ホーンラビット亜種
スノードロップ時刻・夜中の九時から十時くらい
(小話 ラディシェン雪原から見える異世界の月に位置する 明かりは、結構明るめで周りがハッキリとわかる)
<各人の配置>
グシハ・ザウラク 火魔法の使い手であり、木刀持って戦う魔法剣士
位置・ホーンラビットの群れに、全線で戦っている。
トリグリー・ラグジャー 短剣使い 水魔法使い。
位置・少し全線より少し遠くから、援護中
スクトゥム・???
位置・スノードロップ・シェリアクから受け取った月の魔法使いの粉を使い敵の陽動。
馬車内
スノードロップ・シェリアク 通りすがりの旅人
もじゃ子 ガリガリの貧民の女の子
デラシ・ラリアット・ラディシェン 貴族
無数の斬撃。無数の敵。───無数の殺気で噎せ返りそうになる。
そんな中に、ライトの上に立ち、木剣を振りかざす。
叩きつけて、投げ飛ばして、吹き飛ばして、殺して殺して殺して...
そんな、休憩すらままならないほどの勢いのホーンラビットの群れは、その中を食い破らんとする強すぎる害獣を、殺そうとする。
まるで、示し合わせたかのように徐々に、その害獣を包囲していく。
「はぁはぁ....頃合か....」
思いっきり、足元のライトを蹴りつけて、踊り上がる。
その軽業師のような身のこなしは、まさに...曲芸の域へと達している。
その行動に、反応するようにしてホーンラビットたちが一斉に飛び上がる。
『炎よ....』
一言...その一言から、ブワッと熱波が広がる。
どこからともなく出てきた火花が、クジハ・ザウラクの周りを舞い上がる。
手元に持つ鞘へ赤い魔力が注れる。
鞘に飾り付けられた一粒一粒の赤い宝石が、更なる光と共に爛々と紅蓮の輝きを放つ。
その、赤い魔力が、炎へと化身させていく。
『焼き付くせ.....』
ゴウッと、鞘の中から火が吹き出し、クジハ・ザウラクの周りを囲うように炎の輪を発生させる。
『フレア・ストーム』
肩へと持っていった鞘を遠心力でグルリッと回転させて、炎を輪を膨らませる。
炎の円が、飛びかからんとするホーンラビットは、業火の餌食となり、その白い毛が、真っ赤に燃える上がる。
燃え広がった炎の輪は、立ち所に消えていく。
ザウラクは、再び...ライトたちの上に乗る。
素早く縄へと足を引っ掛け、再びホーンラビットを木刀で叩こうと構えると....
クジハ・ザウラクの周りには無数のホーンラビットの死骸が、散乱しており、まだ付近に居るもののどこか出方を伺うようにして男を見つめる敵たち。
「すまん。ライトたち....荒々しく飛んだり跳ねたりしてしまって」
「.....コン」「コンコン」
「いい子だ」
そして、次なる戦いに身を備えることにした。
それにしても、妙だな....思っていたよりも楽にホーンラビットと戦えているような気がした。
魔法など、している余裕がないくらい激しい戦いになると、予想してたのに....なんだ?この違和感は...
まるで、誰かが、ホーンラビットをどこかへと追いやったかのような....
「それに、ホーンラビットが飛んでくるなんてことが、有り得るものなのか?」
通常個体のホーンラビットは、そんな馬鹿げた力が出せないはず...つまり、何者かが意図的に強化してるか...
それとも、別のなにかがいるか....
もし、別のなにかがいるとするならば、それは....確実にこの周りにいるホーンラビットとは比べ物にならないだろうが....
「...........考えても、仕方の無いことか?」
「コンッ」
「ふっ.....そうだな。やはり、出てきたら切り伏せる。その覚悟だけはしておこう。」
「魔剣......使いじゃない?あれが?」
ジリジリと、焼き焦げたような匂いが肌を震わせる風に吹かれて匂う。
なにが、起こったのか理解できなかった。
もはや...あの鞘自体が、なにかの魔道具だと言われても納得できる。
それくらいには、ヤバい光景だった。
なんだ?あの....炎の使い方は....なんだ?あの....周りを焼き殺さんとするほどの、威力は.....
