見と日美子に礼をした。
日と暗の加護を既に受けている事実は、秘密にする段取りだ。
何日も一緒に過ごしているのに初対面の振りをするのは違和感があって、顔がぎこちなくなりそうだった。
「皆、蒼愛の質について知っているの? 誰に聞いたのかな? 俺と日美子はついさっき、淤加美に聞いて初めて知ったんだけど。その前には、どの神とも淤加美は会っていないだろ?」
月詠見が探るような目を全体に向けた。
「そうだね。話したのは月詠見と日美子だけだ。志那津がいう大事な報告とは、その話だろう?」
淤加美の問いに、志那津が頷いた。
「蒼愛の質って、色彩の宝石かもしれねぇってやつだろ。わざわざ蛇が報せに来たぜ」
「俺の所も、同じです。眉唾だと思って相手にしませんでしたが」
火産霊に続いて話した志那津が、蒼愛に目を向けた。
「あながち間違いでもないと判断して、良いのかもしれませんね」
そう言ってから、志那津が舌打ちしたように聞こえた。
「僕の所もだよー。蛇々ちゃんがわざわざ来たの。蛇々ちゃんてば、僕を殺したいから会いに来る口実が欲しくて嘘ついてるのかと思っちゃった」
「えっ⁉」
思わず声が出て、蒼愛は自分の口を塞いだ。
「すみません、思わず……」
須勢理に向かい、ぺこりと頭を下げる。
クスクスと可愛らしく須勢理が笑った。
「いいよ、いいよ。妖怪が神様を殺すとか、ビックリするよね。けどね、この国ではアリなんだよ。何せ、神様を殺した者は次の神様になれるんだから。そうやって神様になりたがる奴もいるんだよ」
須勢理の目が仄暗く笑んだ。
急なとんでも情報に、蒼愛は息を飲んだ。
「須勢理、今はそういう話ではないよ。蒼愛の質の話をしている」
淤加美が珍しく強い口調で注意した。
「ごめんなさーい。話しのついでだよ。蒼愛ちゃんはこの国について、あんまり知らなそうだし、教えてあげた方がいいでしょ」
べっと舌を出す須勢理を、志那津が苛々した顔で眺めていた。
「脱線すると話が進みません。用件を話して、さっさとこのくだらない時間を終えましょう。蒼愛は色彩の宝石、淤加美様がそう感じたのなら、間違いない。本物だったのでしょうか?」
志那津の適切で簡潔な質問を聞いて、須勢理がそっぽを向いた。
「蒼愛が色彩の宝石である事実に間違いはないよ。本物と断定できる」
「ならば人柱ですか? 番として報告した意味すらありません」
淤加美の言葉に志那津が被せるように付け加えた。
「いいや、蒼愛は本物以上だった。たった一人で色彩の宝石を作り出せる」
驚いた顔をする志那津を余所に、淤加美が懐から袱紗を取り出す。
袱紗を開くと、蒼愛が作った不完全な色彩の宝石があった。
神々全員が、淤加美の手の中の宝石に見入った。
「おい、待て。本当に本物じゃねぇのか。これを一人で作ったのか?」
火産霊が慌てた声をあげた。
淤加美の加護を充分に受けた後、蒼愛はもう一度、色彩の宝石を作った。
日ノ宮で作った時よりは完成度が上がっている。
淤加美にも、本物と遜色ないと御墨付をもらった。
「まさか、これを一人で作ってしまうなんて……」
顔も声も驚いた様子で、志那津が呟いた。
うっかり零してしまったのか、蒼愛を睨みつけて、目を逸らした。
「綺麗……、七色に輝いて、とても綺麗だね、色彩の宝石……」
須勢理が、うっとりした声を上げている。
宝石を覗き込む振りをしながら、月詠見が神々の反応を気にしているのが、遠巻きに眺める蒼愛の目に付いた。
日美子が手で合図をくれた。
