登場人物紹介⑤
【:緑風】
宝石の人間・:緑玉。霧疾の番。
十一代家斉の時代、仕官していた侍だったが御家騒動に巻き込まれ大怪我を負い、武士をやめる。寺子屋で手習いを教えていたが、子供たちを妖怪から助けて穴に落ち、瑞穂国に迷い込んだ。黒曜に保護され、紅に見出されて宝石の質を知る。現世に居た頃から多少はあった霊能を紅が伸ばしてくれたのをきっかけに、宝石の質が伸びた。力が安定してからは風ノ宮に預けられ、志那津の加護を受ける。
「生真面目すぎて面白そー」と笑う妖怪にイラっとしたのに、そこから絡み始めた霧疾が無視できなくて気になって、気が付いたら番になっていた。
緑風を「可愛い」という霧疾がいまだに理解できない。
NYANCHOCOTTの季節限定ケーキゲットを主命と受け取り、命懸けでケーキを買いに行くお侍さんです。志那津でさえ「買えたらで良かったんだが。そこまでの無理は、しなくて良かったぞ」って思っちゃう感じの一生懸命さです。買えなかったら切腹していたかもしれませんね。
真面目中の真面目、だけど天然なのが緑風さんです。この手の天然キャラは、からくりにはいなかったので、出せて良かったです。
今までは属性の神である志那津を主と定めていましたが、これからは宝石の人間を統べる結彩ノ神蒼愛が主となります。緑風にとっては上様(将軍様)です。きっと今まで以上の崇めっぷりになるんだろうな、そんな緑風を書いてみたい。
【:明灯】
宝石の人間・:赤玉。黒曜の番。
昭和の頃、何代も続く菓子司の次男坊だった。戦争がはじまり、空襲で家が焼け、家族が全員死んだ。河原で座り込み、目を瞑って起きたら瑞穂国に居た。黒曜に捕縛された時の明灯は八歳の少年だった。紅の所で霊元があると伝えられ、霊能を伸ばすうち、体が成長して今の姿(20代くらい)に。様子を見に来てくれる黒曜に亡き兄の姿を重ねて懐いていた。霊能が安定し、火ノ宮で暮らし始めると、黒曜に会えなくなった。憧憬ではなく恋慕だったと気が付いても誰にも相談できなかった。そんな明灯の気持ちに気が付いた火産霊が黒曜との仲を取り持ってくれた。火産霊の仲立ちで黒曜と番となり、地上に住むことに。黒曜の仕事を手伝いたいと話したら、やりたい仕事をしろと言われる。ちょうど立ち上げる予定の洋菓子店が日の街にあると、NYANCHOCOTTを勧められる。新しいことに挑戦してみたくて、勤めてみた。初めは慣れないことばかりで美味い菓子も作れず、夜艶に叱られる日々。それでも、会員になってくれた羽々という男が「前のケーキ、美味しかったよ」とくれる一言が嬉しかった。その言葉に励まされて腐らず頑張れた。時期にNYANCHOCOTTは一流店となり、明灯の逞しい性格も育っていった。
羽々さんは自分で並んで買っていますが、毎回違った変装をしていくので、明灯は従者が買いに来ていると思っていました。主の羽々様の感想を伝えてくれてる、みたいな。
幼少期から家の仕事を見てきた、特に父や年の離れた兄が上手に客をあしらう姿なども見て知っているので、逞しさは元から備わっていた。周囲をよく見て気が利く性格も、商売人気質。だが元々は菓子職人になりたかったので、作る方に憧れていた。
緑風を「可愛い人」というけど、明灯も可愛い人です。明灯の場合は、あざと可愛い。
やっと終わりましたね。
最終章で出したキャラたちは、このくらいでしょうか。
お付き合い、ありがとうございました。
【あとがき】
数々の試練と事件を経て、からくり人形だった少年は神様になりました。よく笑って気持ちを言葉に出来る素直な男の子に、蒼愛は成長してくれました。
紅優は最初から優しいし格好良かったけど、神々しく、というか堂々としたなと思います。神様然としたというのか。
書き始めから書き終わりで、こんなにもキャラの成長を感じられた物語は初めてかもしれません。主人公の蒼愛は勿論ですが、紅優をはじめとした脇キャラたちも、特に須芹や志那津なんかは、蒼愛と一緒に成長してくれたなと思います。自分が書きたいと思っている感覚をちゃんと言葉や表現や文章に落とし込めたなと感じられた物語でした。そういう意味で、私にとっては宝物みたいなお話です。
十万字程度で短く仕上げようと思っていたこのお話、書いている途中で色々思いついてしまい、アイディア全部詰め込んだら七十万字近くになってしまいました。それでも完結してくれて良かったなと思います。書ききれなかった描写は山ほどあるんですが、一先ずは主人公二人にとって、キリが良い場所で終われたかなと。
本当は続編書こうと考えていたんですよね。「からくり紅万華鏡・続 -蒼愛と紅優のほのぼの国造り-」ってタイトルで、ほんわかした話を書こうと思っていました。
でもねぇ、折角区切りがよく終わったんだから、これで終わってもいいのかなと。需要があるかもわかんないし。需要がありそうで気が向いたら書きたいなと思います。
一先ず、からくり紅万華鏡はこれにて終了いたします。短い期間……長かったかな? ではありましたが、ご愛読ありがとうございました。
また別の作品でお会いいたしましょう。