「ライト......俺の、水魔法って....弱いよな?」
「コン?」
「もっと、上手い使い方をすれば、あんな感じに広範囲で戦えるかもしれない」
「コンコンッ!!!」
「そうだよなっ!!できるよな!!」
「.........コン」
「なんだよ...お前、ノリ悪いなぁ....出来るかもしれないだろ。凍らせたりと、凄い速さで飛ばしたりとか....
魔剣みたいなモノを持ったら、強い威力が出るのかな」
「コンコンッ!!」
「あぁ....あれくらい、強ければ、盗みだって、楽にできそうだなぁ....あの魔法で、警備員さんとかボッて燃やしちゃって、そのまま...お宝を頂けるかもとか?」
「コン?」
「あ、あぁ....過去に拘らないって、決めたのにな。
水魔法頑張るしかないな。....よしっ、ライトたち、ホーンラビットの群れに突っ込もう。」
火に当てられたからかもしれない。クジハの凄い力を見させられたからかもしれない。
前線へと、行きたいなんて...今まで、微塵も思わなかったのに、俺もできるんじゃないか?みたいな淡い期待みたいなものが....俺の脳裏に過ぎる。
寒くて、暑い...なんか、どっちなんだよ。って感じの心境だけど、ライトたちに指示して、クジハの方へと走らせる。
「おーーい!!クジハ、さっきの凄かったな」
「ん?.....あ.......な.........て」
「俺も、戦いたい。」
「?」
「もっと、近づいて...ライトたち。言葉を伝えたい」
「コンッ!!」「コンコン」
「コン?」「コン」
なにかを、話してる。必死に、首を振っているノリの悪い方のライト。
なにかを説得しているようにも思える。それは、明らかに俺の意思とは違う方向で.....
「っ!?!にげっ......」
「クジハッ!?!?どうしたんだ?」
クジハが必死な形相で、後ろを指さしてきたのでなにを言いたいのか聞こうとさらに近づくこうとした時、なにかが奥からやって来る。
ズンッ.....ズンッ.......と、音が響く。
ホーンラビットも、どこからか勢いをつけて、やってくる。
間髪入れず、クジハが立ち上がり、ホーンラビットを、木刀で戦い始める。
俺も、短刀で切りつける。
「っ.....!!ウォ、ウォーターボール」
リーチが、短いため、仕留め損なったホーンラビットを、咄嗟に水の塊を生成する魔法で中に勢いを殺して、その中へと無造作に短刀を入れ....切りつける。
ザバッ...と、言う音と共に、雪に落ちる水とホーンラビットの死骸を一瞥して、また別のところ飛び出してくるホーンラビットに近づいて切り上げていく。
そんな一瞬も油断できない中、ズンッズンッと、いう音はさらに大きくなってくる。
そうして、切りつけながら背後からやってくる巨大なホーンラビットを見る。
あれだ....あれが、この災害を作っている元凶.....
「......ゴクッ」
思わず息を呑む、まるで悪魔のように黒く....羽の生えたホーンラビットなど見たことも無かったからだ。
「キィイイイイイィイイイ」
鼓膜が破れるかのような絶叫。
真っ黒に染まった角が、バチバチと紫電を放つと共に、どこからか発生した黒い煙が、視界を遮るように立ち込める。
ホーンラビット 亜種とでも、呼ぶべきだろうか。
黒い煙が、徐々に俺とクジハを飲み込む。
真っ暗な煙の中.....
どこからなにが来るのか分からない世界...
心のうちを曇らせる不安。
赤い視線が俺を見据え、無数の赤い目線が俺たちを見つめ否応なく死を想像させる恐怖。
そして、雪原を寒さを超え、目眩を覚えるほどの悪寒
足元から...前へと、踏み出すことを躊躇わせる。
寒い...怖い....これ以上前へと進みたくない。
誰か...誰か、いないのか?