(あれは、順調、頑張れの合図だ)
日美子が、蒼愛が不安になったりテンパらないように、時々目や手で合図をくれていた。
「蒼玉の蒼愛は、元より火、水、風、土の属性を扱える術者だったそうだ。日と暗の加護を受ける紅優と番になったことで、六属性を得て、蒼愛自身が色彩の宝石になった。溢れるほどの霊力量が、一人でも宝石の霊現化を可能にしたんだ」
淤加美の説明に、神々が宝石と蒼愛を交互に見詰めた。
「じゃぁ、紅優の左目で代用する必要は、もうねぇのか。この色彩の宝石に俺らが加護を与えて社に祀れば、瑞穂国は完全な状態になれる」
確かめるように話す火産霊は、未だに信じられない顔をしている。
「強度の確認は必要では? 祀ってすぐに砕けたのでは意味がない。たったの一つしかないのなら、尚更です」
志那津の言葉に、淤加美がいくつかの玉を出して見せた。
「これは練習で作った不完全な色彩の宝石だよ。蒼愛は何度でも宝石を作れる。一日に、二つくらいはできるかな?」
淤加美の問いかけに、蒼愛は考え込んだ。
「只作るだけなら、三つくらいはできると思います。強度とか色々考えるなら、減っちゃうと思いますけど……」
紅優が蒼愛の肩に、そっと触れた。
(余計なコト、話しちゃった。詳しい話は、ここではしちゃいけないんだった)
慌てて口を閉じる。
突然、須勢理に手を握られた。
「すごい! 蒼愛ちゃん、凄いね! 可愛いだけじゃなくて、優秀! ますます仲良くなりたーい!」
頬にキスをされそうになって、紅優が慌てて蒼愛の体を後ろに引いた。
「須勢理様、蒼愛は俺の番です。そういう行為は、おやめください」
「えー、紅優ちゃんて、人間みたーい。ちょっとキスするくらい、よくない?」
「お控えください」
同じ言葉を繰り返して、紅優が蒼愛を腕に抱いた。
その姿を見て、須勢理がクスリと笑んだ。
「大好きなんだねぇ、蒼愛ちゃんのこと。前の番は忘れちゃった? 大昔の話だもんねぇ」
紅優が、あからさまに顔色を変えた。
「普通は番って一人だけど、紅優ちゃんの場合は二人目だもんね。また間違って殺しちゃわないように気を付けてね」
紅優が何も言わずに俯いている。
「蒼愛ちゃん、紅優ちゃんが怖くなったら僕が貰ってあげるから、いつでも来てね。蒼愛ちゃんなら僕の番にしてあげるよ」
蒼愛は、須勢理の顔を眺めながら、ぼんやりと声を聞いていた。
「須勢理、デリカシーがない話は止めようか。御披露目の場で話す内容じゃないね」
見かねた月詠見が強い口調で苦言を呈した。
須勢理が言葉を発すより早く、その胸倉をつかんだのは火産霊だった。
「おい、コラ、須勢理。それ以上、蒸し返すつもりなら、俺がこの場で手前ぇを殺すぜ」
火産霊の肩から炎が立ち上っている。
神力から強い怒りを感じた。
「離せよ、袷が乱れる」
火産霊を睨みつけた須勢理が、冷ややかに言い放った。
さっきまでの可愛らしい雰囲気が全部消えて別人になったような声音だ。
しかし、すぐに表情を変えて、笑みを戻した。
「殺してもいいよぉ。火の属性は殺すのも殺されるのも得意だよねぇ。土とは、もっと仲良くしてくれてもいいのになぁ。あ、でもぉ、仲良くなったら殺されちゃうのかぁ。愛する相手を食い殺すとか、怖ーい」
小馬鹿にしたような笑みで、須勢理が明らかに挑発する言葉を発する。
さらに力の入る火産霊の拳を、日美子が止めた。
「およし、火産霊。神様が御披露目で喧嘩してどうするんだい。須勢理も言葉を慎みな」
日美子に叱られて、仕方なく手を離した火産霊が、大きく舌打ちして背を向けた。
