第42話「予襲復讐~前編~」
「第1回ガチコン・ザ・蟲ケラ! ブリブリ! 私ならこう歌う選手権!」
その動画は長らく待ちに待たされた歌ウ蟲ケラの新曲リリースの1週間まえに投稿された。司会は企画提案主である美桜が務める。
「演奏と歌詞が同じでも歌い手によってメロディは千差万別だと言えるのか? メロディのパターンは限られていて歌い手に関わらず似通ったものになるのか? その検証を様々なシンガーを招き実行しました!」
「選手権って競争やるの?」
「選手権と言ってもさ、バトルでもないし、順位もないし、もう勝ち負けなんてなしにしない?」
「そうやな。うんうん」
「だってさ! だってさ! だってさ!」
「「「「友達じゃん」」」」
「よし決まった! じゃあ新曲のそのサビを聴いてチョンマゲ!」
全知全能の神よ。懺悔。裁かれし罪と罰。
でんぐり返し。ゲップ吐く。
メテオ攻防。ノーガドでハグ。ヤバイ奴。
地位も名誉もGET BACK。
律が朗読する。すかさず美桜が反応。
「ちょっと何を言っているのか分からないです」
「いや! 自分で考えたのでしょ!」
これを自分なりのメロディーで歌って貰う企画だ。
歌詞上の単語を3回までなら連呼OK。Yeah! Uhh!などの掛け声は1回まで入れてOKというルールも設けた。
「このルールで色んな人たちにオファーしましたよ」
「超楽しみや!」
「8名集まりました!」
「ようやったね(笑)」
「はい。オファーを贈った皆様へはミオタニアン直筆の手紙をマジで送りました」
「うわぁ。ガチ(笑)」
その手紙の内容がこうだ。
『突然のお手紙を失礼します。歌ウ蟲ケラのミオタニアンです。このたびは私とユイマールがコロナ感染して汚れてしまったメジャー復帰命運をかけ、新たにユーチューブで新企画を始動させました。再びメジャーという戦場で戦う私はふと思うのです。事実「自分だけのメロディ」ってあるのかと。これは言い換えれば、自分流にメロディラインやフロウを変え、自分の歌声で自由に歌う事。私、私、聴きたいのです! 私の作った楽曲に違った人がメロディーをつけるとどうなるのかを! 私のメロディが人の手にかかるとあんな風に! こんな風に! 自分では想像できない表情に変身するところを味わってみたい。これは自分の恋人が他人に抱かれて喘いでいる姿をみて複雑な気持ちになりながらもエクスタシーをも感じちゃっている変態的思考の果てなのもしれませんね。そうです。薄々気づいていると思うのだけど、私は変態なのです。だからお願いします! 私のこの変態パーティーゲームに是非とも参加していただきたいのです! 音楽への「遊び心と情熱」を持った貴殿のご参加をお待ちしております』
そして8名の強者が集まった――
「では1人目、まぁ私達のチャンネルといえばこの人ですよね」
HUN:SOCK!
「うわー! でたー!」
「何でミオタのコスプレ? コレどこで撮った?」
全知全能の神よ。懺悔。裁かれし罪と罰。
でんぐり返し。ゲップ吐く。
メテオ攻防。ノーガドでハグ。ヤバイ奴。
地位も名誉もGET BACK。
ぜ、ぜ、ぜ、全知全能の神よ。懺悔。裁かれし罪と罰。
で、で、で、でんぐり返し。ゲップ吐く。
メテオ攻防。ノーガドでハグ。ヤバイ奴。
地位も名誉もGET BACK。Yeah。
「早口で1トラック繰り返しかぁ」
「ラップだね。まぁラッパーだし」
「最後のゴマすりポースは何!?」
「メシを奢って欲しいのだろうね」
「じゃあ2人目いきますよ」
メガネアイ!
「身内が続くな(笑)」
「またラップか(笑)」
全~知全能の神よ。懺悔。裁かれし罪と罰。
デ~ングリ返し。ゲップ吐く。
メテオ攻防。ノーガドでハグ。ヤバ~イ奴。
地位も名誉もGET BACK。
「新しいな」
「ラップじゃなくて歌だったね」
「最後の眼鏡動かすインテリポーズは何?」
「眼鏡を強調したい系女子のポーズでしょ」
「はい。3人目いくね! 3人目は地下アイドルのコになります!」
海原みなも!
「女の子が続くね」
「想像できないね」
全知全能の神よ。懺悔。裁かれし罪と罰。
デェングリ返し。ゲェップ吐く。
メェテオ攻防。ノーガドでハグゥ。ヤヴァイ奴。
地位も名誉もGET BACK。
「最後に手を振ったのが可愛いね♡」
「デスボイスを取り入れていたね!」
「私達のライブによく来てくれているようです」
「マジで! 嬉しい! じゃ優勝で!」
「これは順位を決めない企画で~す!」
「はい。4人目ですが事情があって顔はだせないそうです」
「えっ!? 何それ!?」
「大人の事情と言うか、もう音だけ聴いて予想をしよう!」
現場になんとも言えない緊張感が走る。その4人目とは――
∀・)読了ありがとうございます♪♪♪後編も本日同時刻にあげております♪♪♪