俺は、一体どうしてこんなところにいるんだ。
敵は....敵は一体、何体いるんだ?
なにかが、首元を掠めた。ピュンッという風切り音のようなモノが、耳に入る。
いや....もしかしたら、耳ごと無くなってしまったかもしれない。
助け....助けて....
誰か、誰か...
「く、クジハ....ど、こにいるんだ.....」
どこにいるか分からないクジハへと、手を伸ばす。
瞬間、鈍い反動が腕にやって来る。
俺は、声すら上げられず腕を見る。
なにかが、齧りついている。なんだ?そうだ。ホーンラビット....
その姿を見た瞬間、馬車ないで誰かが噛れて、死んでしまったシーンが、フラッシュバックのように頭の中を過ぎる。
「ぁあぁあああぁあああ!!やめろっ!!やめろっ!!やめろっ!!!あっちにいけぇえ!!ぁああクソっ!!」『ウォーターボール!!』
ウォーターボールを放ったが、実際には込める魔力が不足している影響で小さな水の玉が出来上った。
そうして、射出される方の魔力が、上乗せされ....その小さな水の玉は、腕に噛み付くホーンラビットの頭を貫く。
勢いで、そのまま雪の中へと吹き飛んでいくホーンラビットを、見る余裕すらなく...敵が消えていった直後に、やってくる痛みにさらに混乱する。
「ぁあぁあぁああああ!!」
痛い......痛い。痛い....
足が、竦んでガクッとライトの頭に膝が崩れる。
血が流れていく。
出血が酷い....俺の腕は、もう使えなくなるかもしれない。
どうすればいい?どうすれば....なにか、なにか方法は....
ふと、顔を上げた。なぜか、分からない。目の前に、ホーンラビットが口を開けた状態で、差し迫っていた。
静寂.........。
死ぬのか.....ここで
音が、聞こえなかった。なにも、聞こえない。まるで、引き伸ばされたかのような錯覚すら覚える中で徐々に、目の前を覆っていくホーンラビットを見つめていた。
「あ......」
最後に、この世界への別れの言葉を....
「ハァアァアアアア!!!」
何者かが、俺の視界の端から飛んできて、ホーンラビットを木刀で吹っ飛ばした。
すぐに、魔物たちが声を上げる音が、耳に入ってくる。目が、なにかによって、ボヤけている。
「クジハなのか?」
「逃げろっ!!つったろっ!!ライトっ!!下がれっ!!」
「コンッ」「コン」
間髪入れずに、ライトが馬車へと走り出す。
俺は、なんとなく腕を抑えることしかできなかった。震えが止まらない。どうにも、心が折れてしまいそうになっている。いや、もう折れてるかもしれない。
闇の中を、抜けて...青い光が視界を包んだ時、安堵と共により一層の痛みと悔しさを感じた。前に立って、戦うこと....それが、どれだけ恐怖を感じるのか....想像を絶するものだった。
『ライト!!早くっ!!飛んで!!』
なにか金属を打ち付けるような音が、人の声のように聞こえる。
新手のモンスターじゃないよな...フワリと、浮遊感を感じて....次いで、なにかに抱きしめられた。
暖かな....暖かな感覚......そっか。戻ってこれたのか。俺....
『ライト・ヒール』
痛みが、消えていく。目から、なにか熱いものが零れていく。
助かった。助かった....助かった.....たすかっ
俺は、闇の中へと落ちていった。緊張状態から、深い安堵へと変わり....無意識のうちに、眠りへと落ちてしまった。
「あれって....なに?」
本物の悪魔....そう言われても納得できる。
あのホーンラビット亜種が、この雪崩のように押し寄せてきているホーンラビットたちを操っている元凶?
だとしたら....相当厄介な存在ね。
スクトゥムの方に、少しだけ陽動されてるとは思うけど、あまり引き寄せられてないような気がする。
魔物を引き寄せる粉も、あのホーンラビット亜種の影響でほぼレジストされてるのかな?