着物の袷を直しながら、須勢理が日美子を睨みながら流し見た。
「元人間如きが偉そうに」
わざと聞こえるような独り言を吐いて、須勢理も火産霊に背を向けた。
「蒼愛も紅優も気にする必要はないよ。番が一人じゃない妖怪は珍しくない」
淤加美に諭されても、紅優の顔は暗いままだ。
「僕は気にしません。何百年も前なんて、僕にとっては大昔すぎて想像できないというか。人間なら何回も生まれ変わっていると思うし」
蒼愛の言葉に、何故か志那津が吹き出した。
遠巻きに聞き耳を立てていたらしい。
笑ってしまってから、気まずそうに顔を隠した。
「紅優ちゃんは人間を喰う妖怪でしょ。そういうの、怖くなかったの?」
須勢理が蒼愛に絡んだ。最初と同じ、無害そうな笑顔だ。
火産霊や日美子が顔を顰めて止めに入る前に、蒼愛は咄嗟に口を開いていた。
「怖い? どうして?」
首を傾げる蒼愛に、須勢理が表情を止めた。
「あ、すみません。普通は怖いのかもしれないけど。紅優の喰い方は優しいから。喰うまでも喰ってからも、ありがとうって、ちゃんと大事にしてくれるから、怖くないです」
蒼愛の肩に乗った紅優の指が、ピクリと動いた。
「へぇ、とっても偽善めいた喰い方をするんだぁ。蒼愛ちゃんは騙されて絆されちゃったんだねぇ」
蒼愛は、また首を傾げた。
「紅優の優しさは本物です。そう感じたから、番になりました。紅優はとても優しいです。だから、須勢理様も怖がる必要、ないですよ。紅優は須勢理様を傷付けたり、しませんよ」
須勢理が、ビクリと肩を揺らした。
「は……? なんで僕が、妖狐如きを怖がらなきゃいけないの?」
須勢理の声が強張って、可愛さが抜け落ちた。
「僕も、どうして怖がっているのかなって思ってました。ここに居る神様も紅優も皆、優しいのに。威嚇なんかしなくても、誰も須勢理様を虐めたりしないと思います」
須勢理がぎこちなく鼻で笑った。
「何それ、僕が他の神や妖狐にビビってるって言いたいの?」
「びび? いえ……、もしかして、寂しいのかなって、思いました」
周りが全部敵に見えて、一人が寂しくて怖くて、攻撃される前に相手を攻撃して抗おうとする。
そういう子供を、蒼愛は理研で何人も見ている。
同じように須勢理も、怯えや寂しい心を先制攻撃や笑顔で隠しているように見えた。
(でも須勢理様は神様だし、人工物のbugとは違うから、失礼だったかな。謝った方がいいかな)
顔を上げた蒼愛は言葉を飲み込んだ。
須勢理の顔から笑みが消えている。表情すら抜け落ちているように見えた。
思わず、その顔を凝視した。
そんな蒼愛と須勢理の間に入った月詠見が、蒼愛を後ろに庇った。
「蒼愛にキスできなかったからって、暴走しすぎだよ。この話はこれで終わりで良いね、須勢理」
月詠見と目を合わせていた須勢理が、表情を改めた。
「ちょっと虐めすぎちゃったー、ごめんねぇ。可愛い子って、虐めてみたくなるんだよねぇ。満足したから、もういいよ」
ほとんど棒読みの台詞のように言い捨てると、須勢理が元の席に戻った。
日美子や、離れた所にいる志那津から緊張が消えた気配がした。
広間全体の空気が変わった気がした。
突然、大きな手が蒼愛の頭を撫でた。
見上げると、火産霊が笑顔で蒼愛の頭を撫でていた。
「なかなか勇気あるじゃねぇか。気に入ったぜ、蒼愛」
特に勇気を使った覚えがなくて、蒼愛は軽く混乱した。
とりあえず火産霊には好印象だったらしいので、軽く会釈しておいた。