それと....ザウラクがあの群れの中で暴れていた時、包囲して一斉に攻撃したり、タイミングを見計らって攻撃合図を送っているようにも見える。
「厄介ね.....」
闇が、ザウラクとなぜか突っ込んで行ったラグジャを包み込んでしまって....こっちからじゃ、なにが起きてるのか分からない。
「...........撤退指示を出すなら、今かな」
マフラーライトを、首に持ってきて撫でながら考える。
もし、あの闇の中で二人が死んでしまったら....私たちの生存は絶望的になる。
「呼び寄せるしかないか.....」
重たい腰を上げて、撤退命令を出そうとした時.....暗闇の中を、ラグジャーが、飛び出してきた。
出血が、酷い.....これは、回復魔法をかけないとすぐに死ぬ可能性かある。
「ここだよっ!!こっちだよっ!!」
呼びかけてみるけど、ここからじゃやっぱり声が届かないよね。
再度、声をかけるために音魔法を使う。
『ここだよっ!!ライトっ!!早くっ!!飛んで!!』
聞こえたのか。聞こえてないのか分からないけど、一気に駆け出していたライトたちは、私たちの馬車へと向かってくる。
そして、ある程度接近して、飛び上がった。ラグジャーのライトたちは、魔力を霧散させて....消える。
ラグジャーを、抱きとめて....魔法ですぐに止血する。
『ライト・ヒール』
瞳を、薄開けてるラグジャー。
その腕の怪我が、血が止まり 徐々に治っていく。
食いちぎられてなくてよかった....この程度の怪我だったら、回復できる。
初めにホーンラビットに、食われた人は肩を深く抉られており...助けようとした時にはすでに死んでしまっていた。
私が、もっと早く魔法で治療していたら、生きていたかもしれない。
でも、私は回復術士じゃない。
自分の力は、見誤らないようにしないと...だから、あの人は助けることができなかった。それだけの話....そう、それだけの
「ゆっくり休んで」
いつの間にか、意識が無くなっているラグジャーを、そっと床に寝かして、私はそろそろ頃合だと感じて撤退指示を出すことにした。
光魔法で繋がっているライトたちに、一斉に私の意思を伝達させる。
『戻ってきて...みんな』
「コン?」
「コン」
「あぁ、ごめんね。あなたたちには、関係ないことだから」
マフラーライトと、私の横で眠っていたライトが目を覚ます。
召喚獣って、便利で...自分の意思くらいなら、伝達することができる。
なのに、召喚獣を使ってる人は滅多にみない。
魔物を、使役する テイム というのなら、何度も見たことあるんだけど.....テイムも、意思を伝達したりできるから....
わざわざ、召喚する必要がないから....と、言われたら納得できなくもないけど
スクトゥムの方も、まだ生きてる。なら、大丈夫そう。
「もじゃ子ちゃん。泣かないでいいよ。すぐにあの人は、来るから.....」
「すんっ.....すんっ.......え、ぇ.....は、はい。」
なんで、あんな感じの悪いやつが、こんな優しそうな子に愛されているのか分からないけど....
とにかく、ある程度殺したと思うし、指示する亜種側だったら なるべく自分の仲間が殺されるのは避けたいはず、あの本体が攻撃してくるようなことがなければだけど...
「私のところに、二体、ザウラクのところに二体、消したのが二体、そしてスクトゥムの方に二体....で、計八体。よし...これだったら、逃げきれる。」
目星は、立った。
おそらく、過剰に動きすぎてスクトゥムの方も、限界だろうから....休ませてあげないとね。
「.....ふぅ......」
あとは、ライトたちがどれくらい頑張ってくれるか....かな。それともう一つのことだけど....
『召喚・ライト』『召喚・ライト』
「コンッ」「コンッ」
丁度、十体のライトを呼び出す。
帰りのために、残して置きたいっていうのがあるけど....召喚したライトたちに次の指示をしてから、御者の方へと歩く。
最後の懸念ってやつを。
「ハッ!!ハッ!!ハイヤッ!!」
「ラディシェンという、そこの御者貴族さん」
「む、こうではないのか?ここがいいのか?ハイヤッ!!」
「ヒヒヒンッ」
「ラディシェンッ」
「ん!?!誰じゃワシの名前を呼び捨てにしたやつは、ワシのムチで叩いて躾てやろうかっ!!」
「いや、全く話を聞いてないようだったので、呼び捨てにしました。」
「ハイヤッ!!む、では、ワシの名はデラシ・ラリラット・ラディシェンという。ラリアット様と呼ぶがいい」
「いや....そういうの、いらないんので.....この馬車に乗ってる人は、どうゆう目的でここにいるんで.....」
「なに!?!ワシは貴族だぞっ!!貴様......ワシを様付けしないとは、命が惜しくないのかっ!!」
「いや....ただの旅人なので......」
「ふんっ!!貴様、確かシェリアクとか言う名であったな。」
「そうですけど」
「その名は、しっかりと覚えたからな。
とにかく、ワシに話をするなっ!!ほれ、そっちの奴隷共と話しているのが、下賎のモノにはお似合いよ」
「...............はぁ」
そう言って、きちんと話をしてくれないラリアットに、私は呆れていた。
貴族が、なぜ御者をしているのか?とか....色々聞きたいことあるんだけどな。
それに、これから私は去るか、残ってもいいのかも判断が付かない。
ライトたちを、全員使うということは安全じゃなくなるということに他ならない。
信用できないなら、ここは切り捨てる他ない。
私は、別の人に話に行くと見せかけて、バックの中からライトたちの固定用に使った縄を取り出す。
縄って....便利だよね。
「そろそろ、一休みさせてもいい頃合か......しばらくは、ムチを打たんぞ。貴様らは、思う存分走り回れっ!!」
「..........」
「いやぁ.....出費が切り詰めてたから、ワシがやってみたわけだが、思ったよりもおもしろ......っ!?!誰だ!!!」
私は、そっと脂ぎった肉に汗をかいているラリアットに、そっと縄を首にかける。
「私だよ」
「貴様......こんなことをして、ただで済むと思っておるのか!!」
「今クジハ・ザウラクは、前線で戦ってる。トリグリー・ラグジャはそこで深い眠りについてる。
それに、もしあなたを助けるとしたらスクトゥムって人だろうけど、あの人は囮になってもらった」
「........それで、ワシをどうするつもりだ?金か?」
「いや、余りにも人の話を聞かない人だったから、強行手段を取っただけ」
「なにが、聞きたい」
「この馬車は、なにを目的に動いている?なんで貴族なんかが、馬車を動かしている?ここにいる人たちは、どういう身分の人達?」
「..........」
しばしの沈黙。
嘘でもつこうとしてるのかな。私は、ギュッと首元に力を入れる。グギギッという歯を食いしばるような声が聞こえた。よし...いいかな。
「はぁ.....はぁ......貴様、ワシの話を聞きたかったんじゃないのかっ!!」
「嘘をつこうとしたように見たから、やっただけだよ」
「........ワシは、この馬車にクエストを出した龍の生態系調査を主とした。
あらゆる地形の観察。
最近、ここを領地としてもらったばかりなのだから、調べるのは当然であろっ....うぐっ!!」
「下手な嘘は、付かないでもらっていいかな?生態系の調査なら、もっとマシな人員を雇うはず....こんな貧しい人達なんか雇わない」
再び首を絞める。あくまでも、死なない程度だ。コロッとしなれてしまったら、困るけど。見くびって貰われたら、色々と困る。
「ぁ......はぁ.......ぅ......はぁ........ま、待て....話すから、話す。
龍の卵を取りに行くという依頼を出した。
ここに来ているのは、刑の長い罪人か、貧困などで食すらありつけないやつらだ。」
「龍?」
進路から行って、もしやあの青い結晶の塔のことを言ってる?だとしたら、進む先は一緒だけど....卵を盗む.....ね。
「その卵は、なにに使うの?」
「ふんっ、卵を売り捌けば、金になる。闇市では、大白銀貨数枚を超えるだろう」
「.........」
ここで、この人を殺しておけば、少なくとも変な事件は起こらないよね。
それだけじゃない。
このラディシェン雪原のモンスターの異変に気づいていない?
おそらく、帰りも、相当大変なものになるだろう。入ってしまったが、運の尽きというやつだ。
「さっき、ホーンラビットの大群の中に、悪魔と合体したようなホーンラビットの亜種を見かけた.....このまま、帰れると思う?」
「ホーンラビットの亜種?なんだそれは」
「分からないけど、角から紫電のようなものを放ち、おそらく、周囲に闇属性が付与されているだろう黒い霧を放出していた。」
「...........そう、か」
「クエストを、やめる気はない?」
「はっ!!なにを今更、この機会を得るためにワシがどれだけ頑張ったか.....」
そう....。今すぐ引き返した方がいいんだけどなぁ....。
当初の目的は、塔を見ることだった。この人たちが、浅はかな行動をして、結果的になにをしようとどうでもいいけど....
「私が、この馬車をホーンラビットの群れから、逃がしてあげる。その代わりに、塔までこの馬車に乗せて」
「も、もちろん構わん。ワシとしちゃ願ったり叶ったりだ。......本当に、願ったり叶ったりだ」
なにか含みのようなものを持たせて、言う デラシ・ラリアットに私は目を細める。
私からは、この胡散臭いおっさんの顔を見れないけど、どんな顔をしてるんだろうか?
判断に迷う.....けど....
「分かった。助けてあげる」
「ふぅ.....初めから、乗せてほしいと言えばいいものを」
「なんか言った?」
「......ハイヤッ!!!」
とにかく、これで決心はついた。あとは、行動するだけ。
ライトたちが、だけど....
〜スノードロップ・シェリアクのノート〜
現在地 ラディシェン雪原
魔物 滅多に現れないサル (ドレットエイプ)
ゴブリン
ホーンラビット(雑食)
吹雪が続き雪が積もっているため、歩いて進むのは困難を極める。(ヤバすぎる場所)
ホーンラビットの群れ
たまに飛び出してくる。通常のホーンラビットの群れは、(いやそもそも、本来群れるものではないが)飛んで来ない。
私の情報
顔は、普通くらい(自分基準でっ!!)
身長 156cm
私の魔法 光魔法 召喚魔法 ライト(白くて光る狐
10体まで)
移動に便利
※どうやら、おかしな魔法らしい
光の盾 (硬めの板)
ライトカーテン(便利なカーテン) ライト・ヒール (小回復)
音魔法 声を響かす。
パンチ強化
装備品 ジャイアントラビットの毛皮 巨大バック
持ってると暖かくなる赤い石
(龍の卵パーティー(仮))
クジハ・ザウラク 木刀と、火魔法を使う魔法剣士?
180cm
new!!火魔法
『フレア・ストーム』
魔剣の鞘を使った魔法...辺り一体を焼き払う。
長髪で、鞘を携えているラグジャーには、劣るが顔は整っている。
トリグリー・ラグジャー 水魔法使い
175cm
new!!水魔法
『ウォーターボール』
『????』
イケメン・(彼女いっぱいいる)・短剣使い
new!!学校で、盗み関係のことをしていた?
※魔法使いは、惹かれ合う。
スクトゥム・スプリンガー
自分の身の程を知りすぎて、卑屈になった男 普通の一般人
もじゃ子を、守りたくなった。
ごん助・吉郎 ライトの愛称(一時的)
モジャ子(仮) 僕っ子
女の子 皮と骨だけしかないような不健康女子
スクトゥムが、気になる...
デラシ・ラリアット・ラディシェン 貴族(御者)
貧乏性・金好き・モンスターコレクター
(愛称 ラリアット様、雇い主、クソウザジジィ)